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タイミングがおかしいよ

目が覚めたのは固いベッドの上でした。


「…はっ、ここはどこだ」


起きた拍子に頭に乗せられていたらしき濡れた布が落ちたがベチャリと胸元に張り付いた。

鼻腔をくすぐるのは保健室にのような消毒液に似た匂いだが、それについぞ嗅いだことがない匂いが混じり、気分はあまり良くない。



「影丞起きたか?」


「ギルドの医務室だよ」


すぐ横にいた健が、相〇の“暇か?”くらいの気安さで話しかけてくるのが恨めしい。


生臭いのは、どうやら床や壁にシミになっている血の匂いのせいらしい。


年季入ってて気持ち悪い。


普通に受付さんと話を始めた瞬間に余所見しながら反撃とかタイミングおかしいだろ。


「カウンター凹んだらしいけど大丈夫みたいだな」


「それ大丈夫じゃねぇよ?!」

カウンターへこませて、バリバリ看病されてたらしいのを大丈夫とは何事か!


「影丞タオル落ちたよ」


横合いから真一が引っかかったままになっていた布切れごと乳を掴む。


「うほ…取れないな?」


「取れてたまるか!」


さり気ない親切さを装うつもりでスケベ心に負けたらしき真一の手をベシッと払い落とす。


「やるな」


「…いや、ほらタオルがね?」


何やら感心する健に言い訳しながら再び真一が手を伸ばしてきたのでベシペシと払いのける。

「口で言え口で」


「ふぬっ!?服も濡れちゃってるからとらないとだし」


いや、いくら濡れてても真一が握らなければ服まで塗れなかったわ。


てか脱がす気か貴様!?


「いや、いい加減にしないと影丞に嫌われるってか、影丞がイジケからやめとけ」


「く、やっかいな性格め」


「真一が不条理だっ!?」


いや、たまにイジケる事あるけど、今真一にやっかい呼ばわりされる筋合いないぞっ!?


「影丞をズリネタにしたら真面目に終わりだからやめとけな?」


「…それもそうか」


なんか納得いかないが、真一が余計な行動とらなくなったので良しとする。


「とりあえず、今どうなってる?」


「影丞が頭ぶつけて気絶してた」


「いや、そうだけど手続きとかは?」


「あ、それは大丈夫。身分証代わりになるタグだけ作ってもらってる」


身分証?


「いや、本格的な冒険者にはなれないらしいけど、身分証代わりになるよう警察予備隊とか消防団団員くらいの感じで仮証を発行してくれるって」


「オレらの事どこまで話したんだ?」


「いや、冒険者とかこうゆうのは登録箇所が出身地扱いになるらしいから何にも?」


「そんなだから、王都出身にしたくて、わざわざ王都まで登録しに行く人もいるらしいよ」


「東京出身はステータスみたいな?」


「そうみたいだね。ボクらみたいに田舎で登録する人は珍しいらしいよ」


考え方が田舎でいとワロス。


東京でベコ(牛)飼うつもりで上京するアレじゃないけど、何が変わるんだか。


バンドマンが東京出身にするみたいな感じかね?


「王都だと、飛び級試験の結果次第でBから始められるらしいぞ。冒険者になるためにお金ためて何日かかけて王都で試験受けて結局Dスタートらしいし、、俺らの世界だと原チャリ乗れるからそのつもりになって、訓練もなしに自動車免許センターに普通二輪の免許で落ち続けて結局行かなくなった俺んちの兄貴みたいな?」


「なるほど?」


峠は早いと理屈はわかるが安全運転が出来ない訳だね。

どの道、オレらは登録出来ないから冒険者は出来ない薬草だけで飯食えるのかな…。

「てか魔物いるんだね…」


「ああ、街の近くにはめったにいないらしいけど、王都に向かうらしい北東の街道付近の森は危ないらしいから近寄るなよ」


行く訳なかろ?


「わかった」


「よし。んじゃ影丞も目を覚ましたし西の草原まで行ってみようか真一」


「そうだねー。今日の飯と出来たら宿代稼げないかな」


「それからさ…」


「ほう?マジすか」


ナンカ知らんが、健が真一の耳によりオレに聞こえないよう二人がナイショ話を始めた。


「…どうせエロい話だろ?」


「「!?」」


二人とも言わなきゃ未成年なんてわからないし、近所の目がないなら、羽目外して羽目たいですよね?


「…はっはっは、なんの事かな?」


「ボクら紳士だからエロなんて言葉わからないよ」


まあ、平和でいいけど仲間外れはねぇと思うよ。


「いやさ。影丞って下ネタはともかく、具体的な話になると嫌がるじゃん」


「そりゃ嫌だけどもさ」


まあ、こっそり兄貴のAV見て内容を聞かされて面白いかは人によると思うし、友人の話聞いて“やべ勃起してきた”とか話してるの微妙すぎてヤダわ。

エロ漫画とかわりかしすきだけど、エロ本の貸し借りもしませんよ。

潔癖とかじゃないけど、使ったページとかわかるのいやだし。

「花街があるらしいから小遣い貯めたら二人でいこうかなと」


「なるほど、それは流石にオレに話てもどうしようもないか」

いまアレないですから。


「無駄に欲求不満になってもボクらも影丞も困ると思うしさ」


「…そだね。二人で話てなんとかしてくれ」


我が子が大事なのはお互い様です。


「とにかく、ご飯のために草刈りせにゃならんか」


お腹が空いてからじゃ遅いから早く行かないとだ。


「おう、日が暮れるまでになんとかしないとな」


「寝間着も買いたいしね」


真一は服で寝たくない人だったっけか。


「…いや、宿借りるなら汚い服で寝るわけには行かないよ」


そういや真一は家族旅行結構いってたりで外泊してたりで、ちゃんと寝間着着るんだな。

オレ普段着の身着のまま寝てるから、そんなマナー面までは気を回してなかった。


うちの場合、親の部屋着もジャージだし、普段全く気にしてなかったなぁ。


「影丞もブラとか下着買わないとか?」


健が谷間を覗き込みながら聞いてきたけど、谷間覗くのやめようぜ?


「そのうちなんとかなるかも知れないし」


買い揃えて二三日で男に戻る罠の可能性も無きにしもあらず。


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