敵影いまだなし
間に合わせの短い話しです
月は傾き星が流れる深夜、俺達は絶望の淵に立たされていた。
「痒い…」
ポリポリと刺された場所をかく。
腕だけ五六ヶ所。
現在は大量の青草を焚き火に投入し蚊を遠ざけている最中である。
因みに、我が家は蚊取り線香を三本目辺りまで燃やしてモクモクに煙を出して使います。
「ヨモギとか菊がないと駄目だな」
そう言う健は上着脱いで露出部分が多かった。そのせいで俺より刺された箇所が多かった。
水含ませた布で冷やしてる。
水辺、森、草花。
統合本部は、藪蚊とブヨの巣窟の真っ只中でした。
―寝てられないです。
「…服の上からおっぱい刺されるとか最悪」
服の上からさする刺激が気持ちよく……なる前に、肌破いてヒリヒリしてきてきたよ。
軟膏に潰したドクダミ混ぜて塗ってみよう(効果は未知数)
ムヒにはならないけど、冷やせば多少収まるはず。
人任せにしてたオレもわるいんだけど、テントとかカヤを買わないから大変な事になるんだぞ。
「影丞、布かけとくからこん中入っとけ」
気付けば、健が芋虫の寝袋の口を広げていた。
まぁ入るけど、真一もあり合わせで仮のテント縫ってくれてる。
思ったけど、シーツ沢山買って、縫い合わせたら、布の家が出来そうだよね。
住むかどうかは別としても、街に帰ったらシーツ買い占めようか。