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日本家屋…ヤダー

「どうだ、すごいだろ」


完成した古民家風の部屋を自慢げに二人が見せてくる。


押し上げてつっかえ棒をする明かり取りの窓は、木製の二枚の雨戸と、二枚の障子に取り替えられ、土間は板間になり囲炉裏まで作られている。


入口も、ドアから雨戸と網戸に取り替えられている。


しかも部屋を仕切る障子と取り替えれば、網戸から障子に換装できる便利仕様。


物置部屋は少し間取りが広がり、そこをポポタン器具が設置されていた。


梁の上にはしっかりとしたロフト。


原型を留めぬ、劇的ビフォアフ。


大工さんらと話してたら、知らない日本の家の構造に感銘を受けたらしく、試しに作ってみたんだそうだ。


「板間は前より広いし、風通しもいい。これならゆっくり出来んだろ」


そういや、屋根の裏側がみえないが、そこは薄い板に断熱材(藁科)詰めて天井を閉じたらしい。


効果は未知数。


それから、タンクがなくてバケツで流す洋式トイレ部屋が入口の横に設置されていた。


ちゃんと、道路の下に埋設された下水まで通じてるらしい。


凄いな異世界。


入口脇の小部屋はトイレが新たに作られて間取りは小さくなったが、壁の代わりに障子が採用されたから全体的には以前より広く感じる。


トイレの方は真一の個室部屋だったからな。

今もトイレと土間の境の段差に座ってる。


前もたまに座ってたりしたが、これからそこは真一の定位置になるんだろうか?


「影丞、ちょっと便所使ってみるか?」


「いや、出そうとしてでるもんじゃねぇし…」


「…ほら、こんな所にのぞき穴が」


真一は、唾で紙をぬらして障子に穴を開けた。


耐久性ないから濡らしたらすぐだめになるけどさ、せっかく綺麗にしたの破るとか…。


「なにしてんだよ」


「…ぐぉふっ!?」


オレが何か言うより先に、健が真一の腹に蹴りをくれていた。

悶えてる悶えてる。


のぞき穴なんてアホな事するからだ。


「それは“影丞がトイレはいったら二人で障子に腕を突っ込んでビックリさせる”ためのもんだって話したろうが」


「…悪いついうっかり」


「うっかりじゃねぇ、計画ばれちまったろう」


「バラしたのは健なんだけど…」


ろくでもない計画が練られていたようだ。


ドリフのお化けの腕が障子から突き出てくるアレな?


トイレ中なら漏らさねぇだろうけど、何も知らずに夜中にやられたら便所で気絶してたかもな。


「で、オレの寝床は物置でいいの?」


奥の縁廊下みたいなポポタン器具の部屋だね。


「お前が寝るのは宿屋、こっちにあんのは作業場だけだ」


「年頃の女の子だから、協力してくれるって話だから安く済んだよ」


「…ちっ、無駄な気遣いを」


これで晴れて自由の身か?


「キャバクラ通いで破産とか勘弁な?」


「何故ばれたし」


「…ぼくは、ちょっと買い物行くだけだし知らないよ」


健はともかく、真一は夜の街に何のお買い物に行くと…。


純情ぶるな、色町のヤリツィン共。


派手に遊んでるとご近所さんから聞かされてるくらいしてんだからな。


まぁ、オレの身の安全優先したら自然と宿屋の利用する事になるか。


「自由にすりなら、二人が居るときはこっちで寝るからな!?」


「…わかった」


「気難しい彼女とか持ったみたいな気分だ…」


真一はどうして一言多いのかね?


「彼女云々じゃなくて、身の回りからご飯まで、寧ろオレは二人のお母さんでいいじゃんか」


「それは、病みそうだから勘弁しろ」



おおい、健さんや。そりゃ一体誰がどうなる話だい?


「影丞は、普通でいいよ普通で」


「その普通は意味がわからんわ」


「出来れば、ガキの影丞のままで」


「あれ、わた…“私”貶されてる?


「「キモイから女言葉禁止!」」


キモい言われましたが、オレ自身も言葉かえただけで全身に鳥肌たったんだぜ?


自身の事だが、正直知り合いがオカマ演じてるとかヤダー。

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