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淡とした空き箱  作者: 羽葉世縋
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死骸を見た

小学生の頃に見た

ある夜、夜を流れ落ちる死骸を見た。



流れ星とは違う。あんなに小さくないし、早くない。

彗星とは違う。もっと近い場所にいた。


流れる程に白い光を散らし飛んでいく。


あの日はあれを生きた星だと思っていた。

よその家が邪魔に思えた。細い電線が太く思えた。

母が呼ぶ声も聞こえないほどに見入っていた。


その不思議を抱えたままに時は過ぎ、ようやくその答えを知る時が来た。

人工衛星が死んだ。


あの時どんな思いで消えていったのだろう。墜落をしたというニュースはなかったから、恐らく地上には戻れなかったのだろう。

大気に触れたときどう思っただろう。普段は優しく撫でてくれる爽やかな風が、凄まじい摩擦と熱で襲ってくるなんて。


独りだったのだろうか。でも見送ってくれた人はいたはずだ。その人は人工衛星の死を知っているのだろうか。少しでも悲しんでくれたなら、少し嬉しい気もした。


誰かの役に立てたんだろうな。そのために宇宙にいたのだろうから。


でも、自分一人しか知らない不思議だ。そもそも人工衛星ですらない何かの死骸だったのかもしれない。


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