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創世戦記「第七話から始まる、読者の異世界ファンタジー」  作者: 川嶋マサヒロ
第二章「第七話から始まる、読者の異世界ファンタジー」
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第十二話「試行錯誤」

 翌日は朝から武器屋に行く、まだ開店直後なので他に客はいない。


「これは、これは戦士様、いらっしゃいませ」


 何時ものように店主の親父さんは愛想が良い。


「あの、これなんですけど」


 僕は持ってきた弓矢を見せた。


「普通のでいいので、もう何本か矢が欲しいんですが」

「なる程、少々お待ち下さい」


 店主は奥に行って矢の束を抱えて来た。


「三種類、いえ、四種類ありますね」


 カウンターの上に矢を置いて話を続ける。


「これは普通より少しは役にたつ矢ですが、この中で一番強いのはこれですね。丁度五本あります」

「これ、頂けますか?」

「どうぞ、どうぞ、お持ち下さい。魔雑魚なら消滅させられますし、魔人でも多少ならダメージを与えられると思いますよ」

「ありがとう、助かります」


 僕は礼を言って店を出た。



 【戦士ハウス】に戻ると魔人発見の通報が来ていた。北の森だ。僕は壁の時計を見る、まだお昼前だ。


「これから行かれますか?」

「うん、今日中に対処しよう。魔人は普通?」

「通報してきた人の話しですと、普通サイズの魔人が一体だそうですわ」

「行ってみるよ」



 魔人の気配を探りながら剣を抜き森の中を走ると、確かに現実の僕より早く走っているように感じる。息も切れないし、心臓の鼓動も変わらない。ローゼの言った通りだった。


「想像しろ、僕は戦士だっ!」


 数十メートル先に魔人が見えた。僕はそのままのスピードで接近して、こちらを振り向いた魔人の首を一撃で()ねる。落ちてきた首を剣で振り払い、残った胴体を叩きつけるように真っ二つに割った。


 想像通りに戦えた。


 次に新しい矢を使い弓の練習をする。こちらの方が軽いのでより早く放てそうだ、僕の体は小さく剣は小ぶりなので、戦いは力より速度を重視するべきだと考えた。



 僕は魔雑魚退治と魔人狩りに夢中になってしまった。毎日森に入って訓練をしつつ魔人と戦う。


 普通の魔人相手に小さい矢を三連続で射かけて倒したりもした。


 東の奥の山には通報がない限り近付かなかった。もちろん魔王の存在を意識しての事だ。今の僕では到底勝ち目はない。



 今日も話しは【戦士ハウス】から始まる。


「魔人と戦う為の新たな武器ですか……」


 僕の唐突な質問にローゼは同じ言葉で聞き返した。


「うん、何か手に入れる方法はないかと思ってさ」


 三人は顔を見合わせる。


「やっぱりあれかな?」

「あれはちょっと止めといた方が良いんじゃないの~~」


 ナタリアとアナが口々に言う。


「あれ?」


 ローゼの解説によれば……、百年前に近隣の街が魔人の軍団に襲われ放棄された。


 その街は、今はゴーストタウンになっているが中心部にある教会に、奇跡と呼ばれるレアメタルが置かれているとの話だった。


「魔人に襲われ放棄された街か……」

「レアメタルの話はほとんど都市伝説に近い話よね」

「魔人がいっぱいいるらしいですよ~~」


 ほとんど否定的な意見ばかりだ。僕はスマホの地図アプリを開く。


「この街からは遠いのかなあ?」

「一日あれば行ける距離ね」


 確かに隣の街へ続く街道から山側へ分岐している道があり、先には街の表示がある。


「リーワーフって言うのか……、森の奥にあるね」

「街道の分岐点まで半日、問題の街まで往復一日、帰りに半日。二泊三日ね」


 ナタリアがスマホを覗き込んで言う。


「街道沿いは夜間も安全ですからそのような工程がよろしいと思いますわ」

「その街で夜を迎えるのは不味いのか……」

「「「はいっ!!!」」」


 三人は口を揃えて答えた。


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