ソニックソニックソニック
ごわごわ
オレは遠距離補正最大。
目の前の海になげれば蒸滅する投擲レールガンに、回復術は見た目がカメっ波。
はい、謎は全て溶けた。
あれよ。漫画でなぜか遠くの人が同じ声量で会話できる的な原理。
うちは遠いとか壁隔てると『』なかんじになるけどさ。
独り言じゃなくて、会話が始まるパターンとかよくあるけどね。
せっかく、遠近法使ってるのに、セリフ回しに遠近法が適用されないのはなんでだ。まぁ、マンガの進行的に不具合なけりゃそれでいいのか。
もしくは全員地獄耳と言うことで?
とにかく、余波で石割れかけるとかちょっとした兵器涙目になる威力である。
「大声禁止にされたら、遠くの人に何か伝えたい時、ボディーランゲージしかできなくなるぞ」
「それでも、周りの人の鼓膜破れるよかいい」
「僕ら、かなり頑丈な部類だから、耳痛くなるだけですんだんだよきっと」
二人とも、目薬みたいに耳にポーション流し込んでる。
「…飲めばいい奴なのに」
「患部に吸わせた方が早いんだよ」
「中耳炎かなんかみたいで痛いんだよ。やっと痛いの退いてきたし」
健は頭に被ってから、二本目を飲み。真一は最後のポーションを飲み干した。
「ご飯の前にとんだ騒動だよ」
「ダメージ食らう超音波とか、破壊兵器かお前は」
「違うよ。音より何より空間の振動による衝撃波だよ。あんなの誰が防げるんだよ」
耳元に手拭いを当てて、目を瞑る真一と、同様にガシガシと乱暴に水滴を払う健。
。
「カメッ破の後は、全体攻撃のソニックブームとか予想できるかよ」
「悪かったって、解ったからご飯食べてよ」
「ああ、貰う貰う」
「僕もすぐ食べるからよそっといて」
「はいはい。大声は出さないで何とかしますよーだ」
仮面とローブでどうなる事やらな?
ちょっ試しにやってみるか。
「いまから身振りだけで伝えるからオレの言いたい事当ててみ?」
「え。ああわかった」
「う、ぅん。その恰好でやるんだ?」
それじゃ最初のお題目は。
[おいしいか?]
「ん、うまいぞ」
「いつもと同じだね」
[正解です]
「…生贄よこせ?」
「…いや、腸ぶちまけろじゃないか?」
[なんでだよ!?正解だよってやったんだよ]
「もう邪教の儀式にしか見えないよ」
「真一に同じ」
「やっぱ無理じゃないかよ」
仮面をとり、フードを脱ぐ。
「基本的に、フルアーマーでの意志疎通は無理だな」
「そうだね。普通に会話すれば何の問題もなかったんだから、普通にしてればいいよ。
今まで、驚いた時に叫んだりしても何にも起こらなかったんだしさ」
「影丞が、離れた場所の奴を呼ぼうとしたからじゃなくて、意識して大声をだしたから、遠のくまで伝播するとかか?」
「かなり離れてたけど、耳元で叫ばれたような感じだったから、どこにいても同じ声量で聞こえてるなのかも」
「非常時には有効だろうから、使い勝手は調べなきゃならないんだろうけど、あれを試しでされるのは、かなりしんどい」
「ゴメン。僕多分耐えられない」
なんか軽くトラウマってるけど、友達の鼓膜痛くしてまでやりたくないわ。
「とりあえず、機会が無いようにすりゃいいんだろ」
「ああ、そうだけどな」
「はぐれたりしても、距離感掴めないからアレはアレで不便だろうからね」
ああ、確かに大声上げて、誰が何処に居るか確認したりとかやるもんね。
まぁ、オレは空に回復術打ち上げて集合場所になればいいと決まってるから声を上げる必要はない。
―そう言えば。
「鍋に豆入れるの忘れてた」
「影丞、それ今思い出す辺りスゴいよ」
「ああ、それで具が少なめなのか」
「…追加します」
クリーム汁だけになった鍋に豆投入。
「クリーム鍋〆と言うことで」
「豆でオジヤするみたいなもんかな」
「豆のクリーム煮だろ」
料理の世界は難しいもんだ。
しかも、石に罅はいるダメ叩き出してんのに、足元の鍋が無事だったのはなんでだ?
お約束かご都合主義?
これを二人に話したら、ご飯が更に遅くなりそうだから黙ってるか。
―お口にチャック。
そして、オレはホラ貝になる。ぶおおおおっ!(※五月蝿い所ではすまないのでイメージです)
「…ひと煮立ちお待ちください」
水煮してあるけど、ちょっと位はおかないとな。
蓋をしてーと考えてたら、真一がお玉でよそい始めた。
「僕は敢えて投入したばかりのを食べたい」
そういや、真一のカップメンの待ち時間は短くて、食べ終わり位が食べ頃になるのが普通。駄菓子麺のウシメンとかぬるま湯で作ってバリバリ音起てながら食べてたりしてたな。
あー、無性にカップメン食べたくなってきた。
細切りのパスタ擬きがあるから、追加投入しよ。
「なんで追加!?まさかのわんこ鍋!?」
「カップメン食べたいけど、ないから追加しただけでーす」
確かに増量したけど、真一驚きすぎじゃないか?
ちょっと食べたくなってきたから入れただけだってのに、“わんこ鍋”とか新しいな。
夕食に新ジャンル開拓か?
いつまでも食べれないパターンの、流しそうめんの最後尾は、ある意味わんこ蕎麦の逆バージョンにでもなるのかな?。
わんこ鍋は、次々と食材が投入され食べ終わりに蓋をしないと終わらない。
しかし、蓋をして一煮立ちしないと味がしみないので一瞬で終わる奇跡の鍋。
意味ないなわんこ鍋。
よし廃案だ。
「影丞が食いたいもん追加とか珍しいな?」
「うん、なんか無性に食べたくなってきた」
「ほーん?」
不思議そうに見てくるけど、そんなに珍しいか?
いや、普段おかわりすらしてないんだから、確かに珍しいわ。
「成長期が来たとか?」
もしかしたら、ここにきてようやく身長が伸びるやも知れん。
「アバ体の身長がリアルに反映するかは別として、所謂黒髪ロングのチビ巨乳から、人並みになれば有り難いけど、胃袋のサイズはどうせ変わんないから、量が増えても人並みの量になるだけだよ」
「お前、どんだけ自分の可能性を否定するんだよ」
「卑屈なくらいに冷静とか…」
「美人になっても困るけど、老化も成長もしなかったりしたら、一生この身体のままって事になるから、それはそれで困るんだよね」
チュルチュルとパスタを啜りながら話を続けるが、予想通りたいしてはいらん。
「ごちそうさま」
老化やろ人並みの変化がなければ、何年かに一度は離れた街に移動したり、下手したら国やら組織から追われて逃げ回らなきゃならない生き方になるかもしれないからな。
早い段階で、人目をさけてどっかの山に籠もるとか出来てればいいけど、人里はなれると魔物しかいなくなるんだぞ。
魔物逃げてくらしいが、そんな寂しいとこで延々と生きてけるほど人格形成されてないわ。
悪役令嬢モノなら、奥地には食べ物がある未開の森とかで、ほとぼりが冷めるのを待ったりとかするのもあるけど、目的なく森に移り住むのも何を警戒してるかわからないし…。
「まぁ、影丞の能力で不老不死とかになると宗教くらいできちゃいそうだよね」
「昔から、坊主やら何やらに拝まれたりするし、影丞は意味分からん」
「宗教なんか出来る訳ないじゃん。変な事言うなよ」
「宗教的じゃなくても、ファンクラブみたいな偶像崇拝なんか結構聞くぞ」
偶像=アイドル
偶像崇拝=ファンクラブ
美人教祖×
オレの装備邪教=ただの邪教崇拝。
中世ヨーロッパだったら、最後は魔女裁判で火炙りとなる可能性大。
「そんなロリコン教出来てたまるか」
美少女だが、身長的にロリだから、危険思想のやつしか集まらなそうだしな。
「ロリコンか?」
「おれらと同い年くらいならロリコンじゃないと思うよ」
「隣のクラスに14才と付き合ってる奴いるの知ってたよか?」
「ロリコンだな」
「中学生は犯罪だよ」
そうか。
「オレ13か14にしか見られてないのも知ってるよな?」
成人女性が170くらいあるから、中二時代の150そこそこ設定じゃ……当時は148しかなかったんだよ。
これでも当時は、割増だったんだよ(泣)
「身長だけならそうだが、影丞15さいだからな。…てかよ。あんまこの話はこだわらない方が、身のためだよな」
「いや、別に幼女囲ってるとか言われた事ないし、普段年齢も特にきかれないんだから、影丞は外見気にしすぎ」
「偶像崇拝とかアホな事いうからだよ」
てか、気にしてるのは身長だ。
「あんなん下町のアイドルとかそんな意味だぞ。」
「もし、お前らがこの体に入ってたとして、かわいいかわいいと言われて喜ぶか?」
「…ないな。ない」
「素顔とかならまだしも、アバ体だと確かに微妙だろうね」
「オレも、ゲームん時なら娘様を誉められて悪い気しないけど。内側からの視点では嬉しがれる事出来るような性格でないんだよ。
真面目な話、喜んでたらちょっと変だと思うぞ。」
意図せずに、音速を軽く超えてくオレの遠距離関係系のキレ具合は大概みたいだが、喜べるのはロリコン以上のキレた人だ。
ポンポン超えてく音速より、そっちのがよっぽど厚い壁があるわ。




