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続スタンピーツ

一部書き直しです。

スタンピードの真の恐ろしさは、魔物による殺戮などではない。


数万規模ならいざ知らず。数千数百となれば、無事に危機を乗り越えられる事も少なくないと言う。


だが、危機を乗り越えられた住民達は、千数百の魔物の死骸の処理に追われる事となる。

放置してしまうと、死骸の腐敗が始まり疫病などに繋がり、必ずしもなるわけでもないが、場合によっては、アンデッド化し生前以上の魔物になるおそれがあった。


だが、今回は街からかなり離れた場所での回収になるので、領主軍や冒険者ギルドなどある程度腕に自信がある者のみでの回収作業となるみたいだ。


ーて安心してたんですけどね。



翌日オレは一人、ギルドの荷馬車の中で横たわっていた。


「魔物の素材…とったどーっ!!」


「とったどー」


非冒険者のオレ達だけど、草原に散らばる魔物の残骸を集めたる作業に駆り出されたのだ。


んで、オレは散らばる“素材”と、漂う血の臭いに当てられ吐いて横になってる訳です。


ー夏場の血臭は酷いもんです。


気安く“冒険”なんかするもんじゃねぇです。

そもそも、なんで冒険者でないオレ達が、ノッパラまで回収に同行してきたかって言うと、ギルドにベテラン冒険者とかが、素材屋が回収作業に参加できないのは不公平だとか言ったかららしいんだよ。


至る所に死骸が転がってんだけどさ、冒険者総出で回収に当たってる最中で、回収した素材はしっかりした買い取りをしてくれるらしい。


ただオレ達は、まだどの魔物がどの部分が必要なのかを知らないので、二人はひたすら毛皮を剥いでいる。


弱い魔物でも、たまに心臓付近に心核石とか魔石があるらしいんだけど、9割がた小さいクズ魔石らしい。


んで、二人も魔石探しはしたんだけど、何度となく空ぶって内臓触るの気持ち悪いだけだから、もう魔石は諦める事にして、確実に買い取りされる毛皮の剥ぎ取りだけになった訳だ。


あれか、やっぱそう旨い話はないって事だね。


実質戦闘は無かったけど、見渡す限り転がっていて、途方もない数だったから稼ぎより少しでも人手が欲しかったのかね…。

肉は、一カ所に集めて全部が灰になるまで燃やされてる。


この灰はこの灰で、大事な肥料になるらしく、街から農業ギルドだか商人ギルドとかが買取にきてるみたい。


「法師様、大丈夫ですか?」


「…ほっといて下さい」


付き添いの騎士様が、水を渡してくれたり気を使ってくれるのだが、それすら煩わしく感じる。


臭いキモいくてダルい状態なのに、キラキラ笑顔が眩しい金髪のイケメンが、オレ達の引率役とか誰得なんだ?


独身女性じゃないんだから、旨味なんかないわ。


しかも、法師様法師様言ってくるけど、僧侶みたいな便利機能ないんだから、“下呂法師様”とか斬新な通り名がついたらどうしてくれる。


てか、腐敗臭のなんとも言えない臭さってマジ半端ないのに、なんでアイツラ平気でいられるんだろ?



「影丞の奴まいってんな?」


「まぁ、この臭いだから無理もないよ」


健が魔物を支え、真一は脂肪と皮の間にナイフを通して剥がしていく。


「アイツも、俺らと一緒に解体のアルバイトやらせときゃ良かったか」


「それこそ無理じゃないかな。影丞グロは全然だめだし」


「…それもそうか」


「足ちょっと持ち上げててくれる?」


「あいよ。こうか?」


「OK」


皮を剥ぐだけなら血は飛び散る事はないが、魔物の脂は豚やら牛ときらべ臭い。


まだ大丈夫みたいだが、腐敗が始まればさらに臭いがキツくなる。


解体焼却が済んだとしても、明後日あたりはこのは近辺で息を吸うのもはばかれるだろう。


「…マスクくらい作るか?」


「ガーゼとかあるみたいだから、帰ったら沢山作るよ…」


健も真一も、臭いには辟易していたが、早く終わらせたい一心で、作業効率が徐々に上がってきている。


明日は休みたい。


そんな事を考えながら、他の冒険者達同様に夜通し作業を続けた。


影丞は、街に帰ってなお馬車から降りられないくらいにダメージを負っていた。


二人は、解体系は引き受けないようにしようかと真剣に考える必要があったが、冒険者になれば慣れる必要があるから、とりあえずほうっておくことにした。

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