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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

気づいちゃった秘密

作者: さんさい





ゴトゴトと揺られながら俺はいつもと反対方向の列車に乗っていた。前に待ち合わせスタイルでデートしたらまんまとハマり、時々こうして待ち合わせしてデートするようになった。今日は、翔がおすすめされたというカフェに行く。どうやらコーヒーとプリンが人気らしい。コーヒー好きの俺からしたらワクワクでしかない。

さらに10分ほど揺られ、目的地に着いた。普段利用しない駅だから勝手が分からないが、今時はスマホのアプリを使えばどの入り口から出ればいいかもわかる。本当に便利になったものだ。翔とはお店集合であったため、急足で向かう。実は、服選びに迷いに迷った結果電車を1本乗り過ごしたのだ。翔には連絡を入れてあるが、待たせるのは気が引ける。お店に着くと翔がお店の入り口のそばで待っていた。






「翔、ごめん。待たせた」






「蓮、おはよう。全然大丈夫だよ。

お店まだ混んでなさそうだから行こう」






カフェに入ると思ったより広かったが、席は8割方埋まっていた。やはり人気なんだな。snsの拡散力というのは凄まじい。





______





「混んでくる前に入れてよかった〜」





「こないだテレビでやってからさらに最近人気になってきているからね〜。入れないかと思った」






「何にする・・・ってあれ本田じゃない?」






「ほんとだ。向かいの人誰だろう、友達かな?」






「それにしても「かっこよくない?」ちょっと私のセリフ取らないでよ」






「ごめん、ごめん。

本田くんもかっこいい部類だけど、別のかっこよさがあるというか、なんか可愛いというか」






「ほんとほんと。かっこいい人の友達ってほんとにかっこいいんだねえ」






私たちはあそこにいる本田翔と同じ会社に勤めている。本田とは同期だ。

まさかプライベートが謎の本田と遭遇するとは。今度会った時に話題に出そうっと。

本田は普段あまりプライベートのことを話さない。秘密主義のとっつきにくい人というわけではなく、むしろ誰とでも分け隔てなく接する明るいやつだが、人の話を引き出して聞いていることの方が多いため本田の話は片手数えるくらいしか聞いたことがない。付き合っている人がいるらしいが写真は頑なに見せてくれないため本当にいるのか怪しいところだ。だか、先日の距離をおこう作戦の一件で、本当にいるのかもと思い始めた。あの溺愛ぶりは嘘とは思いたくない。






「まさか本田くんに会うとは、こういうところに友達と来るタイプなんだね」






「確かに意外かも。

1人では来てそうだけど」






「そうそう!snsでよく見るカフェで勉強とかするタイプ」






「まあでも付き合っている人がいるらしいからその人の趣味っていう可能性もあるわね」






「それ私も聞いたことあるけど本当なのかな。

だって誰も顔を見たことないんだよね?」






「うん、こないだも見せてよって頼んだら、相手が嫌がるからダメって」






「ふーん、そうなんだ。

でも本田くんが嘘つくタイプには見えないからなあ、やっぱりいるのかな〜」






「かもね。そんなことよりどれにする?

やっぱりプリンは捨てがたいよね」






本田のプライベートは気になるが、私たちの本来の目的はカフェでゆっくりすることであり、本田の話もそこそこにして私たちはメニューを見始めた。

結局私はカフェオレとプリン、咲(一緒に来た同期)はチーズケーキと紅茶にした。






「唯、ごめん私トイレ行ってくる」






「はーい」





私は斜め前にいる本田たちを見た。やはり気になるものは気になるのだ。本田たちはお昼兼デザート目的だったらしく、ちょうど今プリンとケーキを食べているところだった。

次の瞬間、本田の手が向かいのイケメンの口元に伸びて、口元に付いていたであろうクリームを取るとそれを舐めた。それを見ていた彼は耳を真っ赤にし焦ったように本田のことを叩いた。

・・・待て待て待て待て。ちょっと今の何!?そんなこと現実に起きるわけ?ドラマでしか見たことないんだけど!?本田って付き合っている人がいるん、じゃ・・・・あ、そういうこと?

彼女じゃないけど付き合っている人がいる、写真は相手が嫌がるから見せられない、なるほどね。こんな時は変に鋭い女の勘が嫌になるわね。おそらく誰にも言いたくないであろう本田の向かいの彼に対して申し訳なく思いながらも、なんだか幸せそうで良かったなと思った。本田あんたいい男じゃない。






「おまたせ〜、ん?なんかいいことでもあった?めっちゃ笑ってるけど」





「え、ああ、このプリン美味しいなあと思って」






「そうなの?私にもちょっとちょうだい」






「どうぞ」





プリンはいくらでもあげるわ、でも、さっきのは内緒。本田のことは私だけが気づいていればいい。だってあんなにも幸せそうな彼らを邪魔するのは良くないもの。




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