衣服の乱れは心の乱ら
作業用でもない限り、女性向けのズボンは解れ安く出来ていると言う謎の答えが帰ってきた。
言担ぎと、それの元となる逸話があるんだそうだ。
昔は、女性はワンピースにキュロットスカートような内側が二つに別れた長いスカートが主流だったらしく、冒険者ですらズボンを履く女性は少なかったそうだ。
そんな中で、ズボンを履いて旅をする聖職者がいた。
彼女は行く先々で巻き起こる問題を解決し、誇る事なく旅に出る修行者だったと言う。
まぁ、彼女が問題を解決するときには、衣服おもにズボンの解れが顕著に現れたので、願掛けや言担ぎの意味で、未婚の女性には、解れやすいが履きやすく過ごしやすいズボンが売られるようになっているらしい。
「解れる所か、一気に崩壊に至りましたが?!」
「なんか、コントのセーターみたいに変な所引っ掛けてたんじゃないかな…」
どっか引っ掛けてて、だんだん裾が消えてくセーター?
イマイチ納得いかないが、そんな特殊な編み方もなく。なんちゃらサーカスみたいに服引っ張っらない事にはバラバラまではいかないそうだ。
「ここまでくると、運が無かったとしか言いようがないね」
そう言いながら、真一はバラけたズボンをつなぎ合わせ、元の姿に戻してくれた。
テーブルに作業道具と一緒に、作りかけのブラパンとか型紙を広げないでほしかったな。
「直ったよ。もう大丈夫なはずだから。」
「ありがとう。でもこれは早くしまってほしい」
「ボクが作ってるの見てるんだから、そんな過剰反応しなくてもいいのに」
「日本人の中では立派な異性の下着だよ」
むしろ、売り込みやら製作やらそのブラに対する情熱はおかしいよ。
「まぁ、わかるんだけど、作り出したらそんなの気にならなくなっちゃった」
―その姿勢はおかしい。
「で、直接肌に触れるもんだから、色々作ってみてはいるんだけど、何か物足りなくて…」
ねぇ。お願いだから何気に巻き込もうとするの止めて?
視線を落とせば、見事な刺繍がなされたカラフルズ。
直視出来ずに、フードを下ろして両手で顔を隠してチラ見。
「…どこもかしこも卑猥にすぎます」
「……………………なるほど。これが普通の反応になるのかな。これはこれで可愛いよね」
「真一、あんま煽るなよ?」
「あんな、中高生で女性の下着売場直視できる奴いてたまるか」
「それだけじゃ、影ちゃんが茹で蛸みたいにならないと思うけど」
下着売場なら通り過ぎたら終わるからな。露骨にスマホ触りだしたり、エレベーターのベルト気にしてごまかす青少年のいたいけな心をなめんな!
チラ見がせいぜいガン見したらいきなり不審者あつかいなんだぞ。
「アホ。着けなきゃならないかも知れないとか考えた事ないだろ。今の影丞はソレに直面してんだ」
真一もあれだが、お前もたいがいデリカシーってもんがないな?!
「だいたい、着用者のこと考えるなら、ガーゼだの充て布くらいやっとけよ。
「…ああ、そういや飾りはつけたけど、足りなかったのはあれかぁ」
「穴あき下着とかにゃないみたいだけどあれ通常装備だろ」
「ありがとう!早速取りかかってみるよ!」
よく見れば、真一のパンテイ(言い方)は布の裏地がむき出しだった。
「…なにが」
「見たらわかる…」
ガーゼを取り出し折って、紡いで……………。
裏地らじががががが??
「ふぁあああっ!もう見てられないいいっ!!」
泣いちゃ居ないが、泣きダッシュ!
このまま冒険の旅にでよう。あんな卑猥なテーブルなんか、くだいて薪の足しにしてやる。
でも、ピンクの煙あがったらどうしよう…。
シャイなんです