不安に不安が重なると超不安
・製錬鋼の大盾
VIT+20
・製錬鋼の一式鎧
VIT+25
・製錬鋼の片手剣
STR+15
「これでどうかなー?」
防御力が高めの装備を購入。うーむ、手痛い出費だ。全部で銀貨15枚。手持ちと先月、今月の料理番のお給料合わせてギリギリだ。うん、帰り道で倒してたスライムの体液が良い値段で売れて助かった…………。貯金もすっからかんだしまた集めに行かないとなー。
とは言えこれで生存力も上がっただろう。後はガッソおじさんに明日調査隊に協力するって言わないとね。勝手に料理番を休むことは許されない。心配させちゃうから。
「ってことで調査に同行するんでちょっと料理番お休みします」
「おう行ってこい、で済むと思ったんか馬鹿野郎!」
駄目でした。
小一時間程説教とアドバイスを頂いたので次に活かしていきたいと思います。あ、今日はちゃんと料理番のお仕事するよ。
はい。朝です。
ギルドに着いた僕は迷わずヒルダさんのところへ。
「来たかい。他の連中ももうすぐ来るよ。後もう一人あんたと同じくゴブリンを見たって子がいたからね、その子にも同行してもらうことになった」
「分かりました。えーっとその子っていうのは?」
「あそこにいる子さ。レオンて名前だ」
ヒルダさんが指差した方に顔を向けると美少年がいました。えぇ、美少年です。見た感じ同い年なんだけどサラサラの金髪に蒼いくりくりおめめの美少年がいたよ。あれは将来イケメンになるね、間違い無い。
良いのかな、近づいて。と思いつつも取り敢えず挨拶する。
「こんにちは、ウォルクっていいます。今日はよろしく」
「え、あ、レオンだ。よろしく」
「あんたらは少し気が合いそうだからね。しばらく雑談してな」
ヒルダさん、なんて無茶を……!?初対面に共通の話題なんてあるわけないよ。
お互い、しばし無言。話題に出来るモノ話題に出来るモノ……。
「そ、そうだ。今日の調査に行く訳だしさ、職業くらい教えあった方が良いよね?」
「!?」
「僕は重戦士なんだよね。君は?」
「……………………狩人」
スッゴい間があったけど職業を聞いて納得した。
職業・狩人。この天職もハズレ職業って言われる職業だ。この職業がハズレと言われる理由は初期のステータスが高い代わりに上位職業が存在しないから。
うーん、初手でしっかり地雷を踏んだ気がする。
「…………君は」
「え?」
「君は、気にしないの?職業、ハズレって言われるじゃん」
あぁ~、そりゃ重戦士もハズレだからね、よく平然と言えたなとはなるか。って言ってもな~。
「気にしたってしょうがなくない?それより自分の成長の方向性を考える方に意識向いてたし」
「しょ、しょうがない……」
いや、だってそうじゃない。自分の天職はもう替えようがないんだしその中でどうやりくりするかが大事じゃない?まぁありがたいことにスキル自体は良いのがあったし。ユニークスキルは発動しなかったけどね……気にしてないからね……!
現在僕は防御力重視の高耐久ビルドを目指し中。まだステータス全然振ってないけど。
レオンが迷いつつまた口を開こうとしたとき、
「よぅ、お前らか?今回の調査の案内役は!」
「あ、はいそうです」「は、はい」
「よろしくな!うちは『赤き傷』ってパーティだ。後もう一組、『群青の風』が来たらすぐに出発したい。いいか?」
「「大丈夫です」」
二つのパーティの合同調査か。ヒルダさん思ったより今回のこと重要視してるみたいだ。『赤き傷』のメンバーの人達は皆気さくで話しやすかった。割りと話は弾んでたんだけど…………
「アイツらまだ来ねぇ……」
『群青の風』の人達がまだ来てない。そろそろ出発しないと帰りは暗くなりそうだ。
「チッ、悪いがそろそろ出るぞ。待ってたら日が暮れる」
「ふん、何だ。せっかく来てやったというのにその言い草は」
声のした方にはいかにも気障な台詞を吐いてそうな男がいた。何でだろ、見てるだけで不安を抱くよ?