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フラグクラッシュ?

三日目\(^▽^)/

ダンジョンからただいましてしばらくしたちました。


もう、異世界に来てかれこれ半年近くです。


なにはともあれ、機織り機が我が家に導入されました。


昔話で鶴が布編んでたような奴ですが、農家の古い倉庫の片付け(解体)をしてきた二人がおみやげ代わりに持ち帰ってから、毎日休まず編んでおります。


 ―シンイチが。


いや、オレの暇潰しとか内職のつもりで持ち帰ってきてくれたんだが、試しにとの名目で真一が始めたら、ハマったらしく暇があれば機織り機とにらめっこする様になってしまった。


カシャコン、サッ、カコカコ。

いくつも並ぶ糸のロールから延びる縦糸。カシャコンで同じ本数の縦糸を上下に入れ替え、サッと隙間に横糸を通したら、カコカコと、櫛みたいので横糸を詰めてを繰り返す。


カシャコン、サッ、カコカコ。

なるほど、手で同じ事してたなら、産業革命とか余裕で起こるわと、音を聞きながら納得します。


ましてや、機械で自動化したら尚更ひといらないわ。


ただ、糸のコストが馬鹿にならん。


鶴助けたお兄さん、自分で編んだりしてたのかな?

ちょっと気になった。どうせすぐに忘れるけどさ。



糸のロールが一本五百円相当。それが、上下合わせて、百二十本。

新人冒険者の一財産を軽く超える(爆)。


それだけあっても、横幅は大した面積にならないとゆう…。


真一の奴、わざわざ細い糸選んで拾ってくるんだもん。太いのならそれなりに幅とれるんだろうにな。


機織り機は、梁の上のロフト部分に上げられて、上から聞こえる音をBGMに、健と二人でお茶を飲む。


オヤツは、薄切りにした堅いパンにピーナッツバターつけた物。砂糖混ぜたきな粉まぶしたりして食べるだけ。


よく、堅い黒パンはマズいとかファンタジー物で言うけど、ここらのパンは基本的に白くズッシリ重くて堅い。


切り分けたパンをキャンパスに、食材を散りばめ綺麗さを競い合う宝飾展なんてのもある。


綺麗さが浮き立ち味はまったくないそうだ。

でも、現地民には人気があるらしい。

デコ弁みたいなモンですかね?

とにかく、堅いパンに甘いの付けて食べると割と美味い。


黒パンみたいなもんだと思うけど、マズいマズい言う冒険者は工夫が足りないよ。工夫が。


―テキトーいてみた。

黒パンなんか食べた事ないもんねー。


ピーナッツバターの販売も前向きに検討してみよう。


色食文化だし、生産力よりこの不可解な深紫色の物体が売れるかどうかに拠るよね。


絵の具の白黒以外全色混ぜたいろと考えてくれ。それをパンに付けて食べてる訳よ。異世界って感じより、異界とか魔界の食べ物の感じしないか?


作る食事も冒険で、今日も心を刺激するが、菓子みたいに鮮やかで、そろそろ普通の飯が食いたいわ。


「まさか、真一がハマるとは思わなかったわ」


酒精のアルコールランプでパンを炙りながら健は呟く。


「まぁ、真一は向こうでも生地の買い出しとかしてたみたいだし、ありなんじゃないの?」


「影丞の言いたい事わかるんだけどなぁ…」


「何?なんか思う所あんの?」

「…いやな。家に居ても暇なだけなのって俺だけになったってだけだしよ」


「オレのは作業で仕事だし、暇潰しにはなんないからな?」


休みのが、全員の飯炊きしたり忙しいんだからな。


「だいたい、休みは休みで外に出掛けたりとかしてんじゃん。特に今更気にするような事じゃないと思うよ?」


小腹すいてオヤツ支度したりするとドンピシャで帰ってくるあたり不可解なんだがね。


間違いなく出掛けはしてる。


オレはたまに散歩は行くけど、近所だし、出掛けても薬を卸に 行くだけよ。

リヤカーは大きすぎて、移動出来ないが、台車作って貰った。利便性に、笑いが止まらん。

だって、木箱一つ目抱えてヒィヒィしてたのが、箱二つ載せてゼイゼイ移動できんだからな。

うん、爆走してるさ。


大きめのタイヤを六個付けたから、勢いよく走り始めると制御不能のモンスターマシンになっちまうのさ。

何人たりともオレの前は走らせねーってか!足ブレーキ軽すぎてきかねー!仮面とローブのおかげでみんな避けてくれてます。


影法師に引かれると、知らない場所にとばされるなんて噂があるくらいさ。

触れた人にも軽気功が伝播するにしてもありえないから単なる噂だよ。


まだ誰かを轢いた憶えないからな!?


無意識の間に五六人轢いてるとかだったら怖すぎる。


話がそれた。


とりあえず、健が趣味みたいなのが欲しい訳だね。


「作業中、それなりに影丞も楽しんでんだろ?」


「つまらなくはないよ。でも、遊んでる時の楽しさとは絶対違うからな?」


ローブ着たりすりゃ、産廃で実力向上も目に見えるしな。

面白くないわけじゃないんだが、趣味とは違う。


「それ以外にも、なんか庭に塩水まいて、実験してんじゃん」

「塩水で草枯れたら楽だからな」


後は野となれ山となれ、生えなきゃいいんだ。

塩害は確実だけど畑じゃないからたぶん大丈夫。

それに、井戸が塩水になんて事にもならないと思う。


「オレもなんかやりたい」


「そんなん言うなら、今から探しに出掛けてみるか?」


暇潰しでも、魚釣りは失敗だったからな。紫色の汁とか糞不味そうなだけだった。


「いま家でする様な事なんて、なんかあったかな?」


ゲーム機もないし。明確な暇つぶしは聞いた事ないなー。


「酒盛りとか、デリヘル〇?」


「誰が呼ぶか。それより。家でゆっくり出来る事をやりたいんだよ」


「んじゃ、とりあえず暇つぶしに炭切りでもしててくれ」


夕飯の支度の為にな。


「手伝うけど、影丞もなんか情報さがしてくれよ?」


「わかったよ。誰が普段なにして過ごしてるかくらいなら、聞いといてみるよ」

カシャコン

「…頼むわ。手持ち無沙汰で死にそう」

ササッ

カードゲームの相方が居なくなっただけでしょうに。そんな大げさな…。

カコ…カコ。


「…ありゃ?」


「急に静かになったな」


上から作業音が途絶えて、ロフトの床になってる天井を見上てみる。


『作業してても、僕にも話かけてよー』


なんか、上から真一の情けない感じがする声が聞こえてきた。


―寂しいの?


「…集中してたら、誰がなにしてても気になんないハズなんだけどな」


逆に作業中に話しかけられるとうっとおしいとん思うんだがな。


「影丞は、間違いなく手作業とか職人に向いてるよな」


「そんなこたないわ。1人で居ても暇潰しないから、時間かかるおかず作ったりしてるんだからな」


「『…』」


今度は、二人がおしだまる。


「…趣味云々じゃなくて今度遊びに出掛けて、なんか暇潰しを探そう」


「ああ、それいいかもね」


真一が、板を一枚外して顔を出す。


首だけ妖怪現る。


「暇潰しなんてある訳ないじゃん。山遊びとか川遊びとか忙しいだけだぞ?」


お前ら、日が落ちるまで陣地の構築やるから遊べねぇんだよ。

日常も過ごした結果がいまなんだからな。そりゃそうと、今の下りは昔同じ様にした事なかったかな?


繰り返し繰り返し、そして人は滅ぶ自らの業とともにな…とかならないよな?


「いまの発言、フラグだったりするかな?」


「…お前いきなり何言い出した」


「フラグなわけないよ。だいたいなんのフラグだよ」


いや、調査隊はほとんど帰らないフラグ。


「俺らを見送る奴なんかいないんだから、未帰還フラグな訳あるか」


「うん、とりあえず。それ以外にも1人きりに慣れても問題ありそうだし」


「山の石切り場に化石探しにとかいくか?」


健がツルパシを出して、土間の床掘り始めた。


前に、逸れらしき物掘り出したけど、ゴミだとか言われて親方にバラバラに壊されたとか言ってたな。


現代じゃなけりゃ化石に価値なんかないって事よな。


中国じゃ竜骨とかなんとか言って薬に混ぜた時代もあったそうだけど、今のここに化石なんか価値ないんだとさ。


「超、掘り出してみたいかも」

「「………(にやり)………」」


―ツルパシで、掘るは男の、ロマン譚。


と言う訳で、化石調査隊発足。

ああ、未確認生物と遭遇して被害者が出るタイプとみた。


逃げるのに必要なのは、カメラとフラッシュくらいか?


フラッシュに驚いて逃げるUMA。


思わず追いかけるオレ。


水浴中だった健はそれに気がつき全裸で追走。


一瞬出遅れたシンイチカンザカは居残った。


逃げるUMA。

オレを途中で小脇に抱え健は猛然と追い上げる。


粘るUMA。健は追走。


粘る。ユーマがまだ粘る。


追い上げるタケルクサナギ。

その脇の下、エイスケヒノシタはココにいました。


粘るユーマ。追い上げるタケルクサナギ。


互いにモザイク効果不可避と正体不明の一騎打ち。


エイスケヒノシタは足が着かない。

後ろからパンツが見えそうだ。

タケルクサナギは、パシンパシンと右に左に快音を立て、ブルンブルンと風車鞭!


先端が見えない勢いでまわっているまさに大回転大車輪。ヨーロッパ某所の風車群を彷彿させる勢いで、ブルンブルンと回っている。

ユーマはまだ粘ってみせる。


近代化に負けず、長年山野を逃げ続けたその足が、ファンの期待に応えるのか。

見せてくれます“UMA”。



しかし、タケルクサナギの足も速い。


ラインは完全に重なっている。ユーマを圏内に捉えられているっ!


そのまま後ろから交通事故ー!

錐揉みしながらユーマが天高く舞い上がったーー!!


えくせれーんっ!?


タケルクサナギ最後の追い上げは、真後ろからの追撃で、ユーマを高く高く打ち上げる素晴らしい走りを見せてくれました!!


見事な追走劇。若干十五才のタケルクサナギ。最後尾からの見事な追い上げを見せたタケルクサナギが、UMA遭遇記念特別を勝利で飾りました。


引き続きUMAは三人で美味しく頂いて頂きましょう。


それでは、みなさん。サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ。


あれ?なんでこんな結末?


水浴びのくだりオレじゃなくていいのかよ?


交通事故ってなんだよ。その前に放送事故おこしてんだからとめろよ。


オレの目の前で、健の息子がブルンブルンしてんじゃねぇか。

擬馬化したから大丈夫?


そんな訳あるかい。


責任者ちょっとツラ貸せやい。

これマジで投稿していいのかユウちゃんよ?


(背後さん)ナムーラさんとか、シャッドさんとか、アスクさんみたら解るかもしんないし?

あとは、黒狼さんだったかな。

影)作者てか、背後さんが逝きたいのは、昔閉鎖したあのゲームにしても、何暴露してんの。


作者がでても大丈夫。今日エイプリルフールだから。


影)なんだ、エイプリルフールか。


注)そんな訳あるか。



―壊れた作者が暴走しただけに決まっているだろう。



影丞の編んだハンカチで手錠をかくしながら作者退場。



「影丞、居眠りしてうなされてる」


「なんか変な夢みてんのか?」


「どうだろう。そっとしといた方がいいかな」


「毛布くらいかけてやるか」


やれやれと、健が動き出した。

その下半身は当然ズボンを…。

―はいてますよ?


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