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冬の間は(これで遊び回終わり

椿科探しの依頼を出して。


大根人参菜の花探しの依頼を出して。


白菜・蓮根・ゴボウさん。


etc…


気がつけば、依頼ボードの隙間は消えていたのだが、何故かその依頼ボードは素材屋専用ボードになり、一般向けの新たな依頼ボードが増設された。


翌日オレが「新しいボードは綺麗ですね」って職員に話しかけたら、素材屋専用の依頼ボードを一から作ってくれた。


なんででせう?



小さな悪魔。


それは、毎日夕方にやってくる。


トコトコと可愛らしい足音。

毎日、職員に挨拶を交わし、気がつけば依頼ボードに個人依頼(ほぼ塩漬けになる)を貼り付けていく。


来る日も来る日も来る日も来る日も…。


やがて依頼ボードは白紙の枝葉を生やし、雪化粧のような白々とした森が出来上がっていた。

たわいもない草花ばかり、気が向いたら忘れるだろうと、そちらは冬限定で素材屋専用ボードとしてあげた。


(可愛いけど後が怖いから)仕方なく新しく年明けの春に向けて依頼ボードを新調する事となった。


翌日、小さな悪魔はこうささやいた。


「新しいボードは綺麗ですね」

―増える。


そう感じた。誰もが間違いなく。

だって、居合わせた職員一同盛大にむせたんだ。


みんなきっとわかってた。


あるギルマスは、椅子に座ったまま腰を抜かした。


受付嬢はかつてない戦慄の中乾いた笑いを返すしかなかった。

何気なく放たれたあの一言。恐らく彼女は見たままを言葉に乗せたのだろう。


だが、もしあの時。我々が一回り大きな掲示板を作り素材屋専用ボードにしなかったとしたら?


そう。冒険者ギルド職員はあの瞬間。受付嬢がやんわりと案内した時の彼女の見せた屈託のないあの素顔。


その瞬間、我々が越冬を許されたと涙する仲間の背中を支え、ようやく一部の者は理解した。

一度見たら忘れもしない。―もの凄い苦笑い。


あぁ。あの子ホントに他意なんかなかったんだなって、な。


越冬関係なく無駄骨だったのさ。

小さな悪魔。


見送る足元に夕方の影法師。


時折、ユラユラ揺れている影。と風に煽られ覗く白く華奢な足。


―それは、そこはかとなく地面から浮いて…。


ねぇ、キミの本体どっち?


下?上?


もう足元見えないけど、本当は滑ってない?ねぇ!?ちゃんと地面踏んで歩いてる?


わからない。


やっぱ、専用ボード作って正確だったのだろうか…。


だが、悪夢は今年だけでは終わらない…。


Coming SOON


しーゆーネクストひぃ嫌ああああっ!!(職員の悲痛な叫び)


〇〇さん。また来年のこころだー。(落語家さん風に?)



夕方って事で

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