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肝心なのはそれじゃない

オヤジが話していた。


パチエバの次回予告と希望の槍は九割外れるから期待したら負けだ―と。


子供になんの話をしてるのとは思うが、オヤジは九割当たる予告で一割の外れを引く体質らしく、ちなオレにも似たような体験がある。


まぁそんだけの話。



二人に期待したオレがバカだった。


―ガン見してやがるわ。


脳内に焼き付けてどうするんだ、仲間がバカ過ぎて泣けてくる。


《くきゅ…》


腹が泣いている。



ガタンガタンバタン。


『あー、マスターあの書類どこしまいました?あれないと手続き終わんないです』


『俺は知らん。ありゃマリリンの管轄だから机の引き出しでも探させてもらえ』


『えーでも、マリリンさんの机鍵掛かってますよー』


『壊せ、さもなきゃでっち上げろ』


『…じゃあ、手続き明日にして渡しちゃいます』


明るい茶髪をポニーテールにした細身の受付嬢が事務所の奥の部屋から出てきた。

昼に、あれこれお世話になったのと同じ人で、暴れていたのはこのお姉さんらしい。


「ポポタン買い取り待ちのタケル様、永らくお待たせしました。」


「うぃっす」


タケル様がこれ幸いとカウンターに歩いていく。


「それじゃ、草のお勘定お願いします」


いや、この場合勘定でいいのか?


「では、ポポタンですが現在確認が出来てるだけで小麦袋128個分になりました。一袋あたりの買取額三千ギルで合計384000ギルになります」


「…真一、オレ今聞き間違えたかな?」


とんでもない金額だった気がします。


「いや、結構な量は集めたよ。でも、パン一個千円みたいなインフレなのかもしんないじゃない」


ああ、金額は高くても物価が高騰してて、お金の価値がない可能性もあるのか…。


「まだ確認していない物も大量にあり、そちらは確認が終了次第追加でお渡しします」


「あざっす」


後ろ姿だけだからあんまりよくわからないが健の声が普通にダラダラしてる。

大金て思うんだけど平気なのか?


「では、金貨三枚、小金貨八枚銀貨4枚、128袋384000ギル分を硬貨でお渡しして置きます」


「…………あざっす」


受付のお姉さんから健に革製の袋が渡され、そのまま固まっている。



「…受け取った時はその場で、中身を確認して下さい」


「あざっす…一枚二枚……あざっす」


……ダメだ、健の動きがぎこちなくなってきた。


「八枚…影丞ーーっ!!なんだこれモノホンの金貨みたいなんだけどーこれ!ピカッピカぴっかー!?」


「!?」


受付カウンターから大声で話始めたけど、健氏がパニックにより言葉がピカ語に変換されて、受付嬢がめっさ驚いてます。

オレ?


―頭の整理が追いついてません。



「…ピカピ―カ?(…18金だよな」


「いや、健が何言ってるかわかんないけど、前にテレビで見た金貨なんかよりピカピカしてる気がする…」


いや、言うほど綺麗じゃなくて刻まれた模様の窪みは黒いし全体的くすんでないか?


「…銀貨まで」

五百円玉より厚く大きな金貨三枚と、指輪にハマりそうなサイズの小金貨が八枚に1円玉サイズの銀貨。


貴金属らしい。

うわ、金の価値わかんねぇから比較のしようがない。


俺たちは人生で初めて貴金属を手にしたのだ。


「ねぇ、キミ達こんな所でお金を広げると危ないってわかって?」


「「「!?」」」


受付のお姉さんに指摘され慌ててお金を袋にしまう。


「昼に来た時は、宿代とご飯代になればいいからって話してたのに、まさか半日たらずでアレだけ集めてくるとは思わなかったからビックリしたわよ。」



「なんかポコポコ生えて来たんで、日が良かったんですかね…」


「う~ん、それも不思議なのよ」


元々ポポタンの種を撒いたりして一定以上の数を確保出来るようにはしている場所なんだそうだ。

普通は、あんなに沢山ポポタンの花が咲いている事はないそうだ。

最近はポポタンの持ち込みをする人も少ないらしかったから、運が良かったんだろうか。



「とりあえず、明日もポポタン行きたいんで、一通り道具貸して貰えますか」


「え、明日行っても生えてないと思いますよ?」


「…マジすか?」


生えやすい環境を作ってあるにしても、今日の量はちょっと異常らしいね。

それに、朝も注意されたのだが、ポポタンや薬草になる草花はは花の咲いた株しか需要がないので、草だけや蕾のままの花が咲いてないのは買い取れないらし。


「とりあえず、朝からいくなら今から渡しとくからしっかり保管して壊さないようにしてね?」


「「「いえ、大事を取って明日借ります」」」


お姉さん、それ借りてったら壊すか紛失するフラグだよ。

インベントリ入れとけば大丈夫かも知んないけど、そんなもの建立されたら、借りて帰る訳にはいかないです。



いや、それ以前に道具買えるんじゃないか?


「健、真一スコップ買えたりするかな?」


「…あ、なるほど影丞の言うとおり、自分たちの道具があれば壊す心配もないね」



いや、真一それはどうかと思うけどフラグ回避にはなるかも


「…エレアさん、スコップって幾らします?」


おぉっ!?


健は受付のお姉さんの名前把握してた。

こいつ割とシャイの癖に異世界を期にデビューする腹積もりか?


「いや、ギルドの職員はみんなネームプレートつけてるから自己紹介とかしないんだって言われた」


あ、よく見たらお姉さんの胸元に“エレア”ってかかれたネームプレート付いてた。


でもオレそれは聞いてないから、気付いた事とか連絡事項とかあったら、気付いた時にちゃんと教えといてくれ?

オレまだこれと言った把握してないから伝える事なしだけどさ。


「そうですね。木製スコップなら八千ギルでありますし、鎌は五千から鍬ならだいたい一万五千ギルくらい」


意外に鍬が高い。

木製スコップは先端に鉄製の板を被せてあるだけで、鍬は先端の金属部分が多いから高いらしい。


因みに借りたのは、先端部分の平たい所が全部鉄製だった。


「…明日買おうか」


「16まで冒険者になれないなら、スコップを使うのも一回こっきりじゃないし他の調理器具も買いたいな」


「…じゃ、明日買うか」


同じ作業するなら一本あれば大丈夫だしな。


「金物屋か街の中央市場に行けば買えますが、鉄製のスコップなら槍としてギルドでも取り扱ってます」


「「「槍?」」」


「槍です。幅は細めで刃先に鋼かませて、柄が細く長めになってるのは、長柄武器の代わりに使う事を前提に作られてるからですね」


ああ、炭坑とかのケンカでスコップが凶器になると聞いた事あるけど武器として作られたスコップなんかあるんだな。


実物を見せて貰ったけど、敢えて武器過ぎる作りをしているからつかいにくそう。

スコップて言うより、巨大スプーンみたいな見た目してたよ。

いや、寧ろマーガリンをヌる時のヘラに近いか?


「…ダサくてつかいにくそうだから他でしっかりした物買います」


健、ダサいとかハッキリ言わないで歯に絹を被せるくらいして?

日本男児!苦情も悪口もオブラートに包め!!

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