影丞〉通報します
6日に二話投稿してます。今日7日です
俺がスリガゼルの人に宿に届けられた翌日。
ギルド関係者に、二人が運ばれてきた。
なんて言えばいいだろうか、コイツら平成の世では許されない事をやらかしてきた。
「ぎぼ…ちわるい」
「…うぐぐ、あたまいてぇ」
水筒の中身知らされてなくて騙されたらしいんだけどね。
酒かどうかくらい、匂いで…わからないか。あんだけ臭い中じゃ鼻が馬鹿になってるから判断付くわけないよな。
ギルド関係者が、お約束というか労いのタダアルコールをコイツらにまで配給したのが悪いんだろう。
使い物にならなくなるとは思ってなかったらしく、申し訳なさそうにしながら引き上げていったらしい。
で、ギルドの人が宿の大将に伝えてくれたから、体調復帰したオレを大将が呼んでくれたからこうして濡れタオルやら置いたげたりしながら看病してる訳よ。
ポポ水にウコン混ぜてます。
塩と砂糖までて、ウコンの栄養ドリンクね。
ウコンポカリ?まあいいか、このブレンドはリポリゲとでも名付けよう。
よくわかんないけど、ポポ水栄養あるらしいからね。
「できた。多分ウコンだから二日酔いにきくぞ」
さあ飲めすぐ飲め早く飲め。
お椀に注いだ状態で、二人の前に置いてやるとゾンビ映画のワンシーンにありそうな動きでチロチロ飲み始めた。
ひと舐め毎に顔に生気が戻るのが見ていてわかる。
いや、そこまで効果ないと思うんだけどどど?
「…まじか、いきなり楽になった」
「もう、このまま死ぬかと思ってたのに…」
起き上がった二人が、マジ泣きしながら体を支え合っている。
そこにオレの入る隙はあるのだろうか?
互いに死地(二日酔い)から帰還した戦友だし思うことあるのだろう…。
ーとりあえず。
オレは、“ああ”はなるまい。
寝下呂とか床汚いわ。昨日なんとか吐かずに居られたのにもらい下呂する所だった。
水質悪いから、未成年の飲酒は普通にあるらしいけど、本当にギルドは自重して?
そして、二人は夏の間はギルドに立ち寄らない事を表明した。
ストライキのつもりらしい。
そんで、翌日からは二人は日銭を稼ぎのアルバイトしたら直帰するように切り替えた。
今まで、帰りに立ち寄ったりしてたらしいが、本来なら冒険者でもない“一般人”がホイホイ近寄る場所じゃねぇよ。
てか、なにをしに行ってたやら…。
まさか、ギルドの受付嬢狙いか?
とにかく二人は、伐採や荷運びの人足仕事で、オレは自宅で、ポポ水作っては商業ギルドに売りに行ったり行かなかったりしながら一週間。
えぇ、オレも冒険者ギルドには足向けてないです。
以前と違い、二人はある程度で仕事を切り上げてきて、帰宅してからは日が暮れるまで海遊びの道具づくり。
モリを打ち出すゴムの代わりに弓みたいなのでモリの先端に仕込んだりしてる。
てか、弓じゃなくてモリだけど、これって原始的な形のパイルバンカーとかなんじゃねぇかな?
正直、ただ魚を捕る道具にしては威力ありすぎる気がする。
モリの先端は、農機具の熊手をユリゲラのスプーン曲げの如く手だけでチマチマ動かして作ってた。
いや、チマチマ出来る作業じゃない筈なんだけど、チマチマとチネって形整えてたんだよ。外にも鉄板を巻きつけたり、指先だけでプレス加工みたいな事出来るとか、現代人も未来人もビックリだわ。
胸触られる事ないだろうけど、絶対さわらせんようにしないとならんよ。うん、今のヤツならふざけ半分で乳首くらい簡単に潰れるとかもげると思う。
体験したくないけど、一応真面目な話で、色街のお姉さん方大丈夫なんだろうか、被害にあってたりなんかしないよね…。
真一は、数日の間にネット編んでハンモック作った。試しに寝かされたけど、相変わらず寝るときは部屋に戻される。
別に色街行ってる訳じゃないみたいだからいいじゃんと思わない?
その間、オレはご飯作って二人をサポート。
…何も変わらない。邪魔になるだけだったし、職人じみた作業内容してて、オレがやると余計な事になりそうだった。
ー自分不器用ですから。
てか、二人は色々な人と話して、欲しい物の“作り方”を知ってる人に聞いてきたんだと。
「なんかオレ、出来ることあんまないね?」
ポポ水作る横で、ネジリハチマキをした漁師小屋の職人が網を編み、アマゾンの奥地の住人みたいな裸族が、鼻歌歌いながら木を削ってる。
浮きとか網に付けるブイみたいで何個も同じ物作ってるね。
延々と同じ作業してるけど、まさか海で定置網でもやる気なのだろうか…。
「影丞、作業終わったら買いもん行こーぜー」
「んー、了解」
因みに、出かけるときは、着たり着なかったりだが、作業効率が上がるからローブは脱いでハンガーにかけてある。
だいたい1.5倍くらいの差があるから、着てない方が稼ぎ増えるの分かり切ってるからね。
オレも最近、ポポ水以外のレシピや器具勧められるようになってきたけど、他の薬師の所に出入りしなきゃならなくなるみたいだから、この先に進むかどうかちょっと考えちゃうね。
それよりなにより、今は海行ってどう遊ぶかになるのか。
軽気功使えば、水の上も歩ける訳ですけど、カナヅチまで行かなくても元々泳げまないからねー。
エッチィな下着もない世界だからか、水着ってもんがそもそも開発されてないんだよな。
勿論、この辺りには泳げる人もいないみたい。
ここから北東方向に馬車で半日走った所に港町はあるらしいんだけど、泳げるのはほんの一握りらしい。
それも、魔法関連で“水の中を進める人”の事を泳げる人って言うらしくて、平泳ぎとかクロールとか意味が通じなかった。漁師も魔法を使わないと基本的に“泳げない”みたいだ。
浮き輪やビート板もそうだが、魔法なんて便利なのがあると、色々とダメなラインが低過ぎる気がしないでもない。
まぁ、なんだかんだ言ったが、基本的に鎧を着込んで漁に行くからそうなるしいんだけど、素人が近寄らないとか、ここらの海はどんだけ危険なんだろう。
海の中も魔物だらけなのかとおもうと、ちょっと不安になってきた。
何やかんやあったけど、時期的にはお盆前に海に行けそうな感じで良かった。