キャンプや
「ふふふ~ふふ~♪」
鼻歌交じりに捌いた魚に塩を振り、棒に突き刺し焚き火の周りの砂に刺しておく。
刺し網はあんま取れなかったみたいだけど、二人がモリで突いてきた海魚だけで、量的には十分あった。
海苔は佃煮にしたよ。
鍋に海苔入れて、塩と砂糖追加しただけだけど、普通に旨かった。
海苔の佃煮は鍋一杯分確保出来たし、石で作った竈でご飯は炊いたし、海は食いもんたくさんでいいな~。
まぁ、一人じゃ海苔だけだったから、二人が居てこその話しなんだけどね。
ちな、佃煮を作ってる最中に、健と真一が海から戻って来たんだけど、遠浅ではなかったらしい。
明日は、あんまし沖まで行くのは止めて岩場を中心に探るつもりだそうだ。
日本の常識は異世界では通用しないとかなんとか…。
何もなかったってのは、また恐ろしいな。
クラゲとかスライムだったにしても、スライムはダンジョン以外にいないらしし、そんな歩けるサイズのクラゲとかでも困るよね。
見えない辺りが特に…。
正体不明とか、映画だと襲われるフラグじゃない。
「なんか、機嫌いいね?」
「うん。ウツボの丸焼きとか始めてだし!!」
「…テレビじゃ見るけど、旨いのかな?」
「不味いとかいわねぇし旨いんだろ。それ以前に見た目が“ウツボ”らしくないのが気になるけどよ」
「リュウグウノツカイみたいな感じだよね」
「リュウグウノツカイは、内蔵まで透き通ってるからウツボでしょ?」
ぶっちゃけ、見た目はリバイアサンとかシーサペントとかに見えなくもなかったけど、捌いた感じウツボとしか思えなかった。
サンマとか捌いた事あるから、魚は割と平気だし、まさに魚の内蔵だったしね。
油鍋は油足りないからやれないけど、今夜はウツボに佃煮を塗って佃煮焼きにしました。
醤油ないから、半身は白焼きにして変わり種でいいんじゃないかと思ってやってみたっ!
いや、海苔だし磯部焼きか?
味は良かったけど、やっぱり骨っぽいね。
白身だったけど、食べ応えあったし、顔がドラゴンとみたいな厳めしい感じしてたのが、異世界って感じしたね。
ウツボの肝は、健がインベントリに仕舞ってくれたんだけど、頭は真一が焚き火であぶりながら兜焼きとしていただいていました。
生の時のウツボの皮は、厚みと弾力がありすげー堅かった。
焼いてもゴム噛んでるみたいな感じで、乾かしたら靴底に使えそうとか話してたんだが、健と真一は敢えて引きちぎりながら身と一緒に食べていた。
オレは無理な食べ方だったよ。
オレが食べた部分の皮は、明日天日で干してみる予定。
調理済みだから、革製品にはならないかもしれんけど、モノは試しと言うしねー?
乾いた時に“何か”に使えそうな感じなら、ウツボの皮は剥いで身だけ焼くようにしてみようと思う。
靴底とかによくね?
普通に革のロングブーツだからそんな困った事ないけども、ゴムジョンジョンとか作れるかもだし?
なんにしても、食えないなら何かに利用出来たらいいね。
「明日は影丞に塩作って貰って、取れた魚はヒラキにして干しとこうぜ」
「コッチは岩塩ばっかみたいだし、海塩は採らないらしいからいいかもね」
「いいけど、朝から塩づくる?」
「いや、別に煮物じゃないし火力上げなきゃ付きっきりじゃなくても大丈夫だろ」
「なるほど、バカンスの合間にね」
「海苔は集まったし、浜近辺で採れそうなもん探すぞ」
「「おお~」」
食休みして夜も深まる時間、二人は一度だけ夜の海に潜っていった。
夜行性の魚を捕まえる積もりらしいんだが真っ暗で何も見えなかったらしいです。