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何話してたの?

呼び出された健が普段からは考えられないような暗い表情で戻ってきた。




売り言葉に買い言葉ではないが、ギルド長が釘を刺すつもりで体験させてみたダンジョンを走破してきちゃったら、グループ名が“素材屋”になっちゃったんだとさ。


聞いた瞬間なんのこっちゃと首を傾げちまったけど、中堅冒険者を中心とした集りが名乗る“グループ”が結成記念に挑戦するちょっと難しいダンジョンで、最深部にある魔道具が、ランダムで選んだグループ名が書かれたミスリル製のプレートを発行する謎仕様で、そこを踏破してグループは社会的にも信用がつくらしい。



…冒険者じゃないのに、いきなり冒険者グループとはこれ如何に?


健的にはionタウンで“限界トイレ”を探して歩く時に比べたら楽勝だったと語った。




※脳内ウィキ検索結果※


・限界トイレ


出先中の腹痛を乗り越えた先にある最終形態で、ンコがちょっぴり顔を出していたり、それを指の力で阻止している事や状態。


満員トイレやコンビニのトイレ待ちの最中や、いつもより凛々しい顔をして早足で歩き出した人によく発生している。

和式のみに限られるが、ベルトに手をかけた刹那に現世から解脱する可能性を秘めた危険な状態。


もしかして


・漏らしてる


※※※※※※※※※※





いやもう汚いだけでどうしたものか?


クリアしたら、グループ登録証が手には入ったんだとさ。


グループ名は※素材屋※なんとも地味なグループ名になった。

ギルド長もたいそう驚いて、健を問い詰めてきたそうだが、いい加減帰りたくなってきたから“ペイ”したら大人しくなったそうだ。


明日また、話をする約束はしてきたらしいけど、お前なに状況悪くしてきてるのさ。


冒険者に対して相当な権限が与えられているギルド長だが、法律により部外者であるオレ達に強制は出来ないらしい。


だからと言って蔑ろにしていい訳じゃあないはずなんだけどな。



「とにかく、ポボタン卸してくる」


そう言って健は、窓口に話をして付き添われながら裏口へ歩いていった。


また、ポボタン査定待ちか…。


【ぼーーんっ!!キシキシ…メリガコン…カランカラン…】


―キイアアアアアッ!


裏手から響く爆発音と複数の悲鳴。


「回収所見に行けば良かったかな…」


真一が残念そうに呟いた。


「あんな所、行かなくていいよ」


基本的に血まみれで、体液が染み込み続けた赤茶けた床と壁。

濃い血の匂いのせいで、近づいただけで気分が悪くなったよ。

解体途中のクマみたいな生き物が吊されてたのが軽く悪夢だった。


せっかく異世界に来た訳だけど、オレ哺乳類みたいな生き物を殺す事出来ないと思う。


腕力以前に精神的に無理だ。


荷卸しを終えた健は【勝訴】と書かれた紙を掲げて帰ってきた。


誰かと争ってたんですか?

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