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異世界乙女に呼ばれたけれど俺にチート能力をくれ  作者: たけのこーた
プロローグ:荒地の魔女
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第四話:毛髪カタストロフ

「つまり俺が砂漠のど真ん中で寝ててそれをお前らが拾ったと」

「おう、あんなところで寝てたら起きるころにはミイラになってただろうからな」

「はは、間違いない……そりゃどうも」


世紀末的な外見に騙されそうになっていたがなかなか話が通じる奴らだった。

どうやら別に無法者というわけでなく単にファッションセンスが凄まじいだけらしい。


「ほらよシャボテンだ。それで擦って油を落とせ」


サボテンを輪切りにしたようなものが配られる。

スポンジのようになっており軽く握るともりもり泡が溢れ出てきた。

都合のいい植物があるものだと一人で俺は感心する。


「……この辺は油を分解して吸収する植物が多いの、デザボーグにとっては毒にもなるし」

「そうなのか……俺何も言ってないけど!?」

「不思議そうな顔をしてたから」


先生と呼ばれていた彼女は、腰からボトルを取り出すと水を口に含む。

ブロンドの長い髪が夕焼けに照らされオレンジ色に輝いていた。

この世紀末集団の中で彼女だけ浮いてるように思える。


「それにしてもまさかB級モンスターを倒すだなんてありえない……国家勲章ものよ?」

「ぶわははは!それが先生!俺も必死だったもんで何が何だかよく覚えてなくてよ!アレをもう一回やれと言われたら無理だな」

「ふぅん?――まあ貴方がそれならそれでいいけれど」

「気になったんだけどさ、あんたはこいつらとどういう関係なんだ?」

「ウェイス。学者をやっているわ。彼ら銀獅子団に私が話を持ち掛けたのよ――あなたは?」

「……ヤマト。とでも呼んでくれ」

「変わった名前ね」

「まあそうなるよな……」


異世界に馴染む名前がこの世にいくつあるのだろうか。


「俺ぁ好きだぜその名前!おっと紹介が遅れたな、俺ぁアニジャンキ―スだ!」

「アニキって名前だったの!?」

「ぶわははは!慣れた反応だ!ほらお前らも紹介せんか!」


アニキは大笑いしながら二人のスキンヘッドの肩を叩く。

それにしても上機嫌だ、先程までの事を考えたら無理もないだろう。


「チチンプだ、アニキと一緒にデザボーグの狩猟を専門に行っている」

「ピララクだ、蛇狩りの銀獅子と呼ばれるアニキを知らねぇのか?」

「アー、噂だけ、聞いたことアリマスネ?」


とりあえず話を合わせようとしたらロシア人みたいになった。


「とりあえず……アニキでいいや。」


目の前にある動かなくなった巨大な塊を指さして尋ねる。


「国家勲章ものとか言ってたけどこいつどのくらいヤバいやつなんだ?」

「ヤバいなんてレベルじゃねーよ!」


こいつはピララクだっけチチンプだっけ、どっちも同じような頭してるから分かんねぇ。


「B級モンスターだぞ!?狩れる人間は生きる伝説!食っていくのに一生困らねぇよ!」

「ああーさっきも言ってたなそんな感じね……C級とかB級とかあるのか。」

「いやチチン。いきなり目の前で伝説が誕生したんだ。実感がわかないのも無理はない。

 C級の通常種とでも戦ったことあるやつなら変異種とのレベルの違いも分かるんだけどな」


こいつがチチンプってことはあれか、今話してるのはピララクか。


「ということはことはCよりBのほうが強いのか」

「……正確には少し違うわ」


いつのまにか背後に来ていたウェイスはぴたりと俺にくっつくとボロボロになっている右手をぐいとつ掴む。


「いでででで!?ウェイスさんだっけ!?右手を突然掴まないで欲しいんだけど」

「酷い傷ね。包帯巻くからじっとしてて……

 C級はCatastrophe(災害)級の略。人類にとって災害となりうるレベルのモンスターはここに定義されます。

 B級はBarbarian(未開)級の略。人類による討伐例がなく討伐そのものの価値が高いモンスターはここに定義されます。」


彼女は学者のようだしその辺は詳しいのだろう。口調に違和感を覚えるが恐らくどこかの受け売りなのだろう。

周囲のモヒカン達から歓声が上がる。


「流石は先生だ!そんなの俺たちも知らなかったぜ!」

「そういう意味だったのか!てっきりCBA順ですげーのかと」

「お前ら銀獅子団とやらは専門家だろ!?知っとけよ!」

「……まあ大体あってる。最近はそう思う人が多いし……さてと包帯巻けたし調査してくるよ。ごめんね」

「……?おう、いや気にするな!ありがと!」


討伐例がないモンスターの死体が目の前にあるんだ、学者であるウェイスとしては宝の山に見えている事だろう。

いかんいかん、ぼんやりしてる場合じゃない。

化け物みたいなモンスターがわんさかいることとそれを狩るのを生業にしてる奴がいる事は分かったが

こんなことしていたら命がいくつあっても足りない。

一刻も早くこの世界について情報を集めないと――――

と、そう思った矢先だった。


「おいヤマト!おめぇ何をしてる!」

「え、何って……シャボテンで頭を洗ってるんだけど」

「いや、お前がそうなりたいなら、俺は別にいいんだけどよ……」


アニキは少し言いづらそうに口ごもる。

それはこれまでに見せたことのない何とも言えない表情だった。


「それ、頭につけると禿げるぞ」

「いやあああああああああああああああああああああああああああああああああ!」


俺は発狂した。


「何してるのお前!?」

「落ち着けヤマト!大蛇の血を頭に塗っても禿げるだけだ!」

「水うううううう!水をくれええええええええ!」

「やれるかアホ!」

「……何やってんだか」


一刻も早くこの世界について情報を集めないと。


場所:ノドカラ砂漠

A級モンスター:荒地の魔女      120000000G(生死問わず)

B級モンスター:デザボーグ(変異種)    50000000G(完品のみ)

C級モンスター:デザボーグ(成体)     1500000G(完品のみ)

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