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創世戦記「第七話から始まる、読者の異世界ファンタジー」  作者: 川嶋マサヒロ
第二章「第七話から始まる、読者の異世界ファンタジー」
8/20

第七話「読み専生活」

 僕の名前は桐山信二(きりやましんじ)。どこにでもいるごく普通の中学生だ。趣味は読書。ごく普通だ。


 最近は某巨大小説投稿サイトにハマっている。無料なのが嬉しい。以前はずいぶんと書籍も買っていたが……。


少ない小遣をやりくりして、買い食いを三回我慢して。割と評判がいいライトノベルを買って、十分で読み終わって、内容がスカスカ、ガタガタ、ダメダメだった時は涙が出そうになった。


「表紙に騙された……」


 毛皮のビキニを着た巨乳幼女が微笑みながらこちらに話しかける。


「あ~ん。お馬鹿かさ~~ん」

「ちくしょう、チクショウ! 畜生……」


 幼女の耳は狼のそれで、ふさふさの尻尾か生えている。


「僕は畜生が大好きなんだよ……。それと巨乳も……」


 それ以来、読みはこの投稿サイト中心だ。


 最初は無難にランキング上位の作品を読み漁った。それから好みのジャンル、思いついたキーワードで検索。


 正直、作家様の収入を考えれば、本が売れなくなるのは問題だと中学生でも理解はしている。でも、毎月大量に刊行される新刊に、少ない小遣いを賭ける博打には、正直に言ってもう疲れ果てていた。


 無料も嬉しいが、何より僕と同年代の作者がいるかと思うと、読み手として声援を送りたくなる。


 一応、恥ずかしながら、僕もいつかは小説の執筆に挑戦してあわよくば……、などと考えなくもない。


「要は面白い小説を書けば、ポイントとかブクマがドッサリと貰えるんでしょ?」


と軽口を叩いてみる。


「簡単じゃん!」


 鼻くそをほじりながら豪胆に放言をかました。


 今日も朝起きたら、まずはスマホをチェックする。新着情報に新連載を見つけた。


「おっ、新作だ」


 あらすじ、キャラクター設定と第一話がアップされている。主人公が突然異世界に転移。この投稿サイトでは超ありがちの設定。理由は特に書かれていない。


「いきなり手を抜いてきたな」


 もっとも、転移、転生の理由があったとしても、トラックに跳ねられたとか、駅のホームから線路に落ちたとか、ビルから飛び降りたとか……。


「……伏線にならない転生原因をいちいち読まされても意味はないか……」


 それにしても、主人公はごく普通の中学生か、他に情報はない。待てよ、タイトルは……。


 「チートでニートな戦士の異世界ファンタジー、ニートの魔王と引きこもりのオレと……」


 チートでニートは異世界での主人公、つまり戦士は強いけど働かないし学ばない訳だ。


「物語になるのかなあ? 転生前は引きこもりの普通の中学生? すでに破綻している感があるけど」


 いやいや、未来は引きこもりが普通かもしれないし、インターネット中学校が普通かもしれない。


 ラノベを読むのが好きな中学生が初めて小説執筆に挑戦、勢いで投稿しました。そんな感じの小説だ。いつもなら即バックする僕も相手が同じ中学生と考えれば親近感も湧く。


「いつか僕が小説を書く時の参考になるかもしれないし、生暖かく最後まで読ませて頂くかな」


 朝食を済ませ、急いで家を出る。駅前の長い信号待ちでスマホをチェック、描写は少なくセリフばかりがやたら続く。


「いいね、いいね」


 僕はセリフが大好きさ。それにしても、この無気力なキャラクター紹介は何なんだっ!


 女の子が全員巨乳とは。いくら作者が巨乳好きとは言えバランスを考えて、普通は大中小にするよ。その上で主人公の好みが巨乳サイコーとでもすれば宜しい。


 髪の毛の色は赤青黄色なんて安直なっ! 信号機かよ! 背格好の設定はないし性格の設定もない。なんとも適当感が漂う。


「髪が赤の子は情熱的、青は物静か。黄色は明るいぐらいの性格設定は考えないのかね。それにしてもキャラクターの名前。どっかで聞いた事がある名前ばかりだな」


 某名前自動作成、製作サイトを開き操作する。


「この作者。キャラクターの名前を全部、自動作成しているんじゃあないのかなあ?」


 いくら何でもやりすぎだ。一人くらい真面目に頭を悩ませて、魂を込めて考えないものか。


「僕ならキャラ一人一人に素晴らしい名前を考えるんだけどな。こんな作家にはなりたくないよ」


レイ、女戦士の設定に目が行く。


「零、麗、黎、玲、レイか……。良い名前だけどなあ、手抜き作者のおかげでレイもとんだとばっちりだよ」


 それにしても……、【戦士ハウス】か……。真面目に考えろよーー作者~~。


 いや、待てよ?? 身寄りがない戦士だからか? もしくは虎のように強いとかの伏線なのか?


「まさかね。作者がテキトーなだけだね。十万ベリカ」


 それにしても主人公の名前がないのも不思議だ。単に考えるのがめんどうとか、自分の名前をカタカナにしてテキトーにつけりゃいいのに。モテたら結構、幸せだよ。それとも……。


 我は戦士なり、名前はまだない。とか狙っているのかな?


 信号がローゼの髪と同じ色に変わった。駅までの道を急ぐ。早く続きを読みたかったが、歩きスマホは学校で禁止されていた。


「一応、校則は守らなくちゃね」


 小説を読みながらの心の声解説を中止する。渡り改札を抜け、ちょうど到着した電車に駆け込んだ。


 異世界フォンにへんてこな名前の剣。魔人とのユルイ対決。貨幣の概念がない世界観。ピンとこない三人の女の子キャラ……。さてこの物語はどのように進むのだろうか???


シンジ/桐山 信二きりやましんじ

主人公、戦士。


ローゼ

シンジのアシスタントを務める。

巨乳、青い髪、一九歳。

優しく物静か、リーダー的な存在。


ナタリア

シンジのアシスタントを務める。

巨乳、赤い髪、一八歳。

情熱的で気が強い。優しさが見え隠れする。


アナ

シンジのアシスタントを務める。

巨乳、黄色の髪、一七歳。

三人の中では一番年下。早く一人前になりたいと願っている。


ロレンツ

白銀の騎士。


レイ

女性の戦士。


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