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たっこんぐ


はい!見えない海は諦めて、朝通り越して昼よ。



「タコっ!!」


「「捕ったどー」」


刺し網の網を浮き輪に、ちょっとだけ波の上。


…いや、朝は塩作ってたんだけど、健がタコ取り始めてから、刺し網を輪っかにして下縛った“生け簀”の見張り番さぁ!!

何匹でも取れる海はいいね。


ヌメリを取ったら下茹でしてインベントリに保管だー!


イカはないけど酢タコは食えるぞー!!


因みに、シャツはお腹辺りで結んで、作業ズボンを短く膝くらいまで折って、生け簀の中に浸かってるんだぜー?


水着無いからセクシーなサービスはないけど、生け簀の底には足場があるから、ちょっと安心なんだぞー。

「はい、一度帰還するぞー」


「取り舵いっぱーい」

バシャバシャと泳ぐ二人に、浮き輪を引っ張って貰い移動するそれは、もう快適としかいいようがない。


手のひらサイズのウロコが打ち上げられてたりはするものの、この海岸付近に危険生物もいないみたいだ。


このあたりなら、食べ物も手にはいるし、小屋建てて住んでもいいんじゃないかと思う。


まぁ、異世界らしさの欠片もない生活が始まるとしたら、完全に詰みだろな。


一応、冒険者に拘らなければ旅位できそうなんだけどね。

どうも冒険者以外の街の移動はあまりないみたい。


未成年者は、基本的に卒業するか15になるまでに小学校レベルの義務教育を受けてなきゃならないらしいが、ウチら見るからに余所者だから除外されてるらしいよ。


こんな、日本人形みたいなシルエットしてんのって、この辺りにはオレだけだし、黒髪黒眼もそんなに居ないから、国の外から来た人だと“わかりやすかった”とギルドのお姉さん話してたからな。


冒険者ギルドに居る人って、国…と言うか、地方とっての一番の戦力らしく、依頼以外の行き来はあまり推奨されてないが、ギルドで護衛を雇うとかしたり、行き先がハッキリしてる場合はいいらしいけど、長い放浪生活とかしてると、王都みたいなデカい街には、空港の検疫みたいな調べに引っかかっると入れなかったりする事もあるみたい。

この辺りは、地方だから緩いんだそうだが、蛮族装備の健さんは、検疫にかけてみても良かったと思うよ?


それに、“召還勇者”とかの情報もあるみたいなんだけど、“異世界人”とかゆう発想はないみたいで、遠い大陸から来た人って感じになるらしいね。


まぁ、外国人以前に異世界人なんだけど、このアバ体にオレのDNAあるか怪しいし、日本人であるとは言い難い状況は辛いね。


けど、現地民には通用しないかもしれなくても、日本人に会えるようだったら、最初にオレはネカマである事を伝えておこうと思う。kawaiiはネカマの正義だけど、男のラブは受け付けませんぜ。


―てか。


「………………………はよ帰らないと、オレだけ女のまま青春が終わるよっ!?」


「…今さら過ぎねぇか?」


「焦っても仕方ないとか、普段は自分で話してんのに、何でこんな状況で思い出すんだろ」


波に揺られて、精神的余裕出てきたからじゃないかな。

ほら、遊んでる時に不意に次の期末テストとか気になって、帰りに本屋で参考書買うか迷って、結局コミックの新刊だけ買って帰るみたいな?」


「そんな事すんの影丞だけだな。俺は参考書買うほど成績わるかないしな」


「結局、参考書買わない辺りが影丞らしいけど、コミックじゃなくて参考書選ぼうよ」


昔から、コミック選ぶばかりだから、成績は下から数えた方が早いです。


でも、大学行く予定ないから赤点ギリギリなら大丈夫だと思うし…。


「甘いよ。赤点ギリギリだとあんま意味ないよ」


「せめて俺みたいに平均とか真ん中はキープしないとツラくねぇか?」


「…ツラくはない。ただむなしいだけ」


「…勉強しろよ」


「家に帰ったらやるよ…」


「そうだね。帰ったらボクらで覚えてる範囲の問題集作ってあげるよ」


「いらないよっ?!」


何でか知らんが、いきなり勉強の話になって来ちゃったよ!?


「因みに影丞は参考書って何の為にあると思う?」


「…一人で勉強する時に参考にする為?」


「…まぁこんなもんだな」


「参考書を参考にする時点でアウトー」


二人が冷ややかな目で見てくるけど、それの何が悪いよ!?


なんでバカンスの最中に、責められる事態にならなきゃならないんだ…。


「二人がイジメる…」


「イジメてねぇよ。てか上からも魚探せ」


「そうだね。いまが食料調達の最中だってのを完全に忘れてたみたいだし、ここらで釘を刺すくらいしとかないと夕飯なくなるよ」


「らじゃ」


すいません。真面目に魚探しますから、問題集は勘弁してください。


「そんな嫌がるようなもんじゃないと思うけどね…」


「コイツ、ギリギリにならないと焦らないからな」


「中間終わってたから、期末テストの勉強は教えとこう」


「…紙がたくさんいるな」


「墨と筆で書けば、安い塵紙あればいいよ」


「…俺もやるのかよ」


「三人でだよ。健もどうせ忘れかけてるよね」


「色々あったし、授業もほとんど覚えてないな」


「ボクも不安だし…」


「戻って勉強漬けよかいいか…」


「そゆこと」


「それもこれも影丞のせいだな」


「頼むから、八つ当たりに浮き輪を揺らさないでください」


「よし、引きずり下ろす」


健が、足を掴んできたけど、お願い死んじゃうからやめてっ!?


―水怖いですよっ!?

どざえもん

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