僕とレイ
僕は、予備校に通う大学生、帰り道を歩いている途中で、一人の女性に、目が止まった。彼女は茶髪に、白のシャツに、赤いスカーフを纏い、黒の革靴を履いていた。彼女は振り返って視線を僕に向けると、数秒止めて、髪を靡かせて前を向き、歩いていった。そんな彼女に僕は心を奪われてしまった。僕は彼女のことが、気になり、頭から離れなかったが、彼女のいた方向に目を向けると、人影一つなかったので、諦めて、家に帰ることにした。
あくる日、僕は大学に行き、大学で講義を受けていると、隣に、女子大生が座ってきた。僕は、いつも一人で講義を受けているため、非常に驚いたのだが、その姿と顔に見覚えがあった。彼女は、昨日の女性に、間違いなかったのだ。すると突然、彼女は僕に声をかけてきた。
「私の事、覚えてる?」
「えっと、あっ、その」
僕は、咄嗟の声掛けに、答えられなかった。僕はコミュ障なのかもしれない。そう考えていると、彼女の口が動いた。
「覚えてるわけないよね。ごめんね。変な事聞いちゃって。」
今度こそは答えたい。そう考えている内に刻々と時間だけが過ぎてゆく、僕は意を決して彼女に話しかけた。
「お、お、覚えてるよ。き、き、君が覚えている事にも僕は驚いたよ。僕影薄いのに。」
慣れない女の子との会話に、思わずどもってしまった。彼女は僕の事を覚えているのか。あの一刹那に、覚えているということは、まさか僕に気があるのか。いや、まさかそんな訳ないよな。だが、彼女は美人だ。好意があるとするのならば、非常に由々しくない事態だ。あれ、僕日本語おかしいな。僕もしがないただの大学生、偏差値もそれほど高くない。僕にも春がやってきたのかもしれない。彼女に勉強を教えてもらうという口実で、友達になれたりしないだろうか。深く考え込んでいると、彼女が僕に目を向けた。
「私、あなたと友達になりたいんだけど、いい?」
え?噓でしょ。この子絶対好意あるよね。喜んで。と言いたいところだけど、ここは控えめにいかないと引かれちゃうよね。
「い、いいよ。な、名前は?」
「私、レイ。レイっていうの。僕君ってよんでもいい?」
「い、いいけど。」
僕の名前までは興味ないのか。これは、ただの友達止まりなのか。レイか。某アニメを彷彿とさせるけど、それは、まあいいとして、ちょっと待てよ何かがおかしい。彼女昨日と全く同じ格好をしている。どいうことなんだ。女性はおしゃれが好きだが、この服しか持ってないのか。変わった子なのかな。と、考えている内に、講義が終わった。
「わたし、講義終わったから帰るね。またね。」
「ま、またね。」
僕は、作り笑顔をしながら、挨拶した。今日は講義の予定もないことだし、今日は寄り道せずに帰るとするかな。帰ったら何しようかな。怪談でも聞こうかな。僕は、大学を後にした。
もうすぐ、家に着きそうだ。僕は古びたアパートに住んでいる。事故物件だが、家賃が安いので気に入っている。特に目立った心霊現象もないので、オカルト好きの僕からしたら、少々不服だ。そんなことを考えている内に、アパートの前まで辿り着くと、そこには、見覚えのある女性が立っていた。
「あ、僕君だよね。こんなところでなにしてるの?」
「え、レイちゃんだよね。僕は、家に帰ってきたんだけど、レイちゃんこそ何してるの?」
よし。よし。よし。レイちゃんともしかして、家が同じなのか。嬉しすぎるだろ。レイちゃんは一体何しているんだろうか。
「私、家に帰ってきたの、でも鍵開いてなくて、今晩泊めてくれない?」
え?ええええええええええええええええええ?いきなり、そっちですか。レイちゃん。僕、心の準備がまだとは、言えないしな。ここは、可哀想だし快く引き受けるか。
「いいけど。僕の家でいいの?ホテルとかじゃなくていいの?」
「私、お金今なくて。ダメ?」
え?ちょっと待て、これも口実なのか?そんなに僕が好きなのか。これは、断る理由がないだろう。
「いいよ。僕の家でよければ。ご飯どうする?何か頼もうか?」
「大丈夫。私お腹空いてないから。」
「そっか。ならいいけど。僕はコンビニで買ってくるよ。これ鍵。ゆっくりしててね。」
「ありがとう。」
レイちゃんはそう感謝すると、足早に僕の部屋へと向かっていった。ん?あれ、僕部屋教えたっけ、まあいいか。鍵に書いてあったけ。まあ、いいか。僕はコンビニに向かった。
「ただいま。レイちゃん何してるの?」
「私、これ読んでたの?」
レイちゃんはどうやら、僕の好きな怪談を読んでいたらしい。怖くないのかな。僕は好きだけど。でも読んでるってことは興味あるってことだよね。よし、聞いてみるか。
「レイちゃんこういうの興味あるの?」
「えっと、僕君は好きなの?」
「好きだよ。」
ああああああああああああ。しまった。迂闊にも好きと言ってしまった。変人て思われないかな。人生で初めて、好きと言ったかもしれない。でも、聞いてきたよね、勘違いされないといいな。
「あたしも、好きなんだけど、僕君は何買ってきたの?」
マジかよ。両想いじゃんかよ。嬉しすぎだろ。また、質問された。嬉しいな。
「えっと、カレーだけど。」
「カ、レイ?あっカレーね。カレー好きなの?僕君」
あ、偶然だけど名前呼んだって思われたのかな。ここは意を決して言うべきか。言ってしまおう。
「大好きなんだよね。」
「・・・」
あれ、引かれたのかな?前言撤回するか。だが、事実だしな。まあいいか。
「私、食べさせたいんだけど、いい?」
えっっっっっっ?どういうこと?口移し?まさか、そんなわけないしな。断っておくか。
「いや、悪いよ。自分で食べれるよ。何言ってるの?」
「そういうことしたくない?」
え、やっぱり春訪れちゃった感じか。幸せ過ぎるんだけど。言わずもがな。僕は、レイちゃんの隣に座り、カレーを取り出し、スプーンを渡した。レイちゃんはおもむろに、スプーンを手に取ると、カレーをすくい、僕の口の前まで運んだ。
「ふーふー。はい。あーん。」
嘘だろ。年齢イコール彼女いない歴の僕があーんされちゃってるんだけど、嬉しすぎるだろ。
「あむ。おいひい。はりがと。」
「僕君の幸せが、私の幸せだから。」
「え、うん。」
良い人すぎるだろ。名言かよ。そうこうしているうちに、僕は食事を食べ終えた。一人で食べる時より、格段に美味しかった。
「僕君、お風呂どうする?入る?」
え?神様仏様、いいんですか?お風呂入っていいんですか?これ、そういうことだよね。一緒にってことだよね?本当にいいの?あざます!!!!
「レイちゃんはどうする?入る?」
「ごめんね、私は、背中流すだけでもいい?」
お、おおおおおお。そうきましたか。でも、ごちそうさまです。これぞ、僕の本願。僕達はバスルームへと向かった。
僕らは、お風呂を入り終えると、欠伸が出てきた。時間が気になったので、時計を見てみると、時刻は0時を指していた。0時か、夜も更けてきたな。だけど、どうしようか。寝床、いや、ベッドが生憎一つしかない。と、考えていると、レイちゃんが喋った。
「僕君、今0時キッカリだね。」
「ん?霊璽?あ、ああ0時か。そうだね。」
「ふわぁぁ。レイちゃん眠くない?」
「私も眠たい。」
僕は困窮した。レイちゃんに、床で寝かせる訳にはいかないので、ベッドで寝てもらおうと、企てた。
「レイちゃんベッドで、寝ていいからね。さっきはありがとう。」
「うん。その、一緒に寝ない?」
「え?本気で言ってる?」
え、えええええええええええええええええ。これ、童〇卒業できるの?レイちゃん、マジ天使なんだけどぉぉぉぉぉぉぉ。
「もちろん。」
僕らは、ベッドに入った。気のせいか、いつもより、生暖かい。少しばかり、ひんやりともしていたが、これはこれで、心地よかった。僕は、鼓動が物凄く速くなり、とても緊張していたが、レイちゃんはなぜか無表情だった。え?そういう気は一切ないのこの子は?どいういうことだよ。期待しすぎたのかな?僕が物思いに耽っていると、レイちゃんが、話しかけてきた。
「僕君、おやすみ。あ、ちょっと待って、私、れ、れ、えっと、なんでもない。」
え?レイちゃんもう寝るの?話したかったな。れってなんだろう。え、もしかしてレズなのか。ま、まさかな。脈ありだと思ったんだけど。僕の見当違いかな。僕も眠いし、眠るか。
「レイちゃん。おやすみ。」
僕らは、床についた。深い眠りに誘われた。
僕が目を覚ますと、レイちゃんの姿が見当たらない。どこにいったんだろうか。部屋中探し回ったが、どこにもいない。
「レイちゃん。いる?」
誰もいないはずなのに、(いないよ。)と声が聴こえた気がした。気のせいなのだろうか。もしくは、幻聴か。この声どこかで・・・・・・あれ、思い出せない。誰の声だ。レイちゃん。外に行ったのかな。玄関をふと見て鍵を確認したが、鍵は開いていなかった。だが、家の鍵はそのままだ。
おかしい。消えた。あり得ない。
僕は理解できなかったが、今日も大学だったので、大学へと向かった。大学へ向かう途中で、茶髪に、赤いスカーフ、白のシャツを着た女性を見かけた。僕は思わず声を発した。
「あれ、レイちゃん?」
返答はなかった。全くの別人だった。昨日のあれは、何だったのだろう。僕は夢でも見ていたのだろうか。いや、違う。彼女、僕に最初何ていってたっけ。えっと、確か(私、レイ、レイっていうの。)レイ、れい、霊・・・・僕の足りないお頭で、一つの答えを導き出した。
「レイちゃんは、人じゃなくて、霊だったのか。」
~~~~END~~~~
名前がレイなのは、レイ=0なので存在しないつまり霊ということです。
小説Anotherや映画シックスセンスのオマージュを含んでいます。ご容赦ください。