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最終話 裂け目の先で

勝負が終わった。 もう誰も騒がない。 ただ、どこか遠くでコインが一枚だけ、静かに転がる音がした。 それすらもすぐに消えた。


私は台の奥で目を閉じる。 どこかから、白い光が差し込む。 それは、私の中に静かに広がり、何も言葉にできない感覚を包み込んだ。


今日も地獄の夜が終わる。

すべての音が遠ざかる。

何も聞こえない。

時間が止まったようだった。

それでも、どこかで新しい朝が静かに始まる気配を感じていた。



誰かが私を呼ぶ声がした気がした。 でも、それも夢だったのかもしれない。 ただ白い光だけが、静かに私の中に満ちていった。

私は台の奥で、静かに目を閉じる。

すべての音が、遠ざかる。

何も聞こえない。


しばらくして、 白い光だけが、静かに私を包んでいた。

(誰かのぬくもりを思い出す。でも、それもすぐ消えた。)

今日も地獄の夜が終わる。 救われる者はいない――

それでも、私はまた"回される"。

もし、誰かが――私に新しい可能性をくれたなら、 今度こそみゆきと向き合える気がする。


美津子のリールが静かに回転し、最初に停止した。 アビスプロデューサー。 一瞬、冷たい笑みを浮かべるが、その背後に過去の重圧を感じて、深い溜息が漏れる。


次に回るリール。 エンジニア。 彼の顔が浮かび、後悔と罪の意識が一瞬、リールの中で交錯した。


最後に回転が止まり、出目は美津子とシャットダウン。


美津子は深く息を吸い、目を閉じた。 リールの前で立ち尽くす彼女の胸に、様々な記憶が蘇る。

みゆきの小さな手。 初めて「おかあさん」と呼んでくれた日から画面で見た永眠する姿まで。

「ごめんね、みゆき」


美津子の頬に、静かに涙が流れた。 あの時、もっと側にいてあげればよかった。 もっと話を聞いてあげればよかった。 もっと、もっと愛していることを伝えればよかった。

すべての後悔が、今、この瞬間に集約される。


美津子の目には一瞬の迷いが浮かぶが、最終的にその目は決意に満ちたものへと変わる。


「シャットダウンを選択する」


その言葉には、過去の全てが詰まっている。 娘への愛、母としての誇り、そして許されなかった時間への哀しみ。

でも同時に、みゆきが天寿を全うし、孫たちも元気に育っていることへの安堵もあった。


「みゆき、あなたは立派に生きたのね」


美津子は微笑んだ。それは、長い間封印されていた母の顔だった。 過去の束縛から解き放たれ、新しい世界へ向かえる気がした。過去の私が背負ってきたものを放り投げるように、今、私は未来へ向かって歩き出す。


美津子たちの周りに漂っていた白い光が、次第に形を変えていく。 それは透明な翼のような光となり、三人を包み込むように舞い上がった。

光の中で、美津子はみゆきの姿を見た気がした。 大人になった娘が、優しく微笑んでいる。 「おかあさん、ありがとう」という声が、風のように聞こえた。


天使のような光が、三人を静かに包み込む。 それは裁きの光ではなく、赦しの光だった。 解放の光だった。

光の粒子がスロットのリールの形になり、静かに回転する。 出目はバディ3人の絵柄と天国の文字。


アビスプロデューサーの声が、ふと静けさを破る。 「おいおい! 3人共天国行きか?」


でも、それは誰の答えにもならなかった。


この先に待っているのは、確かな希望か、それとも永遠に続く地獄か。


でも、今はそれを選べる自分でいたい。


ただ一つ確かなのは、三人が最後に選んだものが、愛だったということ。 過去と向き合い、許し合い、そして新しい希望を見つけたということ。


白い光の中で、すべてが静寂に包まれる。

そして、どこか遠くで、新しい朝が始まるのを感じた。それは、私たちが選んだ希望の光だった。


(裂け目の先で待つものが天国であれ地獄であれ、人は愛によって救われる。その真実だけが、永遠に輝き続ける。)


本作は、執筆にあたりChatGPT・ClaudeなどAIツールも活用しつつ、

「人間の毒」と「AIの冷静さ」のせめぎ合いを楽しみながら書き上げました。


もし本作に“人間らしさ”と“どこか機械的な皮肉”が感じられたなら、

それはAIとの“共犯関係”の証かもしれません――


いま、AIと人間が物語をどう作り出すのか、ひとつの試みとして受け取ってもらえたら幸いです。

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