14-5. 「嘘の惑星は衰退しませんでした」 常識による文明進化上限論
14-5. 「嘘の惑星は衰退しませんでした」 常識による文明進化上限論
嘘の惑星では、バレない嘘なら美徳で、騙された奴が悪いという常識である。
その文明が星を独占した結果、1割の上位層が9割の奴隷を酷使する環境となった。しかし、憎悪の時間と内部告発による袋叩き、有識者の鵜呑みを刷り込んだ結果、9割の奴隷も幸福度が上がり不幸な人がいない平和な世界になった。
一方、文明の進化スピードにおいては非常にゆっくりになる。幸福度が高くキープされ、地球の資源消費が少なくなる。5億年でも平和なまま時は流れるだろう。今のように資源枯渇はない。
嘘の惑星が数億年、この奴隷制度で循環を続けたが、とある日に高度な技術をもつ宇宙人が来て技術を分けてくれた。
「タスケテクレタオレイニコイツラアゲル」
5億年平和だった嘘の惑星は、この宇宙人の善意によってすべてが崩壊した。
電気、化石燃料、列車、飛行機、どこでもドア、タイムマシン。それらが一気に9割の奴隷層に伝わった。有識者鵜呑みで考える思考を捨てていた奴隷たちに、宇宙の真理が全て流れ込んだ結果、自分自身の境遇について初めて知ったのだ。
「酷使した1割の両班を殺せ!」
9割の奴隷は、宇宙人がくれた無限燃料と瞬殺レーザー兵器を持って両班の豪邸に殴り込みをかけた。両班は奴隷に着替えや食事を全て任せることが美徳の文化だったため、逃げるにも足(運ぶ奴隷)がなく、なすすべなく殺された。
武力を持つ上位層もいたが、9割の奴隷の数に圧倒され、殺されてしまう。
9割の奴隷の反乱は、勝者による「正義の革命」に塗り替わった。嘘を武器に1位の両班にのし上がった佐藤洋一は、事前に察知して泥をかぶり奴隷の姿をして生き残った。
「俺らが圧政と搾取をした両班どもを打ち倒し!独立国家を宣言する!!」
佐藤は嘘を巧みに使って反乱軍(奴隷の武装化集団)のサブリーダーまでのし上がる。
宇宙人によって資源と知識と技術を得た奴隷たちは、両班に虐げられた歴史を知り、革命を起こして1割の両班を皆殺しにした(佐藤以外)。
他の宇宙からきた宇宙人の戦争に巻き込まれ、地球は戦場に包まれた。30年後、宇宙の2つのグループは痛み分けで地球から去り、佐藤と奴隷たちはまた1から国を作ることになった。
色々あって1割の権力者と9割の奴隷を望む層と、自由に武装し自由に暮らせる層と、対等で嘘をつかずに平和にする層に分断された。
嘘が武器の文化により、無能無知だった層が知識と技術を持ち、飛行機やコンピュータを駆使するようになった結果、我こそが上位1割になる!と言わんばかりに武力戦争が多発した。
お互いがお互いの嘘に不信となり、だれも背中を預けて組織を組めなくなった。相手のあら捜しをはじめ、感情を訴えて証拠はもみ消す、再び混とんとした状態になる。
嘘の惑星は、不信と内部抗争のために急激に衰退を始めた。
1000年後、奴隷を愚民化し、5億年で安定していた1割の両班と9割の仕組みに戻った。宇宙人に与えられた武器や知識を読み取り、使う人が誰もいなくなったのだ。
「嘘の惑星は衰退しませんでした」
さて、このストーリーはノープロットで打ちながらそのまま書き殴ったものだが、どう思っただろうか。
この世界は偶然、嘘を悪として、平和に対等に和解するのが善という人が大半で成り立ったため、この急激な進歩が伴った。逆に、嘘を武器として数億年も独占支配してしまうと、技術レベルは一定で止まり、そこからは伸びないようになる、と自分は考えている。




