プロローグ
『どうしたカイト? 俺に勝負を挑みたいのか? …いいだろう。ただし、先程のように俺に勝てると思うな。本気でかかってこい!カイト!!』
銀髪の大柄な長髪男がそう言うと、画面は暗転し、バトル画面へと切り替わる。リズミカルでカッコよく、ただ通常の戦闘BGMとは違い何処か怖さを漂わせる音楽が流れ出す。
カイトと呼ばれた金髪の少年は淡々と銀髪男にダメージを与えていく。カイトと銀髪男の力の差は歴然だ。
『なかなかやるな。…しかし、本番はこれからだ!!』
銀髪の男がそう叫ぶと、攻撃の威力が先程より強くなる。しかし、カイトにとってはそんな事は大した事ではないようで、ただ淡々と攻撃を続けるだけだ。
そして、一瞬の間にカイトは銀髪男を倒した。バトル前にカイトを挑発していた割に呆気なく倒れる様は、なんとも滑稽でまるでギャグ漫画のようだ。
『フリークを倒した!』
ドットで作られたごシック隊の文字が画面に表示される。そのまま続けて取得経験値が表示され、そして軽やかな音楽と共に『Lv.99になりました!』と表示された。
「やったー! やっとレベマきたー!」
軽やかな音楽と共に、画面の前でカイトを操作していた少年が声をあげた。
少年はカイトのレベルを最大値の99にするために、ご飯や睡眠も碌にとらずに何時間も特定条件を満たせば何度でもバトルを挑めるフリークにバトルを挑み続けていた。
少年は手元にあるペットボトルのジュースを飲み干し、そのままゴロンと寝転がった。
あぁ、これでやっとラスボスに挑みに行ける。
いつもボス戦は圧倒的な力で勝ちたい
少年は、ラスボス前にレベルを最大にすることが習慣になっている。今回もいつも通りレベルをMAXにしたのはいいものの、少年自身の体力が限界を迎えてしまった。
「ちょっと…休憩……」
少年はスヤスヤと、夢の世界へと旅立って行った。