あり得たのは
そういや、最近三人でギルド行かなかったりしたからな。
オレの預かり知らんところで、何か起こって……………………。
いや、ないな。
小屋吹っ飛ばしたのは、オレも聞いてたし、二三日その話ばっかしてたから、あの二人なら何かあれば大騒ぎわするだろうしな。
つまりだ。
オレ達の物語はまだまだコレからって事?
その内、王様やらが召還主だとか言い張り、戦えないのに魔王とかと戦わされるようになるのか?
ーダルい。
能力的に強くなるとか無理っぼいなー。
あの二人も、最近木刀でチャンバラ稽古してるけど、体に当たると岩殴ったような音なるんだぞ。
そんな健と真一が誰かにケガさせられるのも考えにくいから、気法師ってのも役に立ちそうもないよ…。
弓か?唯一の武器の弓は、つがえる矢が買えないからむりなんすよ。
自作すると捕まるらしいし、矢の免許制度とか正直やめてほしい。
とりあえず、オレが一般人女性と同じ恰好なのはいただけない。
膝丈スカートより、やっぱり冒険者らしい恰好しなくちゃそれでらしくならないよね。
そういや、以前屋台に安いローブあったけど売れたたんだろうか。
ちょっと帰りに買い物していこうかなとか考えてるのは、健の担いだ丸太の上。
こいつらも戦わなきゃならん冒険者より、土木で人足してる方が向いてる気がする。
…異世界で土木に従事するのも平和でいいけど、コイツらと別々に行動するようになったら、オレは薬剤師になるくらいしかなくなるな。
あれも、正式に名乗るには免許必要らしいけど、ポポタン系だけは一般人のアルバイトとか内職として買い取りしてくれてんだよ。
免許と資格はステータスって感じなんかね。免許制度なんて面倒なもん誰が考えるんだ。
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「ああ、ありゃこの世界での特許料みたいなもんらしいぜ?」
「特許料?」
場所も時間も変わって、帰宅後の晩御飯の支度中に愚痴ってみたら健からそうした答えが返ってきた。
「ほら、ゲームでも何か作るのにレシピとか必要だよね?」
「ああ、生産あんまやらないから忘れてたけど、そんなのもあったね」
「ゲームなら、レシピ譲渡不可とか機能あるから大丈夫だけど、こっちでレシピを渡しちゃうと簡単にコピーされて売り飛ばされちゃうから、かわりに免許制度で“身内にだけコッソリ教わる”ようにして何とか広まらないようにしてるらしいよ」
普通の市場に行けば品質保証なしの密売品がならんでるが、店では買い取りした物をまぜたりして一定以下の品は扱わないようになってるそうだ。
「それに、針子さんみたいな仕事なんかでも免許制度を利用して、ライバル店の乱立を防いで品質も利益も確保するようにしてるみたいよ」
なるほど、“免許”でデフレ化も防がれてんのね。
どおりで普通の店に並ぶもんがなんでもかんでも高いわけだ。
市場あるから意味ない気がするけど、そっちゃいいのか?
「あっちはあっちで、街の役場に場所代とられてるからいいんじゃないか?」
「てか、市場は普通の市場から拒否られた不良品とか、遺品みたいなのだけらしいからからね」
なるほど、ある意味曰く付きしか扱ってないのな。
野菜も安かったけど傷もんばっかだったし、期限切れなんじゃないかと思えたカビだらけの干し肉なんかもあったな。
でも、日本にも鹿肉の鹿節とかあったから、華美た干し肉も鰹節みたいにして食べれるとか?
ーダシとる習慣ないのにダシ節販売はないか。
やっぱりあれはゴミだ。
そうなると、件の安っすいローブがいつまでも売れないのにも合点が行くと言う…。
「そうなると、前に見たローブとかヤバいかね?」
「あ、あれは影丞なら別に大丈夫なんじゃない?」
「え、なんでオレなら大丈夫なん?」
「あれ着ると魔法が使えなくなるらしい…」
魔法職向けのローブで魔法使えなく不具合。
「売れない理由はそれか…」
一般人はローブなんか着ないから買わないし、わざわざ魔法職がそんな不良品を買うわけがない。
「別に俺らだったら魔法使えないから問題ないよな?」
「ないね。丈夫には丈夫みたいだから影丞が着るには丁度いいんじゃないかな」
「そうだな、明日仕事帰りに三人で市場見に行くか」
「「らじゃー」」
とりあえず晩ご飯なので、話は終わり。
食べてる間はひたすら無言で食べんのは、唾が飛ぶから食事中の無駄話禁止な訳だね。
むせたりして、鼻からご飯粒出ると痛いからな。
そういや、オレ達缶ジュースの回し飲みもした事ないぜ(笑)
あれ汚いと思わない?普通にあれやる人の感覚がオレにはわからん。
今女だからなおさら二人がいやがるからな。
ドクダミのお浸しとか、炒めやらがならんでます。
見た目ほうれん草。味は普通で匂いだけ薬っぽい。
煮てヨシ、焼いてヨシ、ドクダミには、利尿効果もあるそうだから十薬は健康にもヨシ。
旨くはないけど、色だけきれいな野菜よかましだって話よ。
普通の野菜があれば、毎日のように食べてたりしないわ。
「…ドクダミ以外も試してみる?」
オオバコとかペンペン草は生えてるけど、生で苦くてもう試す気にならなくてな。
「…まともに食えてるだけいいよ」
「野草はほとんどが苦いのばっかだったから、もうやりたくねぇ」
野草食べまくった二人は、新たな食材探しに対して消極的みたいだ。
オレも相当道草食ったから、気持ちは解るよ気持ちは。
「大根でもありゃいいのにね」
あれがあるだけで料理のレパートリーも大分増えると思うんだけどな。
「そういや、依頼ってオレ達みたいなのでも出せたっけ?」
「一応出せるハズだけど依頼料は先払いだぞたしか、ギルドに依頼出して探してもらうつもりか?」
「この辺りじゃ見つからなくても、地方とか地元の人なら意外と知ってるかもしれないじゃん」
ほら、指名手配的に色んな場所に依頼出すとか?
「まぁ、ラノベでも依頼は受けるもんで依頼を出すのはあんまりないよね。知らない場所も多いし、この近辺だけならやるだけの価値あるんじゃない?」
「山は入れないから、冒険者に任せるのはアリだな」
健と真一も、賛成してくれたので、明日はギルドに依頼を出しに行く事になった。
ーのだが。
「…寝れねぇ」
深夜、宿屋で一人なかなか寝付けないオレがいた。
明日は修学旅行か遠足でしょうか?
ああ、夜が明ける…。
子供ですから?