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異世界乙女に呼ばれたけれど俺にチート能力をくれ  作者: たけのこーた
第一章:終焉の魔女
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第十二話:魔女は思ったよりも俗っぽく見えて

とりあえず突き当りじゃないほうに進めば何か見えてくるだろう。

そう思いながら無駄に広い廊下を歩いていくと広い部屋に出た。

その床をメイドさんが箒で掃いている。

ラピュセルの城だし俺がとやかく言うのも筋違いではあるが……

いやあ……家にメイドさんが何人もいるというのは、なんだろう。


「あ、ご主人様。おはようございます」

「最高かぁ!?」

「ええ!?」

しまった本音が出てしまった。

「あ、ごめんごめん。朝食ができてるんだろ?それに感動しちゃってさ」

「はて……?ご主人様は元々貴族の生まれだと伺っておりますが、朝食などは召し上がらなかったのですか?」

「朝食は食べる派だけど。え、貴族?」

「あなた様は運動神経もよく何でもできるイケメン万能天才と伺っております」

「はは、やだなぁ。その通りだよ」


何か過剰に設定が盛られていないか?

いやそんなことはないか。なにせこれ程の規模の城だ。

それくらい設定を盛っておかないとむしろ不自然になってしまうのかもしれない。


「あとひっついている女はカスだから適当におだてておけばいいと」

「いや私情はさみすぎだろ!」


だいぶ嫌がらせ入ってんじゃねーか!

確かに彼女からしてみれば恩人は俺だけということになっていてもおかしくはない。

むしろ自分を殺しかけたラピュセルは目の敵にしている可能性すらある。

やっぱあの二人を長時間ここに置いておくのはまずい気がする。絶対やばいと今確信した。


「カスじゃねーよクビにするぞ!?」

「はっ!ご主人様の大切な人に!これは失礼いたしました」

「ほかの奴にも伝えとけ、ちゃんと自分の目で見て判断しろってな」

「かしこまりました」

「あ、俺はそのままの評価でいいからね」

「…………」


メイドさんに連れられて俺は食堂へと赴く。

元々そういう指示だったのかすんなり案内してもらえて助かった。

それにしてもどうしたもんか……シャルデンテによる一種の攻撃。

ラピュセルにこの状況が伝わるのだけは避けなければならない。

まあ見かけ上は俺とラピュセルの対応に差が出ることはないだろうけどさ。

食堂の扉を開け中に入る。

俺の皿にはパンとソーセージ、スクランブルエッグが。

ラピュセルの皿にはそれらが食い散らかされた痕跡だけ残っていた。


「馬鹿野郎おおおおおおおお!?」

「え、なに、どうしたの?」

「シャルデンテ何考えてんの!?格付けチェックも真っ青だよ死にたがりなの!?」

「え、な、なにがかしら?」

「ラピュセルの皿を見ろ!」

「それワルプルギスが食べてったのよ、私は何もしてないわ」

「……ああ、なるほど」


俺はぐったりと自分の席に座る。『ヤマト』と書かれたネームプレートが虚しく輝いていた。


「あいつがこの場にいなくて助かったよ……」

「さしずめ、映す価値なしってところね」

「え?この世界格付けチェック放送されてるの?嘘でしょ?」

「てれりれってれー。魔女の七宝『開闢の扉』」


そう言ってシャルデンテは鏡を取り出す。どら〇もんみたいに言うな。


「ラピュセルの宝物庫からパクったわ。これ使うとあらゆる異世界の風景を見れるのよ」

「……ああ、たしかに。そもそも異世界見えないと干渉できないもんな」

「それでテレビを映して見るってわけ」

「いや俗っぽすぎるだろ!?もっと秘宝っぽい使い方しろよ!?」

「毎年大晦日から正月はみんなで集まってテレビを見るわ、それがサバトよ」

「ただの仲良しグループじゃん!?なんで殺しあってんの!?」

「人間風情が魔女と同じ価値観で物事が図れると思わないことね」

「今まさに説得力がなくなってるんだけど」

「ちなみにワルプルギスは格付けチェックのネタバレしまくって出禁になったわ」

「理由がしょうもなさすぎるだろ!?」

「あなたにとっては身近なものだったのでしょうけど。一般人はその存在すら知ることなく死んでいく異世界の娯楽を見るというのはこの世界においてとても高尚なことなのよ?」

「――うん、まあ、それは」

「だっふんだ!」

「高尚であってたまるか」





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