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昆布と小魚でダシ

本日二話目

大量の昆布と小魚でダシ汁を作り上げましたら、同量の塩投入して火にかけて水分を飛ばーす。


オリジナルの味塩擬きの完成。


鍋は焦げ付くし、良いことなしだけど、ダシを取った昆布は甘く似ておいしくいただきました。


大将にも勧めたけど、色が汚いって食べなかったよ。



この世界じゃ、日本食の色って汚い分類なのかとちょっとショック。


スパンコールキャベツの味噌汁とか食欲湧かねーけどさ。


味噌ないし醤油ないし。


その内美味いもん食わせてやると思いながら、小魚を塩漬けして魚醤つくってやろうとしたら、健と真一に“これはナンプラーじゃない”と捨てられた。


カツオの塩漬けとかも、くっさくなるからね。


借りてる小屋でやられたらそりゃ迷惑なだけだ。


ー素直にゴメンナサイ。


でも真一が、餅米の糠で密かに始めたぬか床まで捨てようとしたのだけは許せない。


その日は、押し入れで糠床を抱いて寝た。


パンとぬか漬けの相性は最悪だが赤米あるんだから、オニギリの具にいいじゃないか。


真一ぬか漬け嫌いだって…。


なんかオカズ考えてやろう。


大根の皮落として日陰で干して、塩と砂糖の沢庵作ってやろ。


ー漬け物が嫌いってか!?


仕方ねぇ、ユカリご飯で我慢しろ。


紫蘇を塩揉みして天日干ししてカリカリにさせて砕けばユカリ擬き完成よ。


やべぇ、真面目に塩しか頼れる物がない……………。


傷まなくていいけどさ。


結果的に出来たものを大将の店に提供したら、出汁と煮込んで作った塩である“味塩”は大ヒット。


パンに合わないユカリは超不評。


本来の彩りを邪魔しないで味付けが変わるのが良いらしいね。


色の強いターメリックは受けが悪く、コショウ山椒は料理に砂利が混ざってると苦情がきた…。


とにかく、変味は成功。


見た目は、まだまだ変えられないようだ。




そろそろひと月です。


転移してからって話しですよ、

慣れたか慣れないかで言うなれば、慣れるしかなかったのが辛い。


餅米と麦炊いてオニギリ作るって二人に持たせるのも、もう慣れたし、留守番中にやっていたポポタン水から作るポーションは完全にマスターしたよ。

そろそろ、新しいことに手を出してみる時期なんじゃないかと思います。



ーでだ。


何に手を出すべきだろう?


人に聞いても解らないもんは解らない。


街を散策する必要があるので、とりあえず、女子力とやらをあげてみようかと思う。


まずは、化粧品とやらを購入せねばなるまいて。


パフパフするのと口紅をとりあえず買ってみたが、自分だけでは素材の良さを活かせない事が判明。


「…と言う訳です」


「俺らじゃ無理だろ」


「僕も化粧は無理かな…」


健と真一に事情を説明したが、二人ともやはりわからないらしい。


「…化粧したっても、ピエロみたいな口にしただけじゃんか」


「子供がソレと夜中に会ったら絶対気絶するよね」


「わかってるからどうしたらいいか相談してんだよ」


「…いや、化粧はやめとこうぜ。男にモテたいならまあ話はわかるけど、影丞そんなんいらねーだろ?」


「そりゃ、男にモテるのはいいらないけど、外行くのにもメンツがあるじゃないか」


すっぴんが恥ずかしいなんて話には成らないけど、大人になったなら、化粧するのもマナーの一つだとかって、食堂で客の女の人達が話してたからやってみたのよ。


非難だらけでやる気失せる…。

まったく、人がせっかく可愛くしてみようかと思って挑戦したのに、何がそんなにいけないのさ?


「女将さんに相談とかも止めとけ、ろくな事にならなそうだからよ」


「女将さんか、あの人もほぼすっぴんだからなぁ」


薄化粧とかナチュラルメイクとか位してるのだろか?


脂浮いてる事ないもんな…。


「普通にニキビ出来たらいやだろうし、化粧より肌の手入れだけ聞いてみるのはいいんじゃない?」


真一、ナイスアイデア。


「ニキビっ面の同居人は嫌だけど、影丞の場合必要とは思えねぇんだけどよ?」


「んー、影丞だから必要なんじゃないの?」


アバ体割と頑丈だから、擦り傷すら着かないけど、ニキビとかみたいな吹き出物はどうなるか解んないな。


「でもさ、ポポタン水作り出してから、毎日ポポタン水を混ぜた水で顔洗ってるぞ?」


「「マジか…」」


ポポタンをすり潰し裏漉しした時の茎を丸めてスポンジ代わりにしたり色々やってんぞ。


「…なら、化粧とか必要ないだろ」


「そうだよ。綺麗になられて影丞と恋に落ちるのも嫌だよ」


真一何気にヒドす。

流石に真一と恋はないだろとは思うな。


「それ以前に化粧したら影丞らしさがなくなるだろ」


「ああ、TSの意味なくなるよね」


何故にそこまでディスりますかね?


オレそこまで変な話してませんよ。

せいぜい、人並みに気を使うべきかどうかを相談しだだけだど?


男女おとこおんな差別はんたーい。


「いや、むしろひと月程度で化粧に手を着けようとしてるお前がぶっ飛んでるとしか思えねぇ」


「そうだよ。テスト前でも机に向かないくらいだったんだから、焦らないで行かないと影丞らしくないよ」


「だって、今ポポタン以外やる事ねぇんだもん」


「俺らだって、ポポタン買取なくなってから街中のアルバイト探ししかしてねぇよ…」


「冒険者の本登録まで僕らも何にも出来る事ないよ」


幸いお金はある。


お金はあるけどする事がない。

普通なら、子供相手に学校紛いの事したりするんだろうが、子供はみんな神学校なんかに行ってて“居ない”。


奉公しながら学び全員寮に入るのが決まってるらしい。


寄付金で賄われてるんだとよ。

魔物が居る世界だから荒れてんのかと思いきや、福利厚生はしっかりしてる。


結局、冒険者が妻子残して倒れても安心できるようにしてるらしいが、ソレがあれば死んでもいいって話しじゃねぇよな。


でも、それがあるとないとじゃえらい違いなんだろうな。


「…なんかやる事考えようよ」


「そういや、馬で東に一時間も走れば海在るって話しだけど?」


「真一、馬飼いたいか?」


「違う、馬じゃなくて海だよ」


「オレ泳げないから却下」


「どうせ海パンないから泳がないよ。行くだけでいいから遊びに行こうよ」


「…いくらなんでも、東も魔物くらいいるんじゃねぇか?」


「いやいや、このひと月でわかったけど、僕らなら大概の魔物は普通に大丈夫だって」


「「え~?やだ~」」



真一は、過信しすぎてます。


健は行きたくないし、オレも逝きたくない。


はぐれたら戦闘力ないから食われるよ。


「そこはほら、手を繋いだりしてけば大丈夫でしょ」


男同士で、クソ暑い中手を繋いて延々と歩くとか苦行なだけじゃねぇか。


「なら、ダッコで…」


「…あんまかわらねぇぞ」


「今の影丞なら可愛いからいいじゃん。女の子の格好してもらってれば影丞だと思えな…い…し。あれ、なんでこんな話に…」


もとの木阿弥と言うか、話がアッチ方面に戻りかかったね。


真一は、オレをどうしたいのだろうか?


上着に手をかけボタン代わりの紐を解いていく。


「…おい、なんで服を脱いだ?」

健が不安そうにしているが気にしない。

上着を脱いで真一に向き直り飛びかかる。


「…っ、あたしを抱いてぇぇっ!!」



「…そぉいっ!!」



「はーい、影丞あうとー」


迷う事なく梁の高さまで投げ飛ばされたオレを健が片手で空中キャッチ。


イスに戻された。


言い出しっぺは、抱き止めるくらいしろよ。


「…てな訳で解散」


「うい」


「…は~、影丞が変な事するから無駄に疲れたな」


真一、それは化粧か飛びついたのと、どちらの事か?


二人は、のそのそと街に歩き出した。


今日はたしか、二人で荷運びのアルバイトだったか。


三人とも学生してたのにどうして働かなきゃならなくなってしまいましたかね。


仕方ないから、今日もまたポポタン精製して頑張るしかないか…。


う~ん。


刺激が欲しい。

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