Ep4 冒険者ギルド
「なぁ...何かじろじろ見られてんだが」
「そりゃそんな格好してたら目立つわよ」
そう、俺は母も父も日本人の生粋の日本人。
当然黒目黒髪、しかも今の格好はジャージ。
日本なら目立つことも無いだろうがここは異世界、かなり目立つ。
「こんなに見られると照れるぜ...!」
「キモッ」
「えぇ~...」
そんなやり取りをしながら歩いていると、やがて剣が交差しているエンブレム(?)のある3階建て程の建物が見えてきた。
「ここが冒険者ギルドよ」
「おぉ~、謎の感動」
「さっさと入りましょ」
「お、おう」
せっかちだなぁ、と思いながらもセクラトに続いてギルドの中へ。
見回すと、中は受け付けに依頼が貼ってあるであろう板、酒場っぽい場所、それと階段。
人は少なく閑散としていて、拍子抜けしてしまった。
取り敢えず受け付けへ。
「えと、こんにちは」
「こんにちは。本日はどのような用件ですか?」
選んだのはテンプレよろしく美人のお姉さんの所に。おっさんよりはマシだろう。
「登録したいんですけど...」
「登録ですね、ではこの紙に記入をお願いします」
そう渡されたのは名前と年齢、職業、特技の欄がある紙。
職業って学生で良いのかな?と考えながら記入して渡すと。
「...何語ですかね?」
「え!?」
言葉は分かるし日本語で大丈夫かと思ったが駄目だったようだ。めんどくさいなぁ。
「代筆...お願いします...」
「はい」
言葉覚えよう、と密かに決意しながらもお姉さんの質問に答えていく。
「...フジモトカズヤ17歳、職業特技共に無し、ですか」
「はい」
「分かりました、では基本的な事だけ。まず冒険者階級があります、これは1級から8級までの10段階です。最初は8級からで、ある一定数依頼を達成すると昇格する仕組みとなっています。さらに3級からは昇格試験があります。次に依頼についてですが、達成すると報酬がありますが失敗すると違約金が発生しますのでご注意下さい」
「ほうほう...」
結構面倒だな、まぁ失敗に気を付けとけば大丈夫そうだ。
「それと、ギルドの2階と3階は宿屋ですので是非ご利用下さい。以上です、他はこちらをお読み下さい」
と言って渡されたのは1冊の本、無料で配っているらしい。
「はい、ありがとうございました」
「良い冒険者生活を」
一応冒険者って危険な仕事だよな?良い冒険者生活ってなんや。
そういやセクラトは、と思い見回すと早速依頼が貼ってある板の前に居た。
「セクラトって登録してんの?」
「ええ、暇潰しにしてたわ」
「ちなみに何級?」
「準2」
「高っ!」
暇潰しでそれってどうなんだよ...。
「それよりさっさと依頼受けましょ、どうせ無一文なんでしょ?」
「はい...」
「手軽なのもあるわよ、ほら」
いや読めないんすよ、でも報酬額なら分かるけど。
250なんちゃらだってさ、安そうだし大丈夫そうだ。
「了解、それで」
さっきのお姉さんに依頼書を出すと、
「...大丈夫ですか?こんなの受けて」
と言われた。セクラトが手軽って言ってたし大丈夫だろう。
「まぁ大丈夫でしょう」
「...分かりました」
渋々承諾してくれた。金欠だから早く稼がないとな。
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