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異世界乙女に呼ばれたけれど俺にチート能力をくれ  作者: たけのこーた
第一章:終焉の魔女
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第十九話:淡い七色の光の中で

草原に吹くさわやかな風をラピュセル越しに感じながら、バイクは進んでいく。


「なんか、この辺の岩って白いんだな」

「ええ、このあたりは石灰が多いので」

「ああ、チョークとかの原料になるやつか」

「はい、よくご存じですね」

「グラウンドで白線びゃーっと引く奴の材料でもあるよな」

「すいません。それはちょっと何言ってるかよくわからないです」

「はは、流石にそれはこの世界にないかぁ」

「あなたの世界でラインパウダーの材料が消石灰だったのは昔の話よ、今は違うわ」

「オメーは何で俺より詳しいんだよ!」

「着いたわよ、グレイタウン」


バイクは穏やかに停車する。

夕暮れの草原の上、切り立った崖の上に俺たちはいる。

眼下には薄闇の中、虹色の景色が広がっていた。


「これは……すごい綺麗だな」

「そう言うと思ったわ」

「発光性の陸珊瑚の群生地ですね……噂には聞いてましたがこれほどとは」

「さ、ウェイス。手を」

「ふふ、ありがとシャル」


シャルデンテはウェイスの手を取りゆっくりと降下していく。

浮遊魔法みたいなものだろうか、色とりどりの陸珊瑚も併せて幻想的な光景だ。

一方ラピュセルは俺をお姫様抱っこすると崖へと近づいていく。


「よっこらせ」

「あの、ラピュセルさん?ちょっと待ひぎゃあああああああああああああああああ!?」


そのまま彼女は俺ごと崖下へと飛び込んだ。


「むがっ!?む!む――――!」


彼女の指が口の中へと入ってきた直後、凄まじい衝撃が全身を襲う。

吐き気やら浮遊感やら衝撃やらで脳が滅茶苦茶になる。


「平気かしら?」

「おぇっ!ゲホッゲホッ!何しやがる!?」

「舌、噛みそうになってたから」


よく見ると彼女の右手人差し指の先にうっすらと血がにじんでいる。


「ご、ごめん!その指大丈夫か!?」

「むしろこの程度で済んでることに驚くところだと思うけれど」

「そんなわけないだろ!」

「……ふ、それもそうね。大丈夫よ」


彼女は軽く右手をグーパーして見せる。


「人間にとってダニに噛まれたのと変わらないわよ」

「嫌な例えだなそれは!」

「それじゃバイク取ってくるわね」


ラピュセルは跳躍すると再び崖の上へと消えてゆく。


「シャルデンテ、お前は何を笑ってんだよ」

「ふふ、いえいえ。何でもないわ……ふふふっ!」

「ワライダケでも食ったのか?」

「ふふ、ぶちのめすわよ?」

「すんませんした!」


暴食の魔女と呼ばれた時の事と言い彼女を大食いキャラにするのはだめらしい。

ヤマト覚えた。


「それにしても、凄い光景だな」


近くで見ると改めて圧倒される。

桃赤黄緑青紫、縦横無尽にある珊瑚の固まりごとに別の色を放ち淡く輝いていた。

それは幼い時に見たクリスマスの街並みのように幻想的で、

オーロラの中を歩いているかのように美しい光景だった。


「ただいま」

「おかえり……ってラピュセル。バイクはどうしたんだ?」

「これよ」


ラピュセルはトントンと、持っている日傘を叩く。

本当に何でもアリだな、魔女ってのは。


「グレイタウンってのは近いのか?」

「あそこの光ってないところがあるでしょう?」

「この陸珊瑚とやらをよじ登らないといけないのか」

「それだと擦りむくし、あまり健康に良くないわよ、毒みたいなものだから」

「毒なの!?」

「さ。……お手」

「ポチか俺は」


そのままラピュセルと手をつなぐ。

ラピュセルは俺に気遣うようにゆっくりと跳躍し、着地していく。

光に包まれながら、色とりどりの珊瑚の上を飛び移っていく。

幼い頃こうやって手を引かれながら祭囃子の中を駆けぬけていた気がする。


「……何で泣いてるのかしら」

「こうしたほうが、よく光が見えるもんでな」

「あらそう」


そのまま俺とラピュセルは光をかき分けて進んでいく。

ふと、こんな時間がいつまでも続けばいいと、そう思った。


場所:龍鳴峡谷

S級モンスター:開闢の魔女(特記)     討伐を試みたものは死刑とする

A級モンスター:覇翼のグラニュート         250000000G

B級モンスター:該当なし

C級モンスター:ワイバーン(10体につき)       1000000G

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