プロローグ
初の連載です!
「ははっ!お前の職業『重戦士』かよ!お似合いだな!」
たった今僕が授かった天職について目の前でバカ騒ぎするヤツが何が楽しいのかケラケラ笑っている。
余りに大きな声だったので視線を集めてしまった。あー、君のせいで周りの人達にも僕の天職バレちゃったじゃんか、しかもしっかり憐れな者を見るかのような視線をこっちに送ってきてるなぁ。そこまでかなぁ?
今日は大事な天職を授かる日。この世界に生まれて10年たった子ども達へ、神からの人々への贈り物が送られる日。英雄になることを夢見る子だったり、親の役に立つような職業を望む子だったり。それでも誰がどんな天職を授かるか、その日にならなければ分からない。そしてこれを得ることで子どもは初めて親に守られる存在ではなく、一人で立つ者としてのスタートを切れる………………と言われているのだけど。世の中には色々な職業が存在し、当たりと言われるものが有るならば当然外れと呼ばれるものも存在するわけで。
そんな外れ職業がまさか当たってしまうとは。
チラリと自分の前に浮かぶ半透明のステータス表を見る。
どうやら僕は、周囲の者達から見て、余り喜ばしくないスタートを切ってしまったらしい。
◆◆◆
名前・ウォルク レベル1
種族・雑人種
職業・重戦士
HP(体力)200/200
MP(魔力)30/30
STM65/65
STR(筋力)22
INT(魔法力)10
VIT(耐久力)30
AGI(俊敏)8
DEX(器用)15
MEN(耐性)25
アクティブスキル 剣術【重撃】 盾術【肩代わり】
パッシブスキル 防御力強化 家事上手【支援料理】 オートヒーリング 効果時間延長
ユニークスキル 虚栄の主
◆◆◆
「俺なんて『格闘家』だぜ!お前なんかよりずっと強えぇ!持ってるスキルだって強いしなぁ!」
うん、うるさい。やかましい。
「はいはいそうですねーすごいすごいさすがですー」
「ハァ!?お前舐めてんのか!?お前なんかけちょんけちょんにしてやれるんだぜ!何なら今からでも───」
こんな奴は放っておいて急いで家に帰らなくちゃ。そろそろお昼時。冒険者達が腹を空かせてやって来るんだ。それまでに仕込んでおいた肉の調理を始めておかないと。
未だに叫び散らす大声を背に、僕は急いで家へと帰った。さらばだ、今更だけど君は人をバカにする前に自分の名前くらいは言った方が良いと思うよ。ずっと誰だコイツって思ってたから。