ポークヴィッツ
「…うわ、やることない」
オレだけ、先に部屋に来て用意されてたお湯と布でポヨポヨとするだらしない身体を拭いて二人を待っている。
―ふっ、全年齢対象はちまいサービスシーンはカットと相場は決まっているのさ。
テレビも娯楽もないから不便で仕方がない。
しかし、この体腕力が無さ過ぎて備え付けの机の椅子を移動するにも一苦労する。
「はぁ~、この体で何しろってんだよ」
ゲーム中のネタ用キャラクターだから生活や戦闘の利点がないのよ。
明日は、出来ること出来ない事があるか色々試してみる必要があるだろう。
“コンコン”
「…影丞、拭き終わったか?」
「終わったよ?」
「入るぞ…って服を着ろ!!」
オレを視認した健が慌ててドアを閉めた。
―勝った。
いや、ラッキースケベとかあるから敢えて上半身裸でまっててみただけです。
「二度見しなかった健はエラいっ!!」
「黙ればかやろ」
「え?何?今なんか見えなかったけど影丞はなにしてたっ!?」
「見なくていい!」
「いや見せてよ?!」
そして真一はエロい!
▼
部屋に入った健にベッシンベッシンと頭を叩かれる。
「アホか、心臓止まるかと思ったわ」
「ボクは見てないからわかんないよ」
木製のベッドが二つにそれぞれ健と真一が座り、籐みたいななで組まれた一回り小さな簡易ベッドにオレが座る。
さり気なく広いベッドを確保してたんだけど、健が座ったらミシミシと軋み潰れそうだったから仕方なくこうなった。
もう床でいいかも。
「なんか明日から長屋を使って良いらしいからそっち移るらしいぜ?」
外の壁がそのまんま借家になっているらしい。
あれだ、田んぼの稲乾かすための竹を仕舞っとく細長い物置みたいなレベル。
長期契約なので、内装は自由にしていいらしく、仕切りを増やしてパーティー二組で住む事もあるくらいだから結構広いのかな?
そんな話してる間に二人は体を拭いてんだけど、いい身体してるから右へ左へキョロキョロキョロキョロしてしまう。
筋肉が好きとかではなくて、単純に逞しいのが羨ましいだけ。背中とかビルダーみたいになってるし、高校一年の枠組みの中を飛び越えてヤバい域に達している。
「…あんまジロジロみんなよ」
「そんな真剣に見ても気分いいもんじゃないでしょ?」
健は指先で乳首を隠し、真一は背中を向けてやり過ごす事にしたようだ。
普通なら健の行動はキモいで終わるだろう。
だが、そうもいかん。
ちょっとだけ触ってみたくて堪らない?
いや、触りたい。
よし触ろう。
「…あっ、思ったより柔らかい?」
健に近付き、腹筋をペタペタと触る。
「…んぇ?」
見下ろす健が凄く間抜けな顔をしいたのが笑えた。
▼
「「もうらめぇえっ!!」」
数分後、野太い二つの悲鳴が宿の中に響き渡った。
「逃げるぞ真一ーーっ!!」
「もうお婿にいけない」
「おいこら、それオレの役目だぞ?!」
真一のズボンを手に、ドアを蹴破り半裸で逃げ出した二人を追いかけたが一階にたどり着いた時には二人の姿は何処にもなかった。
―ちょっと無遠慮に触りすぎてしまったようだ。
新年あけましておめでとうございます。