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プロローグ ― 神々の記憶 ―
それは、始まりの物語。
遥かなる時の彼方、世界は「神々」と呼ばれる存在によって創られたという。
天は彼らにより掲げられ、大地はその足元に敷かれ、海はただそのため息によって生まれた。
人は神の似姿として創られ、喜びも悲しみも、戦いすらも神に奉げる“生ける供物”に過ぎなかった。
幾千年――
人は祈り、服従し、そして疑問を抱いた。
なぜ神は、慈しみではなく、恐怖で我らを縛るのか。
なぜ神は、望まずとも命を与え、問答無用で奪い去るのか。
そして、ある時、世界の深淵より声が響いた。
「お前たちの“創造主”は、果たして本当に正義か?」
その声に応じた者たちがいた。
異界に封じられた魔の者――神に抗いし者の末裔。
天を見下ろす異星の民――神を科学で否定した知性の使徒。
そして、神の名のもとに苦しむ地上の人間たち。
彼らは出会い、共に誓った。
「我らが神を討つ日、世界は真に人のものとなる」
これは、“神殺し協定”と呼ばれる壮大なる叛逆の物語。
人間が神を越えようとした、その最初の一歩である――