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企画物

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作者: PP

俺は手に取る。


『これが伸縮自在~ブレードウィップ~か……』


ムチが連結して剣になるタイプの武器である。


『これは大太刀の斬馬刀だな』


更に俺は別の棚に飾ってある武器を取る。

太刀の倍はあるであろう長い斬馬刀は、突いたり叩いたりするために用いられる。

しかし重量があるため、力が弱い俺には使いこなせない。


『使いこなせれば人だろうと馬だろうと真っ二つにできるのにな……』


再び俺は移動する。


『これはこれは、ははーん、さては、忍者刀だな』


商品棚で埃を被っている商品が目についた。

全長40cm程のそれは、鞘に紐と先の方に仕込み用のスペースが設けられている。


『珍しい物をおいているな、けど手入れをしてないのはいただけないな』


そっと埃をハンカチでぬぐい、また他の商品棚へと移動する。


『おお、これはフットマンンズフレイルじゃないか』


全長2mにもおよぶソレは、長い柄の先についているヘッド部分に3重にもわたる鎖により馬上の騎士や遠くの相手を攻撃できる武器である。


『これまた、今の時代こんな武器使われないだろう』


しかし手入れはしっかりとされている。むしろ忍者刀以外だけ手入れが届いてなかったともいえよう。


『この棚はMAC10か、イングラム45口径タイプとかこりゃまた人気が……』


そう思っているとさっと他の人がMAC10イングラム9mm(9x19)タイプを手に取っていく。


『はぁ、売れるもんだな』


短機関銃が欲しいとは、今の時代でも武器ってのは需要があるって事か。


俺は更に店内の先に進む。


『ははーん、これはこれは。ふふーん、さてはパラケルススの書か』


医学、錬金術、自然魔術を元とした魔術医師が残した書である。


『こんな高位な魔道書もあるのか』


俺は関心と共に、こんな無防備に商品棚に置いてていいのかと疑問に思う。


『お、こっちは陰陽五行説の巻物か』


今度は巻物が横に陳列されている。その中に陰陽五行説『500万G』と値札と共に置かれている。


『これは安いな、安いけど巻物は今の時代……』


また他の客が巻物を手に取り去っていく。


『需要があるんですね』


俺はこの広大な店内を見渡しはぁ、とため息をつく。


「さて、どうすっかな」


今、俺のメモ帖には3つほど商品メモが残されている。


『忍者刀、パラケルススの書、エメラルド・タブレット』


の3つである。


メモ帖をしまい、俺は考える。


『さて、どうしたものかな』


「引き受けてくれるかい?」


先ほどからずっと俺の後をついてきていた人物が話しかけてくる。

俺は振り向き、頷く。


「ああ、良い商品がそろっている。だが私なんかで大丈夫なのか?」


「いいよいいよ、ぜひともお願いしたい」


目の前の男性と契約を交わし、権利書を貰う事になる。


「それじゃ、後は任せましたよ!」


そういうと早足でその男は去っていった。


『ついつい引き受けちまったな』


俺は控室に向かい、歩き出した。

この武器屋『ブラックホール』を経営するために。


「あの、そんな安請け合いして大丈夫なんでしょうか」


もう一人、俺の横について歩いてきていた人物が話かけてくる。


「大丈夫さきっと、俺はずっとこんな感じだよ」


片腕しか残らない俺は、目の前にいる少女に話しかける。


「もう現場にはいられないからな。ここで店構えてドーンって身構えてやっていくさ」


「私のせいで、ごめんなさい……」


少女は涙声になるも、気にするなと俺は頭をなでてやる。


「ネックはこの莫大な借金を返すところからだな」


「はい、、、ところで、何をメモしていたのでしょうか」


権利書と共についてきたのは莫大なる借金である。

この武器屋の全て(武器・土地・借金含む)を私は全て私は引き取ったのである。

この少女と共に生きていくために。


「このメモか?そりゃお前、ランク付けだよ」


「ランク付け、ですか?」


少女は目に涙をためたまま尋ねる。


「そう、医療戦闘員だった俺は、武器屋で医療に使える物をピックアップしてたのさ」


俺はそう言い、ピックアップした武器達にランキングを付け始める。


「こうやってランク付けしてやると、買ってくれる人が増えるんだよ」


メモ帖には、医療に役立つ武器という矛盾を含んだランキング付けがされていたのだった。


『俺はキミを1番に……』


俺のランク付けは不動のようである。

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