14-3. 「嘘の惑星」 環境生存支配による常識の暴力
14-3. 「嘘の惑星」 環境生存支配による常識の暴力
今回は環境生存による価値観の違いをなろうジャンルに組み込むという話である。今回言葉にするケーコクはひとつのアイデア発想による妄想であり、実在する韓国とは一切異なることを先に伝えておく。批判する意図はない。
常識とは、支配者が決めた生存環境の最適化である。
なろうにおける常識と価値観は日本文化そのものであり、そこを逸脱すると読まれなくなり評価されなくなる。だから有名な初枝さんも、この相手先の世界感と常識は日本に極力合わせるべきであり、おかしいと思ってもそういうモノとして割り切らないと稼げないと言っている。
「環境生存支配による常識の暴力」はなろう読者に好まれるものではない。だが、読まれないから価値のないモノと見捨てるのではなく、その思考と発想が別の売れるジャンルを生み出す可能性として覚えておいて欲しい。
この発想が生まれたのは、ケーコクと接して心理にたどり着いたからである。その詳細は後で書こうと思う。
「嘘の惑星」とは、スパルタよろしく実利があるなら盗みも嘘もOKという文化が常識の世界である。近未来SFで、5億光年先の生物がすめる星に向かう宇宙飛行士の話だ。佐藤洋一と4名の海外の宇宙飛行士はコールドスリープにより5億年の眠り(ソーラー充電)装置に入り、出発前に眠りについた。
佐藤が目覚め、装置からでるとそこはナーロッパのような異世界だった。眠りポッドだけがボロボロに投げ捨てられた状態で、他の仲間はいない。この星の住人はこの星をソラテスと呼び、魔物を狩って生計を立てる民族と接触した。
中世ナーロッパのように、言語が一緒で自転速度も気温も地球とほぼ同じ住みやすい環境だった。ただ一つ、違うのは住人が嘘や窃盗に関して無頓着すぎるというものだった。
佐藤は話し合えば仲良くなれるし、嘘も許せば仲直りして和解できる、嘘は良くないと思っていたが、この星の常識はそうではなかった。嘘は武器であり、出し抜かれた方が悪いのだと。
盗まれたのは、家の警備を怠った罪であり、逆に被害者が裁かれてしまうのだ。佐藤はその星で生き抜くために、嘘をつき、奪い殺し、気づいたら上位1割の富豪に成りあがっていた。
財力でこの星を調べ上げ、ついに「この星は地球の5億年後」だと知る。
佐藤たちがコールドスリープした直後、人種は謎のウイルスにより即死し、DNAの違いにより即死しなかったケーコク住人は数百人を同じコールドスリープを用意して他は途絶えた。5億年にケーコク住人が先に目覚め、順当に人口を増やしていき、故障によって4000万年ズレて佐藤が目覚めたのだった。
早い話、ケーコクの価値観の文化が全世界共通になったらどうなるの?という設定である。現実的には「嘘が武器」という価値観で全世界を支配できるようなことはほぼ不可能である。未知のウイルスでも、世界核戦争でも何でもよいので、その文化持ちの人だけが生き残ったという設定とする。
今の地球でも、隕石や噴火によって恐竜は絶滅し、低酸素呼吸ができ、低温、高温の大気でも生き残れる「最大動物」が地球を支配し、繰り返してきたのだ。可能性は0ではない。
「もし恐竜が滅びなかったら?」「もし地球の自転速度が2倍だったら?」というIFストーリーは、学者の論文ですら正確に当たるものではない。しかし、今実際に現存していて間近に見えるものであれば、その行動原理こそが答えになる。
「嘘は良くない」「みんな平等で平和が一番」という常識は、この地球を支配した強者がもっていた「偶然」であり、必然ではない。
「窃盗してもバレなきゃ無罪、むしろ誉れ」という歴史は、スパルタという古代ローマに実在した文化にも存在しているのだ。もしスパルタが世界統一していたら、これが常識となる可能性はあったのだ。
汚いたとえになるが、動物界ではフンをまき散らすのはボスの重要な仕事になっているのだ。縄張りを明確にし、ボスのフンの香りがする範囲で部外者が暴れたらボスに殺されても問題ない。人間の視点では、汚物をまき散らすことは 考えられない汚らしい行為 だが、動物界が支配していた数億年前はそれが生物の常識であり武器だった。
同じように、異世界の世界考察においては、日本の常識や世界の常識自体が「勝者が定めた偶然」と気づけば、ジャンル拡張と発展につながると確信している(それが読まれて売れるとは限らない)。
「嘘はバレなきゃ誉れ」というぶっとんだ悪の常識が、支配できればそれが常識という話だ。しかし現実を考えると、嘘OKの世界では、信用取引がまずできなくなり、癒着と暴力による証拠隠蔽の応報になる。そんな世界では、今のような急激な成長は見込めないだろう。
結果でいうと、今のケーコクの国内事情と同じになると考えている。国外に話を持ち出すと、真実(起きてること)と正義(望むもの)が衝突して、武力(国力)の共食いが始まってしまう。だから、全世界がケーコク住人に偶然塗り替わってしまったと考えることにする。
論より証拠である。
「もし恐竜が滅びなかったら?」
「もし地球の自転速度が2倍だったら?」
の考察if なろう小説よりもよっぽど現実的で説得力があるだろう。