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短い実りの秋(何話か昔みたいに小説で遊びます

キノコは夏から秋の中頃が旬。

冬の鍋の時期は旬じゃないのよ。


つまり、今が食べ頃。


しかも、全員毒がきかないから取り放題食べ放題?


ナメ茸はエノキ茸の加工品だけ、光るキノコと白いキノコは、ほとんどが食べれないらしいから避けて、椎茸とかみたいな無難なのも実は危険。


キノコはほんのちょっとの違いで毒茸だったりするんだとさ。

知識がないので、キノコは市場で手には入るもねだけ購入。


椎茸みたいのをバターで焼いたら変な色の模様が滲んできたよ。


味はキノコ。椎茸じゃなくて辛うじて“キノコ”と評価。


強いて言えば、どれもこれも市場にあるのは味はエリンギが一番近い。


うまみノンノ。それがこの世界のキノコさ。


焼くと見た目が毒茸に変わるわ。

鍋に浮かんだワンアップキノコは見た目のポイント(破壊力)がマジで高かったぜ。


総じて味がエリンギで箸が進まねー進まねー。 ひたすらエリンギ鍋よ。

煮ても焼いても、傘はエリンギみたいにコリコリ堅くて、ふかふかの椎茸のバター焼き食べたいわ。


―異世界ふざけんな。



「…と。言うわけで、秋の味覚キノコ狩りにまいりました」



「ギギャー」


「「ギギャギャー」」


ゴブリンの皆さん、リーダーの帰還に大はしゃぎ。


ここからは、健の独壇場?


てか、オレの影響ないからホントに魔物じゃなくてゴブリンと言う生き物なんだね。


夏前は丸裸だったのに、ドルプーみたいな綿毛生えてるし…。

なんて不思議生物。


生え揃ったら、テントウ虫みたいに腐葉土の中で固まって冬眠するらしいけど、見た目はちっちゃなイエティになるんかな?

うん。なにそれ可愛い。


真夏は、まんま丸刈りにされた羊かトイプーだから、生皮キメェとしか表現のしようがないがな。


まぁ、そこは天然の狩人様で、生えかけの綿毛は綺麗なピンクに染まってます。


何でしょう。お食事会の最中でしたか?

流石は、冒険者も恐れぬ恐れる小さな野獣。


その彼らに、さっきから健が一人、身振り手振りで用件を伝えているみたいなんだ。


「キノコ カリ ニ キタ」


「ギギャギャー」


「キノコキノコ」


「ギャギャギャー」


両手で頭に傘を作ってスクワット


「キ ノ コ 」


「「「ギ ギャ ギャ」」」


「キノコ」


「「「「「ギギャギャ」」」」


健さん。なに“キノコ”覚えさせてんすか。


食べ物じゃなくて、“キノコ”を覚え始めてんだけどどど?



ゴブリンのみなすわーん?


「キノコ」


「「「「ギギャギャ」」」


全員真似してる…。


「…よし、探しに行くか」


汗を拭いながら健が歩いてきたが、ゴブリンさんらに命令とか出さないすか?


「いや、基本的に肉食だし誤って毒キノコに手を出されたら寝覚め悪いだろ?」


「そりゃ正論ですけどねぇ!?」

「影ちゃん。結局健のやる事なんてそんなもんだよ」


ゴブリンさんら“ギギャギャ”大唱和してんですけど、コレ取り返しつくのかよ!?


「飽きたら忘れるんじゃね?」

マジテキトーだな。配下のゴブリンがギギャギャギギャギャとキノコのポーズして騒ぎまくってんぞ。



「あ、キノコみっ「ギギャギャーギギャ!」


キノコを見つけると、監視ゴブリンが叩き砕き身振り手振りで厳しい口調。


「アッチのは」


「ギギャ!」


遠くの松茸かSimejiみたいのを指差せば両手で×


ちょい。マジで健のボディーランゲージ覚えちゃったみたいなんだけどど。


健は健でゴブリンを引き連れ大移動。


「ギギャ!」


「コレは食ったら死ぬ?」


「ギギャギャ・ゲェゲェ」


「…下痢か嘔吐」


「ギャ?」


「ちょい微妙?新種なのか」


「「ギギャギャーギギャ!」」

「素人がキノコに手を出すなんざ百年早いだと?」


「ギャ」


「ああ、十分に反省するよ」


健さん。完全に会話が成立させてるけどやめて。


健が人間に進化してるかどうか怪しくなるから…。


「ギャギャ」


「「「キギャキャ」」」


いきなりのゴブリン散開。


「生で食べれるキノコは少ないから集めてくれるってさ」


「うそだっ?!」


「しかも生食限定!?」」


「火を入れるなんて教えてないし、野生だから仕方ないよな」

健は“猿だな猿”と呟いてる。

確かに日本猿は、椎茸の原木から荒らしてくらしいけど。


「そもそも、キノコを生で食べるだなんて聞いた事ないでございますですが!?」


「驚きのあまり、影ちゃんの口調がおかしくなってる」


「タケノコが食えるんだから、あるんじゃないのか?」


「そもそも、僕ら毒茸でいいから食べようとしてたんだよ」


何を今更と、二人して見てくるが、オレがおかしいのか?


いや、それ以前に。毒茸を食べようとしてた時点で、大分おかしかったわ。


「まぁ、食べれないよりいいだろ」


「せめて、刺身にできないかな…」


違う。健はドクダミ生を生食した野生の男、ドンウォーリ?


真一は真一でひたすら遠くを眺めてる。既に何かを諦めた後なだけ。


オレはオレで、一周回って正気に戻った、と。



三者三様、十人十色って奴か。

相変わらず、息あってんのかズレてんのかわかんねえな、ウチらは。


〜〜ネタバレキャラの一コマ〜〜〜〜〜


M美「まぁ、影丞さんたちじゃそんなもんだと思いますよ。けど、ロクな事しないのは昔からだったんですね…」


E丞「ごもっともです」


某廃村での、干し椎茸製作中の1コマでした。


三下勇者H「E丞の姐さん、ちと手伝いやしょうか?」


E「?(゜゜)君まで無理して出てこなくてもっ!?」


気になる方は旧素材屋へ(笑)


三人が冒険者になれば、その内みんな出てきますけどね。


〜〜この間本編から割愛(気分だけ)〜〜〜〜〜〜


気がつけば目の前は大量のキクラゲ。


「…意識が飛んだっ!?」



「コリコリコリコ…リコリコリ…」

「コリ…コリコリコリコリコリ…」

無言でキクラゲを咀嚼する二人。エリンギからキクラゲに変わっただけだ。


基本的に味なんかしねぇのにかわりない…。


―野生の秋の味覚は難しい。


一緒にアケビとか果物も集めてくれてた。


でも、アケビって種さら食べるんだっけ?


食べた事ないからわかんない(汗)


ゴブリン達は皮さら食べてみせた。


確か、アケビの皮煮物にする所もあったような…?


でも、生じゃないよな!?


その後、オレ達は湖で魚釣りをして川魚を焼き、ゴブリン達の差し入れ…と言うかリーダーへの貢ぎ物の…何の肉かわからない肉を焼いてバーベキュー。

(真一が、シカとか猪とか蹄のある四足歩行なのは間違いないと断定した)


キクラゲを串焼きに、ゴブリンと輪を作ってコリコリコリコリ音を立てながら食べた。


超シュール。


その騒ぎの中、ゴブリンの一匹が洞窟に火種を持ち帰り、ゴブリン原始時代がやってきたとか来ないとか…。


振り回すから、途中で消えて墨だけ持ち帰ったとだけ告げておく。


なんか、久しいやりたい放題な回だな?


コレが素材屋クオリティってな。


「ぎぎゃきゃ」


「なに、くれんの?」


「き…にぎ…きょ」


下ネタか、ブナシメジを内またに挟むクオリティ。


オッサンゴブリン覚醒。


「ぎ…にょ…ぎゃ!ぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ」


笑ってるし完全にキノコ覚えたぞ。


健さん、アンタ一年待たずに生態系を一つ狂わせたよ。


他ゴブリンがブナシメジ触りにいく始末。


終わったな。


何かが終わったよ。



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