少女の悲鳴はちょっとした兵器
ツルッパシが持ち上がらん。
工場現場の半円形したツルハシだけど、ここは敢えてツルッパシ。
仕方なく、チョンチョン鍬で石をけず…うん、わかってた。こんなオモチャみたいな鉄の鍬で岩が削れる訳ない。
そして、日が暮れてから陣地構築。
夜が明けた。
いつもなら、そうゆうオチだが、それだけでは終わらないのが素材屋クオリティよ。
▼
はい。此方石切場からライブ放送でお伝えしております。
「くそう、非力は罪だ」
慣れては来てたが、か弱いぶってんならともかく、真面目に日常生活に支障あんだよ。
「筋トレして、リヤカーひけるようにゃなったろ」
ガラガラと、三人で掘り出した石を物色中。
昔海とかみたい場所におおい砂岩みたいだから、頑張れば貝の化石くらいみつかるかも?
きめ細かい泥岩だと沼地とか湖とかになるらしい。
地殻変動で大陸は浮き沈みしてるから、今地上の鉱物をとりつくしたとしても、地球の七割をしめる海中の鉱石類はとりつくせない。
海底にしずむ、コバルトだかニッケルやらレアメタルの塊とかも、大陸が沈んで海が陸になる頃には、土がかぶさって新たな鉱山として成形される訳だ。
数万数十万年先どころか、数百万千万年単位の時間と途方もないエネルギーを費やして、大地は大地と繋がり大陸になり、海に生まれた島と大陸がくっついて、また一部が離れて沈み、陸地は海へ海は陸地へ。
つまり、人類が地球の資源を取り尽くすのは到底不可能か、地球を作り替えるくらいエネルギーが必要。
栄華しやがて遺跡や砂に埋もれた古代文明。数万数千たらず歴史しかない生き物が必要とし取り尽くせる資源はたかがしれたものでしかない。
つまり、地球のどっかに金山鉱脈の元になるかも知れない金塊がゴロゴロと群れで転がっていても不思議じゃないわけだねー。
でも、オレ泳げないから関係ない。
それより今は石砕きだー。
「因みに、化石には魔石がない。なら、地球と同じ生物の法則性に則って存在していたと思われるよ」
「…健。影丞がなんか言ってんだけど」
「アイツ進化論とか好きだから、テンションあがったんだろ」
そう、魔石を持つ魔物は、解体して肉や素材を拾う事が出来るが、化石にならない。
そもそも、幼性体や卵を見つけられる場合はほとんどなく、ダンジョンモンスターのように成体で発生する場合が多い。
引き継ぎと進化はないが、ドラゴンですら生まれたては知恵がないため、倒すのは不可能ではない。
倒せば、人々が生きるのに必要な素材が手には入る。
それこそ、鉄は土から掘り起こすのではなく、錆びた武器のコボルトやゴブリンから奪い、釘やらなにやらに作り直す物。
砂鉄を集めて玉鋼など、論外らしい。
つまり、広大な大地を有しながら、まるで手付かずなのも魔石のせい。
魔石には必要な物が集まる特性があり、何ものかに生み出されているなら、誰がなんのために魔石に集めているのか?
「自然を破壊されないゃ、うに、精霊が魔物を生産してるのかも知れないね」
「…いま噛んだし、誰に説明してんだろ」
「ほっとけ、独り言だしいまあいつ絶好調だから、口挟んでも煙たがられるだけだぞ」
「だいたい、なんで生まれたてのゴブリンやコボルトが“錆びた剣”なんか立派な武器を持ててんのよ」
拾った使用だとしても、毎度変わらずとか御都合主義にも程があるわ。
「影丞なにかと語り合ってるのかな」
「一人討論会は昔からだけど、相当ストレス溜まってたか?」
「テレビないからね」
「紙の本も高いから図鑑なんか買えないからな」
娯楽はないと前回から引き続きお伝えします。
「…姉さんみたいに絵心ないから、漫画かけなくてゴメンねぇ」
「BL専門だから、マジで居なく良かったわ」
「最近は文房具人化にはまってるみたい」
消しゴム×ノート・鉛筆×鉛筆削り。
「…最悪ですな。」
「あ、戻ってきた」
「Otoko主だっけか?」
いや違うから。
だって。
「変な話はじめるから、岩×チョンチョン鍬なんて思い付ちゃったじゃんかよ」
岩が騎士で鍬が看守
女騎士ならまだましだったけど、BLだったから最悪だ。
〜〜〜〜〜〜〜〜
『俺のとがった先端でお前を粉々にしてやるぜ』
『く、棒切れ如きつつかれようと、俺の大胸筋は屈しない』
「オラオラオラオラ、ここかここがもろくなってんじゃねぇのか?!」
「く、貴様の細い先端でしげきされようとシックスパックの堅牢さには敵わないと知るがいい…あはん」
〜〜〜〜〜〜〜〜
「………いや、微妙すぎて何がなんだか」
「…うわ、姉ちゃんならやりそうなのに、影丞の発想力のなさで台無しになってる」
「声はかわいいんだけどな」
「残念美少女だからだね」
色んな意味で不評だった。
「ごめんねごめんね〜」
「影丞のネタ話はわかりにくいんだよな」
「発想力はあるのに、説明能力皆無だからねー」
何か今スルーされましたが気がつきましたか?
気づいた方はごらんの宛先に…、あら?今オレ何してた。
「…上がサラシだけなのに、エロさを感じないのも才能だよな」
「え、作業してたら汗かいてきたんだからしかたないじゃん」
そう、下は袴だけど上はガテン系気取りで脱いでみた。
「だいたい、健と真一は半裸だろ」
「…いや、俺は男だし」
「余計な洗濯物ふえるし」
「「「まぁ影丞だし?」」」
レー〇ー百みたいに、三人綺麗にハモった所で、発掘調査隊もお開きと言う事で?
「…今夜は徹夜だな」
「薪集めてくるよ」
「ちょっとまた夜なべすか? 」
「テントはリヤカーでいいから、障害物集めるだけだぜ?」
いや、石切場って見渡す限り石しかないんですが。
「いまから、城壁も万里も越えて見事な奴を作ってやるさ」
…マジかよ。石削り始めたぞ。
てか、真一はどこまで薪を集めにいった。
三キロくらい先まで岩山しかないんだが?
「ただいま。影丞なにしてんの」
「いや、お前薪探とか何とか言ってたからどこまで行ったかと思って」
「あ、今はなれた所でトイレしてきただけだよ。薪くらいインベントリ入ってるし」
大であると仕草で示すが、イラン情報よこすなや
「同じルート行って他人のあれ踏んだらいやだろ?」
「そうかよありがとさん」
健は一人で石と言うか岩山運ぶし、ピラミッド作るきかよ。
詩法に巨石を運び、門だ通路だとか言いながら二段にした所で。
「…よし完成」
「せまっ?!」
高さは、三メートルとかなのに、リヤカー二台ぶんか三台分し広さかない。
いや、ちょっとしたワンルーム位の広さはあるけど、石くずけてきたらおわるんだが…。
いや、ピラミッドサイズが壊れるとかないだろうけど、剥き出しの石壁って威圧感半端ない。
前の地下道もそうだが、変に威圧感感じるしダンジョンとか苦手かもしれないなー。
「オレ、冒険者やらないで生きてきたい」
「健がこんな事するから、影丞が変な結論だしたよ」
「俺のせいかよっ!?」
この状態には、流石に真一でも思う所あるみたいだし、石壁なかったらりゃそうは思わんさ。
「ご飯は外で仕度するからね」
「…今日は、パンだけでもいいんだが?」
なんか健の意見が消極的なのは軽く反省してる時だ。
「そんなのは、腹減るだけなんだから、鍋でも作って腹一杯食べようよ」
まったく、怒ってる訳じゃ無いんだから、反省に人を巻き込むなよ。
オレが居れば魔物も出ないと言うなら、何やったって関係ないんだからな。
「影丞。もしかして、本当に魔物が来ないか試すつもり?」
「ここは元々いないんだろ?鍋くらい平気だよ」
岩盤剥き出しで草木がないのはここらだけで、三キロ離れたら森だ。
来るときは森の魔物が来るだろうが、住み着いてる魔物は居ないらしいからな。
比較的に、他よりは安全に試せるんじゃないか?
「わかった。それなら、辺りを一回りしてくるよ」
―トイレ?
ではなく、見回りですね。
「うぃ、お任せします。健冷蔵庫丸ごと出して」
「わかった」
衣装ケース位の木箱に、氷を入れた冷蔵庫である。
二人が居ない時には、部屋の隅に此が置いてあって、そこから材料を出して飯を作るのだよ。
「青白菜と肉と豆に…」
ダシは、海藻にして…。
「あれ?豆少なくないか」
「…作業中にちょっと食べた」
「そうかよ」
そうかよ。さっきのは食材減らしたの誤魔化そうとしただけかよ。
「健。大した意味無いんだから言えよ」
「スマン」
これくらい大した問題じゃないんだからよ。
水は少量で細かくした海藻を煮立てたら、角切りにした肉。下煮してある芋類と紺色玉ねぎ投入したら、蓋代わりに白菜をどっさり盛る。白菜がしんなりして水が増えたらホワイトソースと牛乳を加えてひと煮立ち。
後は盛るだけ。
簡単な三十分クッキングさ?
「はて、真一遅くない?」
「だな。様子みてくるか?」
「いや、大丈夫でしょ」
大声で呼べばわかるよ。
胸一杯に空気を吸って、いっせーの。
《「しんいちー!?ごはんできったよーっ!!!」》
「ひぃっ!?」
オレの最大声量の叫び。予想外にワンワン辺りに反響しこだました。
『りょっ!りょーかーいーっ!?』
健が耳塞いでビックリしてる。
「影丞!?何だ今の、今の耳がバカになるかと思ったんだけど!?」
「んな馬鹿な」
「いや、岩ひび割れはいったし」
石壁のひび割れを指差したけど、それこそ冗談しょ?
「んな、お前らじゃあるまいし岩ひび入る訳ないじゃん」
「飯の後で、もう一度やってみたら解る」
「そんなん今からやればわかるよ。《しっんいちっ!!はやくっこーいっ!!》」
『ぎゃあぁぁ!耳がー?!』
あれー、手を添えた先に蒸気みたいな揺らぎみたいの発生したような?
「影丞、いま口から衝撃波だしてたぞ!?今日から大声絶対禁止だからなっ?!」
健が耳を抑えながら訴えてくる。
「うああ、影丞いまの耳おかしくなるかと思ったんだけど、ななんかおかしな事しなかった?」
焦点の定まらない目で真一が歩いてきた。
「いや、ただ全力で声を上げただけだよ!?」
「…とりあえず、頭とかいろいろ狂いそうになるから二度とやらないでください」
「俺からもお願いします」
―二人して土下座してきたんだけどどどど?