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行きずりのアナ(卑猥でなく)

シンクホール現象。


地盤沈下どころか、周辺の物が地下深くまで呑まれ消えてしまう現象だ。


そうした場所には、元々地下に空洞があるらしいが、“ダンジョン”でも起こり得るのな?


全部が魔法で出来たのは、不壊の迷宮“ラビリンス”と呼ぶらしいから、ダンジョンがほぼほぼ天然物で、国が入口に監視役を配置するだけはある危険な場所って証だね。


因みに、ラビリンスは絶対数が決まっている為スタンピードが起こらない。


しかし、魔物を倒しても、残るのは魔石とやらくらいで、肉などの部位は残さず。全てラビリンスに還元される。


沢山人がはいると、魔物の湧き出す“リポップ”時間が長くなり、終いには魔石すら残さなくなるらしい。


あちらは、冒険者ギルドや所有者が、少数の精鋭のみしか立ち入りを許可しないらしい。


まぁ、オレには関係ないが、利権とか利益とか世知辛いな。


「…また戻るのだりぃな」


「仕方ないから降りようか」


シンクホールの下をのぞく二人。


どうやら、お目当てはあの階段で、降りてから登って街に戻るつもりらしい。


「…無茶じゃね?」


下深そうですよ?


上は百メートル。下はさらに倍くらいの深さが在りそうですが?


「…今あるロープじゃ、全然距離が足りなそうだね」


「そこは、影丞がいるからなんとかなるだろ」


「なりませんよっ!?」


真一の指摘に、健がさも当然と言うものだから思わず声を張り上げ否定する。



「あん?大丈夫だ。軽気功ならどうにかなるだろ」


「そうだね。月面跳ねてるみたいに成るしね」


跳ねて降りるのとでは、この高さは訳が違うですが?


「お前らの基準がおかしい」


今にも飛び降りそうな二人の後ろ(?)で、無理無理と身をよじる。


「甘ったれてんじゃねぇっ!!」


「…っ!?」


怒鳴られた。


「こんな洞窟。いちいち帰ってられると思うかよっ!?」


「それこそ、自己責任だろがっ!?」


健テメェ。自分が面倒くさいと暴露しただけじゃねぇかよ。


「知るか。俺は行くぜ。ついてこい真一!」


「そうだよ。ダメならそれまでだ」


「「南無三」」


―落下。


そして散華☆☆☆☆とは行かず。


何時もより余計に時間が掛かっております。


秒速一メートル弱。


最初こそ勢い良く落ちたが今やほとんど物理的に落下してる感覚は無し。


「まさか、影丞の全力がここまでとは…」


「そこまでビビらなくても」


―ぎぅ。


体を丸めて、一心不乱に耐えるオレ。


初期加速の瞬間に下が間欠泉になるところだった。


ほぼ無重力で降りている。


いや、降りていると言って良いかわからないけど…。


「よし、これは今からエンデバーモードと名付けよう」


「なるほど、停滞するだけの無重力って辛いね」


「影丞から離れたら、マジで落下するだけだしな」


真一がちょっとだけ上にいて、健がと垂らされたロープを掴んでる状況です。



物理法則てか、慣性の法則すら効いてないから、無重力の中みたいに、互いに突き飛ばすといった事も出来ぬ。


ちなみに、突き飛ばすと押された奴が痛いだけ。


コイツら、何回も試しました。

『真一。俺をアソコへ蹴り飛ばせ』

『合点だ!』

ドゴッ!

『ぐはぁっ!?』

『バカな!?踝までめり込んだだとぉっ!!』

『俺をやれるのは、〇〇〇〇〇〇〇だけだぁ!』


以上。


太くない柄杓星のハート氏爆誕した瞬間。


距離離れてると、ちょっと落下速度早くなるらしくて、今二メートル位離れてる。


落ちる前に、ロープで固定したわけや。


独りだけ、肉片なんてシャレにならん。


でもでも。早く降りないと、膀胱が、保た、ない。


堪えてるのは命綱を支える腕ではなく、蛇口か水漏れしかけた水道管を必死に抑る指ですわ。


人前で、するくらいいっそ落ちてやらん事もないが、下距離ありすぎるから無理。


横穴とかあるが、手掛かり足掛かりになる物がないから届かないで眺めてるだけ。


「影丞が切羽詰まってるんだけど…」


「最悪の場合見ないから許してくれ…」


―絶対保たせてやる。


しかし、これは正に限界トイレ、せめてジェットコースターに乗る前はトイレ休憩しとこう。


と、今まで関わった全ての人に伝えたい。


そして、足下ないのがまた怖いです。

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