冒険じゃないけど
街を出て森を目指して歩く。
最近は、あまり街から出い生活をしてたんだけど、草原のポホタンは以前ほど生えていないようだ。
草原ったって縦横ニ三キロあるかないかくらいらしいけど、前は花畑と呼べるくらいポホタンが生えてたんだけどねぇ。
「ポホタンの咲く時期から外れたのかもな」
「そんなに長く咲いてる訳じゃ無いみたいだし、ボクら運が良かったのかもよ」
「そうかも知んねーな」
ちらほらと見うけられるのは黄色から白い綿毛を生やしたポポタン。
そよ風に揺られ禿げていく。
次は何処の場所で生えて来るのか。
そういや、鼻毛って抜けても生えてくるらしいけどさ、鼻毛を頭に移植したらハゲなくならないんですかね?
「影丞、一応‘訓練’なんだから、余所見ばっかしんなよ」
「うい」
健に手を引かれついて行く。
うん、もはや当たり前如きの状態で、健的には違和感なくなったらしいけど、健とおててつないでお散歩状態。
「…見失いそうだから、ボクは二人の後ろ歩くよ」
「そうか助かる」
いや、今の流れでどうしてそうなりましたか?
「影丞くらい人間なら、連れて行っちゃう猛禽類って少なくないらしいからな」
「連れ去られたら終わりだから気をつけるよ」
「…怖いね」
「うん、目の前で連れ去られたら諦めるしかないらしいし、そんなトラウマ抱えたくないからね」
気持ちわるいし、そんなん考えただけで気分悪くなるしな。
「…オレ、冒険者なんかなれるかな」
身体能力かなり低いし、階段から落ちかけたりしそうになったりしてるから、あんまり戦力きならないよな。
「登録だけなら誰でも出来るんだから深く考えなくていいだろ」
「ポーションとか作ってるのが一番安全だろうけど、この街にいるだけじゃ帰れないから、やるしかないよね」
「二週間くらいたったけど、手がかりなんかないから、いまだに意味わかんない状況だよね」
「小説なら何やかんや、フラグありそうなんだけどね」
…フラグかどうか解らんがイベントは色々潰してきてます。
フラグ無視してるから手がかり出て来ないのかなぁ?
「…ヒロインらしき者が影丞な時点で終わってるしな」
「異議なし」
「異議なしって、影丞はそれでいいの?」
「ある訳なし」
二人の内どちらかとどうにかなりたい訳じゃないから、むしろヒロインから脱出したい。
15才で冒険者になれない時点でラノベ的な活躍する展開は出来なかったからねー。
とりあえず、食べるに困らないだけだけど、食べるに困らないで済んでるなら、今はそれでいいとするしかないよ。
フラグ的発言だけど、このあたりは比較的平和な地方らしいし、道端でグロに遭遇しないのはマジ有り難いね。
王都みたいな場所は、酒の帰り道でグロに遭遇し嘔吐するなんて珍しくもないらしいし、平和でいいよ。
いや、そんな道端にある方が珍しいし流石に誇張されてんだろけど、モツ系とバーグ系は、食卓だけで十分。生の段階はあまり見たくないよ。
焼き肉コワい…。
いやマジでコワい。
理由は、黒い肉はオーガだったからさ。
オーガはまんま人型なのに、昔から高級食肉と認識されてるってヤバいわ。
牧場がないからそうなるらしいんだけど、二足歩行の白豚は食べない癖になんでオーガだけ食べるのか…。
食堂で輪切りにされてたし二回も食べちゃった。
しかも、縁起物扱い。
なんでもかんでも色ついてりゃいいってどんな食料事情だ。
わかった時に意識遠くなったわ。
買い食いしてたらゴブリンの肉だったと青い顔してたし、この世界の食料事情がヤバ過ぎるよ。
ラノベだったら、ファンタジー世界で食べてウマいってなると、その後も継続して食べる主人公いるけど、地球でならサルでも食いたかないだろうに、なんで完全なる人型の魔物を平気で食えるようになれるんだろ
チート授かると、どっか精神的におかしくなるんだろうか。
オレ?チートなんかムダ毛よりないな。
まあ、アバ体だからかスネ毛もワキ毛、更に下の毛もないけどさ。
本体ここまでツルツルじゃなかったんだけどなぁ?
「アバ体じゃなくて“背後さん”で来たかったよ」
背後さんってのは、アバ体キャラクターの向こう側リアル本体って意味ね。
「影丞本体でも規制かかると思うぞ?」
「わかってるけど、アバ体よかましな気がする」
理由は男だから。
「え、アバ体の娘様になれてウハウハしてないの?」
「…してる訳ないだろ。公共浴場入れもしんに?」
精神的に無理よ?犯罪ドキドキとかそう言う意味じゃなくて、老婆や太ったおばちゃんと混浴とかマジ無理。
アレみたら記憶飛ぶし、爺さんの裸のが普通にマシよ。同性は耐えられんだが、あっちは頭ん中意味分からん状態になるからあんまお勧め出来ない。
「毎回、ある程度年上の人しかいないから残念なだけだよ」
うんと年上ばかりだけど、日本男児ならオブラートに表現すべし。
「確かに若いのはあんまいないよな」
「…時間帯じゃないかな」
二人はそう言うが、風呂で年頃なのいても、多分近付けないで終わるだけだぞ。
だいたいだな。見るだけなら毎日アバ体の我が身を見てるからどうでもいい気がしてるから混浴だのなんだの気にしてない。
おばあちゃんらに気づかれないよう入ったり、ひたすら話かけられても体みないように会話して入るの大変なんだぞ。
あからさまに離れた場所に陣どると、気になるらしくて付いてくる時あるんだぞ?
高校生男子がオバチャンらに包囲されてくとか、どんな生地獄だと思ってんだ。
しかも、会う度に遠慮がなくなるから最近大衆浴場いってないんだぞ。
いや、そうゆうオバチャンは最近から遠慮なかった気もするけど…。
「シワシワなの下げた人からオッパイ綺麗ねなんて言われても答えようがないわ」
「オッパ…」
「え、影丞の綺麗でしょ?」
絶句する健はともかく、真一は不思議そうにするなや。
オジサンからチンコデカいね言われたらお前らどうするつもりよ。
言葉のボキャブラリーがないのに、どう対応すると言うのさ。
「…俺には愛想笑いしか思いつかねぇ」
「まぁ基本はそうだよね。マトモに答えようとするから遊ばれるんじゃないのかな?」
「そーだけど、愛想笑いしたら距離近くなるから余計窮地に陥るの!」
そこに厭らしさはない。若いときはねーなんて発展するから余計に嫌なんだよ。
20代…あの時は若かった。
―そりゃ若いだろうよ!
有名なネタですね




