気法師
ゲームじゃ気弾とか放ったり肉弾戦ばかりの気法師だけど、本来の気法師の究極は神仙に至る事。
聖人に至る僧侶、遊び人から至る賢者が現れるように、気法師からは神仙に至る。
攻撃こそ延ばさなかったが、影丞の遠距離支援能力は、聖人すら遥かに凌ぐ。
回復技はないが、気法師は周りに影響を与える存在で、周囲に漏れ出た氣の影響で周りの回復力が増加する。
ポポタン無限湧きや、幼なじみ二人がやたらと元気な原因に繋がっている。
黒のローブは、あらゆる力の封印具と呼べる物であった。
つまり。
軽気功は使えるが、他への影響がなくなった。
影丞は、いよいよ何も持てなくなってしまった。
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依頼を出して二週間。大根はまだ見つからない。
ローブを羽織って意気揚々としていた時期もあったのだけど、最近身の回りの事で少しばかり違和感を感じる事が多くなった。
「…なんだろ、なんかイマイチ?」
以前より少なく感じるのは、蒸留装置から落ちる液体。つまり、オレの大事な稼ぎを担うポポタン水様である。
スランプなんだろうか、ローブを羽織りポポタン水を作った残りで軟膏を作るが、そちらもなんだかうまく行かない。
ーそれに。
「なんか超だりぃ…」
「最近、寝たくらいじゃ疲れがとれなくなってきたからね」
健と真一の体調が悪い。いや、悪くは無いらしいのだけど、疲れが取れにくく感じるらしい。
今までは、飯食ってダラダラしたら“おっしゃーっ!”て感じになってたらしいんだけど、眠って起きても“かんだるく”感じるらしい。
オレ早い時間からこっちに以内から解んないけど、夜更かしし過ぎてるんじゃないかな。
「昨日も、影丞居なくなってからすぐ寝たんだけどな」
「動くのに支障はないんだけどね。しばらく仕事しないで休みたい気分だよ」
「休みならゲーセンとか行きてぇ」
「ボクも行きたいし漫画もよみたい…」
2ヶ月頑張り続けた二人がいよいよ精神的にもダウンしそうな感じ。
最近日本に帰りたいとか言い出し始めたし、ホームシックかかってるよ。
仕事も始めたし、今7月位だけど“五月病”になってるのかな…。
「…色街でも行ってみたら?」
元気になるんじゃね?
「今余計な体力使いたくねぇ感じだから行かねー」
「むしろ、ひと月前までの元気さがおかしかったんだよ」
毎日のように通いつめた時も在りましたが、現在はこんな感じで乗ってこない。
いや、前からオレが勧める時はこんな感じか。
「女抱いたくらいで元気になるかよ」
「…その発言もどうかと思うけど、どっちかと言うと今は癒されたい気分だから、ソッチは無理」
贅沢な奴らだの…。
「あんまり無理すんなよ。こっちにゃ向こうみたいなお医者さん居ないみたいだし」
「ん~、わかった」
「りょうかい」
なんか精の付くもん作ってやりたいけど、今度市場でレバーでも拾って(買うの意)こよう。
とりあえず、暑くなってきてるから夏バテって線も有りそうだ。
小麦粉練って冷やし中華でも作ろうか。
作り方は適当に小麦粉を水で練って、ボール状にしたら、小麦粉をまぶした台の上に置いて、麺棒てかただ真っ直ぐな棒で、これまた小麦粉をまぶしながら平らに伸ばす。
平たくなったら折り重ねて、包丁で千切りにして一掴みずつに分ける。
それから、鍋で何回かにわけて茹でたら麺の下拵え完了。
力仕事は健にやらせ、千切りは真一にやらせた。
茹でるのはオレ担当だから仕方ない。
青いキュウリを輪切りと再び千切り。溶き卵をフライパンで焼いて薄焼き玉子焼を作って最中に、二人はタレの味見と称した実食を始める始末。
「…つまみ食いすんな(怒)」
「大丈夫大丈夫」
「絶対美味いタレ作るから」
料理油とお酢がわりの古くなったワインを入れた器に、調味料を足してゆく二人、黄金比をもとめる二人のお口は止まらない。
「出来たよーって、食べ過ぎだ」
「「さーせんした」」
山盛りキュウリと千切りハムと玉子焼を皿に移した時点で、半分くらい食べ終わってた。
「でも、美味いの出来たよ?」
「…ちょっと、辛いかもしんないけどな」
唐辛子入れすぎだ。
「辛いかもじゃなくて、辛いよな?」
「…多分」
「いや、俺はそんなには…」
割と平気そうにしてるけど、調味料にした魔法素材の中に、麻痺効果が出るのもあるからアテにできねーな。
そんなに辛いの好きなら、その内食べるラー油とかも作ってやるよ。
唐辛子の色も、赤じゃなくてマダラ紫だけどなっ!!
「てか、紫じゃなくて赤いね?」
「「ピリ辛トマト味です」」
ーパスタが食べたかったの?
気法師はタイトルと関係ない。影丞がローブ着てるからだなんて事関係ない。




