小さな火
手の中で橙色が燃える。ゆらりゆらりと蝋燭が燃える。
隣に座る親友の顔をぼんやりと照らし、遠くにいるあいつの火もたぶん拙くその顔を照らしてるだろう。
林間学校のキャンドルナイト。
一人ひとつ、それぞれが小さなか弱い炎を持って、円を描くように向かい合う。
どこまでも深い森の闇。その中で私たちの蝋燭だけが唯一の明かり。時折吹く、湿った夏の風が炎を揺らす。光が風になびき、つかの間その勢いを失った。だけどすぐに元に戻って、一生懸命に儚い煌めきを燃やす。
揺れて迷って、それでも一心に自分を燃やす。周囲に与える光は僅かだけど、少しでもその輝きが誰かの心に残るように。肝心のあいつが気づかなくても、ちょっぴり記憶の隅にでも留まるように。
先生が持ってきた松明が、キャンプファイヤーの始まりを、そしてキャンドルナイトの終わりを告げる。
中央で一気に燃え上がる焔。わたしたちの火を飲み込むほどに、明るく力強い光。近くの友達はもちろん、反対側で笑ってるあいつの顔もはっきりと照らし出す。
今はこれでいっか
私はそっと蝋燭を吹き消し、夜空へと爆ぜる火の粉を仰いだ。
書けないくせに、時々何か書きたくなります。
だけどやっぱり恋愛物は難しい……。
拙いですが、批評・感想よろしくお願いします