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白いバラ  作者: 木戸葉
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ことのはじまり

私こと、赤坂赤は以前、木戸葉として『アジサイ』というタイトルを書いていました。この物語はその続きという形となります。知っている方も知らないという方も楽しんで読んで頂けるよう努力して筆記しています。


あたたかい心で読んで頂けたら幸いかと…。

「聞いてくださいよ、楽一さん。人がせっかく用意した服を着ないで別の服を着たんですよ!優華さんは酷いと思いませんか!?」

髪を結った背の高い少女は目を吊り上げて楽一に愚痴をこぼす。

楽一と呼ばれた女性はからからと笑う。そして西洋じみた横に長い椅子のに寝転ぶ女性を見る。

「で、優華ちゃん。素隠ちゃんは何に怒ってるんだい?」

優華と呼ばれた女性は肌の色は白く少し朱みをおびた目をしている。

彼女は目を楽一に向けた。

「………これは私が好まん西洋の服を準備していたんだ」

楽一は顎に片方の手を添える。

「……ああ。洋服のことだね?最近流行っているって素隠ちゃんに教えたんだ。あたいがね。何着かあげたんだけど、何、素隠ちゃん。優華ちゃんに渡したのかい?」

楽一は少女、素隠に目を向ける。

当の本人はにこにこと笑い、頷いた。

「はい。とても華やかで綺麗だったので優華さんに似合うだろうなと思いまして。なのに優華さんってば………」

恨めしそうに優華に視線を向ける。

優華は知らんぷりを決め込む。

楽一は苦笑した。

一応、あれは素隠ちゃんにあげたものなんだけどねぇ。何でもかんでも優華ちゃんが一番なんだろうね、この子は。

「ほんと、素隠ちゃんは優華ちゃんが大好きなんだね」

素隠は楽一の言葉に首を傾げた。

「突然、何ですか?楽一さん。私は優華さんに拾われた身なんですから恩返しをしたいだけですよ。私をここに置いてくださったんですから。……………感謝してもしきれません」

「そのわりに私の言うことを聞かないじゃないか。どの口が言う。どの口が」

優華は口をすぼめる。

素隠は呆れて半眼する

「………きちんとした生活を送ってくださらないからでしょう!?優華さんの言われるままに行動してると私が人殺しになっちゃいますよ。それだけは勘弁してほしいです」

楽一はそんな二人の会話を小さく笑ってながめていた。

彼女は人間嫌いで有名だった。そんな彼女を変えたのがこの子だ。

楽一はもっていた煙管を吹かす。………ああ、でも、きっかけはあれだろうねぇ。

楽一はある二人組を思い浮かべる。

それが彼女の変化のきっかけになったのだから。





時は遡り、百年前。

彼女は有名だった。

どんな願いも叶え、訪れるものの心を見透かす力があると。

「……実際はそうでもないんだけどねぇ」

楽一は向かいに寝転ぶ女を見る。部屋はお香が焚かれ、ものの輪郭があやふやだ。

「………何か、言ったか?」

その女性は楽一に一瞥を向ける。

楽一は目を細めて笑う。

「………あんたはあたいらの業界で有名だよって話さ。心を見透かす恐ろしい女だと」

煙管を吹かし、外を見やる。天気がよく、お日様が覗く。

女性は機嫌が悪そうにしている。

「私は何もしていない。相手の言動や行動、癖を見たら大抵のことは分かる。心など頼まれたとしても御免被る」

「それが出来ないのさ、大抵の奴らはね。優華ちゃんだから出来るだけ」

楽一は立ち上がり、外に出る。

「………じゃあ、あたいはお暇しようかねぇ。あんたのお客がお見えのようだし」

優華は眉を潜める。不機嫌な顔がよりいっそう悪くなる。美人であるため怖さが引き立つ。

優華は楽一が出ていったあと、玄関に向かった。

そこには痩せたいかにもなお嬢様ふうの女性が立っていた。質素ながらも気品溢れる着物を着こなし、思わず、見とれてしまう雰囲気を醸し出している。

しかし、優華は平然としていた。

「………いらっしゃい。一応聞くがここがどういうところか分かっているか?」

優華は腕を組み、壁に持たれる。

客の女性はにこりと笑う。

「……えぇ。お願いがありまして。ここはそういうところでしょう?」

「…一番大事なものと引き換えにな」

「承知の上です」

優華は嘆息をし奥に入っていく。女性は靴を脱ぎ静かについていった。










優華と女性は向き合う形で座っていた。

「さて、単刀直入に言う。貴女の望みは?」

優華は笑いもせず、無表情に言う。

女性は機嫌を損ねることなく目を伏せる。

「私が言ったことは他言無用でお願いしてもよろしいかしら?」

女性は目を開けると真剣な眼差しで問うた。

優華は首を竦める。

「商上、情報は洩らさない。深入りするつもりもないのでその辺は信用してもらってよいと思う」

女性は口許を着物の袖で覆い、笑う。

「……フフフ。それならいいですわ。鏡が欲しいのです」

「鏡、と?」

「ええ」

女性は言い切る。

優華は内心溜め息をつく。

「……失礼ながら、その程度のものでなら貴女なら手に入るのではないか?」

女性はにこりと笑ったままだ。

「ええ。家は大変裕福ですよ。ですが既に有名な希少価値の高いものは所持してますの。私が欲しいのは妹に贈る鏡です」

優華は両指を口顎のしたで絡めた。

「………確かにここにも鏡はあるが、それがあなたが探しているものであるかは保証しかねるが」

優華は断ってから一度、部屋を出た。そして間もなくしてから何か、小さな物を抱えてやって来た。そして元の席に座る。

「……ここにあったのはこれだけだ」

優華は机の中央にそれを置いた。

女性はそれを見て目を輝かせる。

手に取り、触感を確かめるように触る。

そして、頷き机の上に置く。

「………何を渡したらいいのかしら?」

優華は女性の全身を観察する。

そして、腕に巻き付いている金の腕輪を指差す。

「貴女の持ってるもので、それが一番釣り合う」

女性は腕輪を取り、躊躇わず差し出す。

「これで成立ですわね。では、これは確かに頂きましたよ。店主さん。ありがとうございます」

女性は立ち上がり玄関の方に足を向ける。優華は出送りに行かずその場で玄関の扉が閉じる音を聞いた。

「……人間特有の匂いがしたな」

優華はさっきの彼女の周りに黒い靄がかかっていたのを見た。それは鏡を目で捉えたとき、靄は一段と濃くなっていた。


あれは恨みの証だ。誰かを悪意でみるとそれが己に巻き付く。己を不幸にするとは思わずに。

「人間の匂いが溜まってる。お香で消し去らねばな」

優華は立ち上がり自室に向けて歩き出した。




優華に関する噂で人嫌いは本当だった。嫌いだからといって何かをするわけでもなく、必要以上に関わらないようにしている。しかし営み上、客は相手にしなければならない。願いを持つのは人間が多い。身勝手で、自分本意で、相手の事を顧みない。人とはそういうものだ。理解に苦しむ。

「………おおーい、優華!屋敷の外に誰か倒れてるぞ~?」

若干低い声が耳に届く。

「そうか、わかった………って何故お前がここにいる!?」

優華は屋根の上に座る青年に怒鳴った。

青年は宙をくるりと回り地面に降り立った。

彼は蒼い短髪に金がかった瞳をしている。着ている変わった柄と形状の服が、何より醸し出すオーラが人間でないことを証明していた。

「結界が綻びてるところがあってな。そこから入った。あれは物騒だぞ?」

優華は舌打ちし、何か唱える。すると風の流れが変わる。

水汪は歩き出している。

「助けるだろ?」

水汪は振り返り言う。

優華は腕を組み明後日の方を見る。動く気配がない。

「……おーい、優華。行かないのか?」

優華は溜め息を吐いて歩き出した。

「……屋敷の前で倒れられるのも迷惑だしな」

水汪は口笛を吹く。これが素だから困ったもんだ。

二人は玄関の外に倒れていた二人組を屋敷のなかに入れた。

どうでしたでしょうか?下手の文ですみません。読んでいただいた方に感謝を贈ります。ほんとうにありがとうございました。

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