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『1章完結!』光と闇の継承者 〜神に選ばれた少女の物語〜  作者: 加藤 すみれ
2章 歪みの中で出会う者たち

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奇跡の契約〜大精霊と選ばれし者たち〜

マイとスイレンの戦いを見守っていたのは、スミレたちや人間たちだけではなかった。


「あらあら、懐かしい気配がすると思ったら...

面白いものを見せてもらったわ」


訓練場の空気が一瞬にして変わる。二人の女性が現れると、そこに立っていた騎士たちは無言で武器を構え、緊張が走った。だが女性たちは、まるで何事もないかのように、戦っていた二人にだけ視線を向けている。


「なに者だ!!」


騎士の一人が声を張り上げる。けれど、声は届かず、彼女たちの存在感に圧倒されるばかりだった。


「初めまして。私は、大地の大精霊リレス」


緑の大地の香りを漂わせながら、リレスは静かにマイの前へ歩み出る。地面に触れるたび、わずかに土の匂いと振動が伝わる。


「私は、星の大精霊フィリア」


星空のような青と銀のドレスに身を包み、フィリアはスイレンの前に立つ。微かな光を放つ瞳に、見る者の呼吸まで止まるような威厳が宿っていた。


訓練場に立つ全員が、息を呑む。

「……大精霊?」

思わず口をついて出る声が、空気を震わせる。二柱の精霊の気配は、風のように柔らかく、しかし大地を揺るがす力を秘めていた。


「私たちと契約して」


二人の女性は同時に声を上げる。その響きは心に直接届くようで、胸の奥がざわめいた。


「え?なぜ私と?」


マイは目を見開き、戸惑いを隠せない。


リレスは穏やかに微笑み、首を傾げる。

「あなたの、守りたいという意思に惚れたのよ。本来なら、大精霊がこんな簡単に契約してはいけないのだけれど……どうしても、見ていたくなった」


その言葉に、マイの胸は熱く締め付けられた。守りたい――その強い思いが、精霊を動かしたのだ。


リレスはスミレの方へ視線を向け、瞳を輝かせた。

「私も、契約者が欲しかったのよ」


マイの背筋に戦慄が走る。強く、清らかで、まっすぐな意思を持った存在が、自分に力を預けたいと言っている。


マイは小さく息を吐き、心の中で自問する。

—私は王女。でも持てるものは限られている。王のように、土地や城を渡すこともできない。私にできることは……何だろう?—


その隙間に、フィリアの声がスイレンに降り注ぐ。

「それで?私と契約してくれる?」


スイレンは少し首を傾げ、考え込む。沈むように落ち着いた声が、訓練場の空気を和らげる。


「……私の声を。私が死んでしまったとき、この声をあなたに捧げます」


その言葉に、リレスとフィリアは思わず息を飲む。声だけでなく、彼女の意志そのものが光となり、精霊に届いた瞬間だった。


「今すぐくれないの?」


リレスの瞳がキラリと光る。好奇心と期待が混ざったまばゆい光だ。


スイレンは微笑み、迷いなく答える。

「だって、今すぐ渡したら姉さんと話せなくなるでしょう?」


その潔さに、精霊たちは思わず笑った。


「面白いわね……その声は取らないでおくわ。その代わり、一生そばにいてもらう」


リレスはその言葉を隣で聞き、マイに元気よく告げた。

「私とも、その契約内容でいい?」


「いいのですか?対等には...」


「いいのよ。これよりもおかしな契約をした人もいるしね」


両者が声を揃える。

「我、大地の大精霊リレスは、汝との契約を望む。汝に我の力を与え、共に戦おう」

「我、星の大精霊フィリアは、汝との契約を願う。我は汝と命尽きるその日まで共にいることを誓おう」


マイとスイレンは息を合わせて答える。

「リレス……よろしくお願いします」

「フィリア……私と共に」


契約の瞬間、訓練場全体に光が満ちた。風が巻き、木々が揺れる。空気は温かく、柔らかく、そして力強かった。


立ち会った者たちは、皆、目を丸くして息を呑む。

「……あれは……奇跡の契約だ」


スミレは小さく口を開く。

「……二人とも、すごい……本当に、奇跡みたい」


マイは拳を小さく握りしめ、スイレンはそっと隣で肩を落とす。

新しい力と、これからの戦いへの希望が、一気に世界に広がった瞬間だった。

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