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漫才の台本

漫才「満員御礼」

作者: 沢山書世

漫才17作品目になります。どうぞよろしくお願いいたします。

 実業家と友人の会話

「先週オープンさせたファミレス、調子はどうだい?」

「連日満員」

「よかったじゃないか、おめでとう」

「ありがとう。でも、喜んでばかりもいられない状況なんだよ」

「なにか問題でも?」

「お客さんが帰ってくれないんだよ」

「は?」

「ずっと居座ったままなんだ」

「朝から晩までか? それは長すぎるか、ははは」

「もっとだよ」

「は?」

「オープン初日から、お客さんたちの顔ぶれがまったく一緒なの」

「なんですと?」

「誰一人として、店から出てくれないんだよ」

「全員が?」

「そう」

「すごい長居だなあ」

「二十四時間営業だからね、居ようと思えばいくらでも居られる」

「閉店の時間ですとは言えないわけか」

「そんなわけで、いまだ誰一人として会計してもらっていないんだ」

「お客さんが満席に入っていて、売り上げがゼロ?」

「居心地の良い店に仕上げちゃったからなあ」


「駐車場のほうはどうなんだい?」

「あっちもおかげさまでずっと満車なんだけどね」

「おいおい、嫌な予感がするなあ」

「そう、持ち主全員がどこかに行ったきり」

「車の停めっ放しか」

「だからこっちも収入はゼロ。戻ってきてくれなきゃ料金が入らないからね」

「あっちゃー」

「停め心地が良すぎるのかなあ」

「停め心地ねえ・・・」

「そんなものが存在するなんて、ちっとも知らなかったよ」


「ホテルのほうは?」

「こっちも初日から満室さ」

「同様に、おめでたくはないんだろう」

「うん。まだ、だーれもチェックアウトしていないんだ」

「あっちゃー」

「一泊の予定で来たお客さんたちも、長期滞在させて欲しいって言ってきてさ。おかげで新規の予約を受けられなくって」

「本当ならうれしい反響のはずなのに・・・」

「チェックアウトしてくれないと、料金を請求しにくくてさあ」

「そうだよなあ」

「料金を踏み倒そうなんて気持ちでいるお客さんは、ただのひとりもいなさそうなんだもの」

「事業としては大正解だったのになあ」

「快適な住空間を極めたからなあ」

「自信あるって言っていたものな」

「お客様満足度はトップクラスなのに・・・」

「胸を張っていいとは思うんだけど。でも、ずっと収入がないっていうのは困るよなあ」

「このままでは、給料を払えなくなる。なんとかしなくちゃ」

「資金繰りが必要だな」

「銀行でも作っちゃおうかな、ははは」

「お前がつくったら、借り心地のいい銀行が出来上がりそうだな」

「はあー。ひょっとすると、僕って商売には向いていないのかもしれないなあ」


読んでくださり、どうもありがとうございました。

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