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14-4. 「同情するなら金送れ!」 嘘を誉れとする異世界考察

14-4. 「同情するなら金送れ!」 嘘を誉れとする異世界考察

 実は家なき子の主人公と同じ年である。今回は前回の嘘の惑星の続きである


 スパルタ国の「盗みをやってもバレなきゃOK。技術が身に尽くしむしろ良い」という考えや、今のケーコクの「我々に対する愛は無いのか!!」という研究家トップ層の言葉について考える。


 ケーコクおける考えのベースは華夷思想(中国から遠いほど野蛮)、儒教亜種の上下関係思想である。国民の感情こそが最上位であり、それを望む声が多い(ように演出した)ならば道徳的優位性から、法を超えることができるというものだ。常に自分は正しいことを選択していて、相手は間違いである。という考えを国民全員が持っている。

 

 いや、常に正しいことって無理だよね。お互いの正しいが矛盾して衝突したらどうなるの?って思う人はいるだろう。彼らにとって事実を見て比較することは重要ではなく、参加している他の人の支持を得て 一番声が大きいように騒ぐ ことが彼らの真実なのである。その大声に折れた論争者は裁かれて死ぬ。その死人が説いたことが「1+1=2」であったとしてもだ。


 だから表題の話になる。より同情を誘って、支持者と共に大声で主張する事に長けた種族と言える。それを「事実ベースに論争の決着をする」他の国に持ち込むと破綻するので、どちらかが折れるか、武力による制圧しか手はない。


 この地球では、「事実ベースに論争の決着をする」「嘘は良くない」が勝者の偶然の常識である。


 それが「嘘の惑星」では偶然、その嘘を武器とする民族が地球を制圧しているので海外にぽつんと「嘘は良くない」民族が生まれたとしても、ごく少数なので「嘘武器許容」民族が滅ぼしていしまう。一度独占になってしまうと、他の考えが生まれて逆転する事は難しい(今ケーコクで目覚めてYoutube配信している人も多々いる)。近親相姦とか、宋から美女を貢がせて犯罪者を送り続けたとか、辛いものの摂取しすぎで精神異常とかは今は考えないものとする。


 進化論では、環境に適した種だけが生き延びて、それを「進化」と呼ぶ。ここからは常識を捨てよ。


 この嘘の惑星による「進化」は、弱者は同情を買い、強者は癒着で売る種族が繁栄する。


 例えば、奴隷ABCの3家族がいて、Aが両班(貴族)が肉を盗んだとする。両班はABCを全員集め、だれが肉を盗んだか聞きただした。


 A「俺はやってねぇ!Cがやっているのを見た!」


 B「この痩せた腕を見て下さい!もう10日も何も食べていません!!何でもします〇〇様!」


 C「俺はAが肉を抱えて部屋から出るのを見た。入り口の足跡とそいつの靴を比べてみろ」



 AとCは殺され、Bに盗んだ肉の分を借金として背負わせるのだ。(実際は高いから奴隷を安易には殺さない)


 真実などどうでもよく、両班が同情したり好みそうな言葉を選べるかどうかが奴隷にとっての生存=進化である。その生存競争を繰り返した結果、強者に媚び、弱者をつぶせる心を持つ奴隷だけが進化する。


 この進化は、独裁政権による粛清とは少し違う。感情による粛清は基本独裁者のみで、感情よりも実利を取る。この嘘の惑星では、上から下まで感情による同情人数と声によって序列が決まる。


 発言者がどれだけ地位が高いかが重要であり、その地位まで上がると「悪い証拠」はもみ消せるし、支持者による情報バラマキでいくらでも論争に勝てるようになる。だから、地位を上げるための努力は惜しまない。のし上がる奴隷は前もって潰し、少しでも大きく見せるために武器の嘘を使用する。


 言い逃れができない嘘の証拠が挙がってしまうと、一斉に叩かれて一家が装叩きに会い、家族は心中する。バレても謝らない、論争をずらし、大丈夫なところだけ誤って風化させる、メディアを操作して別の悪に仕向ける、言い逃れできないなら同情を誘って謝って滅亡する。その繰り返しが、嘘の惑星なのだ。


 その両班は全人口の1割のバランスで保たれている。3:7の法則に近いものかもしれない。今のケーコクも公表はしないが、同じ割合で維持しているだろう。


 仕上げとして嘘の惑星では「憎悪をを別に作い敵意を強める時間を作る」「個の思考を捨て、有識者の発言を鵜呑みにさせる」「同調圧力で袋叩きにする快感を植え付ける」を行っている。

 すでにそれに近い小説がある。「ディストピア ビッグブラザー」で調べてほしい。


 権力で証拠をもみ消せる嘘の惑星では、上位1割の両班が富を独占し、9割の奴隷を酷使して成り立つ。反乱させないように、奴隷に学びを与えず、暴力と憎悪、内部告発と袋叩き参加によって飴とムチが成り立つ。9割の奴隷も、有識者(知識人)に従って反逆者を袋叩きにすれば気持ちが良い。もっと内部告発して不安分子を殺し、農作業で両班に貢ぎ続ければ幸せだ!粛清された奴らよりマシだ!と本心で思うようになる。これで100%全員の幸福度がプラスになる。現代ではできないことを、この星ではできてしまう。


 息をしている人で、不幸な人はいないのだ。


 自分で考えて声を出すことを止め、有識者の言葉を全て鵜呑みにしたことで反乱は一切なくなり、事実を知っている上位層は権力で誤魔化して好き放題した。



 この絶妙なバランスが出来上がると、他の異世界からの強大な圧力がない限り安定して循環が進む。進化の固定と言ってよい。今のような発展による資源の枯渇はなく、わらの家に牛を育てるナーロッパに近い文化が数億年続くのだ。むしろ地球にとっては、この環境こそが神なのかもしれない。


 そこに、4000年長くコールドスリープした主人公が切り込む。結果は、その常識の「嘘は武器」を柔軟に使用して上位1割にのし上がるストーリーだ。彼自身、気づけば嘘に対して罪悪感も一切持たなくなっていた。


 それが彼の進化だったのだ。

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