江戸、召喚術作る
ある日。
「ぐぅぅ……安堂氏、召喚術教えて。」
「は?なんの?」
「悪魔の召喚術。」
「白馬の召喚術?知らないけど。」
「あ!く!ま!だよ!誰が白馬を召喚するんだよ!」
「白馬の王子様にでもなるのかなって……」
「どんだけ私はメルヘン人間だと思われてるんですか!?」
「悪魔の召喚術聞いてくる奴も大概メルヘンだけどね?」
「そんなことを話しにきたんじゃないんですよ!それで結局知ってるんですか?」
「知るわけないじゃん。」
「そこを何とか!」
「いや、だって本当に知らないし。」
「言っちゃったんですもん、次回は悪魔の召喚術やるって!どうするんですか!?」
「僕が書いてるわけじゃないし、自分で蒔いた種なんだから自分で刈り取りなよ。」
「くっそ!自給自足!」
というわけで安堂氏の助けは受けられず、自分で考えることになりました。
とりあえず、片っ端からオカルティックでスピリチュアルでアルケミックでハンドパワーなものを混ぜてこねくり合わせることにしましょう。
これは理解が深淵るわ。
まず、召喚術には二つのタイプがある。
一つはそのまま悪魔を儀式召喚するものなど。
もう一つは依り代に悪魔や霊を擦りつける降霊術。
で、今回はガチ悪魔様が手加減なしで召喚されちゃったらシャレにならないので、降霊術タイプにします。
さてここからはあくましょうかんまでの流れがとてもこじつけがましいものとなることでしょう。仕方ないね、科学的現代でオリジナル召喚術作ろうとしてんだもん。
まず、今回使用する基盤となる召喚術を選ぶ。オリジナルとはいえズブの素人が魔術を使えるわけではないので、基盤を固めておくといい。有名な召喚術を選ぶことで精神世界の共有が可能性として出てくる。そうすれば、魔術関係なく怪奇現象が起きる可能性が高まる。
今回基盤となる降霊術はひとりかくれんぼ。
都市伝説レベルでも大丈夫か心配だが、手元で出来そうなお得な依り代タイプの召喚方法となっている。
ひとりかくれんぼをもとにするといったが、今回はガチ悪魔様を召喚するということて多人数をオススメしたいが、本目的は異世界転生。みんなと一緒に異世界転生か、ひとりで異世界転生かでその辺は匙加減となるだろう。
それでは、まずひとりかくれんぼの手順をあげよう。手順は踏襲するが別に使うものはいらない。特に塩水なんてものは除霊に使うものだから出番はない。
①名前をつけた人形の綿を抜いて米と爪を入れて、赤い糸で縫う。
②水の入った入れ物に人形を沈め、【最初は(自分の名前)が鬼だから】と3回唱える。
③部屋全ての電気を消して、目を瞑って10秒を数える。
④刃物で人形をさして【次は(人形の名前)が鬼だから】と3回唱える。
とまあいらないところを省くとこんなものだろう。人形に込める米は内臓を象徴しているらしく、また赤い糸は血管を象徴しているらしい。このことから実際に使用すべきは動物だということがわかる。
そして、電気を消して目を瞑ることで完全なる暗闇の世界が作り上げられる。ある意味それは異世界の一端と捉えることもできる。つまり、日常の世界を怪異の世界に更新することを表現する。
刃物を指す行為は今回、いらない手順となるだろう。刃物で生物の象徴を刺すことで、それは逆位置に逆転する。刺すことは殺すことを意味し、刺された人形は殺された被害者を意味する。するとそこには必然的に怨嗟や憎悪のスピリチュアル的なアレが充填される。そうすることでその負のエネルギーを糧に人形が殺人鬼の役を演じる。名前をつけることは一種の存在証明となり、その人形の象徴性を高めるものとなるだろう。
ここまではひとりかくれんぼの考察。
それてばこれをバラバラにして、悪魔が召喚できる降霊術に書き換えていこう。
とりあえず、悪魔の象徴を調べる。タロットカードの番号は15。運命的なことに運命な輪と同じ5の倍数。
正位置だと恨みや憎悪などの意味を持つ悪の象徴の悪魔のカードも逆位置になると覚醒やリセットなど異世界転生向きの意味となる。
改めて考えるとすごい運命だ。ここまでまるで数珠繋ぎできたような運び。私、何かに導かれてるのでしょうか?いや!このまま行けば立也氏にも納得でしてもらえるような悪魔の召喚術を作ることができそうです!
5の倍数は運命の倍数。5といえば五芒星。
あらゆる魔術の基礎と言ったら魔法陣でしょう。
魔法陣を書くことを手順に入れるとして、あとは何だろうか。人形を依り代するのはそのまま引き継ごう、刃物は使わない代わりに悪魔へ捧げる供物を用意するものにするべき、いや刃物を悪や死の象徴として残すか……
というわけで、考えついた結果できたのがこれ。
①呼びたい悪魔の名前をつけた人形の綿を全て抜いて、代わりに動物の死体か心臓を埋め込み赤い糸で縫う。
②テーブルや椅子など地面から離れた台座に五芒星の頂点が自分に向くよう書き、人形を置く。
③電気を消した後、暗い日曜日を流しテレビに砂嵐を流す。そして頭を人形より下げた状態で悪魔の名前を3回呼ぶ。
これでどうだろうか、
だいぶ力作な降霊術だ。
だいぶ力で歪めた降霊術だ。
これを立也氏に提出しよう!
これで!やっと、念願のあくましょうかんだー!
「というわけで!いかがだろうか、立也氏!だいぶ私頑張ったぞ!1日かけて悩んだ末に生み出した大作降霊術でございます!」
「これは中々すげえと思うが、俺に悪魔を召喚しろっていうのか?」
「そうです、そうそう!これで念願の異世界転生が叶いますよ。」
「これお前試したのかよ?」
「……いえ。」
「それじゃあ、俺がこのヤバそうな霊降ろしの実験台1号ってことか?」
「まぁ、そうなりますね。」
「これ悪魔以外でてこないか?テレビからのっそり出てこないか?」
「いえ、それはないと思いますけどチャイルドプレイ的なことは起こるかもしれませんね。」
「死ぬのかよ!」
「もともと異世界転生は死ぬもんですし、霊的な何かに殺されれば異世界転生できるんじゃありませんか?」
「絶対それ呪われた謎の時空間の狭間とかそういう系のあれだよ。俺がしたいのは澄み渡る空と夢広がリングなハイファンタジーな世界なんだよ!どうして、くーるーきっとくるーな展開にならなきゃいけないんだよ!」
「出てくるのは悪魔ですー、幽霊は想定していませんー。ていうか、幽霊が怖いんですか?」
「あ?既に死んでるものは何度殴ったって死なねえだろ?流石の俺もこなになるまで殴るのはちょっときついぜ。」
粉になるまで殴るって何回殴るつもりなんだよ。
「でもいいじゃないですか!せっかく作ったんですよ!?夜なべして!その努力を無下にする気なんですか?!」
「お前の努力はねじ曲がりすぎなんだよ、方向音痴!普通に転生させろ!」
「じゃあ、車に轢かれるしかないですよ!」
「もっとマシなのあるだろ!」
「この浮気者!」
「俺は一体誰とつきあってんだよ!」
「私の転生方法から逃げる気なんですかぁ?ひとりかくれんぼ、立也氏の家でしちゃいますよ?いいんですか?」
「わかったわかった。じゃあ、この降霊術なんかそういう系の小説書くときに使わせてもらうからな。(書くとは言っていない)」
「んー、まぁ、それでいいでしょう。」
「お前さ、普通にラノベ読めよ。そしたら簡単に転生方法わかるだろ?」
「なんか、それは攻略本片手にゲームしてる気分になるので嫌です!私は己の道を行く!」
「我流すぎるんだよなぁ。」
「というわけで、安藤氏にも報告してきますね!」
「いってら。」
「安藤氏!できました!悪魔の召喚!」
「え?落雁の召喚?」
「誰が和菓子ですか!こちとら和洋折衷で、ソロモン都市伝説折衷で、オリジナリティ溢れるあ!く!ま!の召喚です!」
「もはや何それ……」
「まぁまぁ、これ読んでみてくださいよ。これひとりかくれんぼをベースにしてるんですけどどうですか?」
「うわぁ……壮大。これまた投稿するんだよね?読者に引かれない?」
「大丈夫でしょ、いけるいける(無脳)」
「あっそう……ていうか、どうして異世界転生の話が悪魔召喚術の話になってるわけ?」
「……なんでだろう?(無脳 of 無脳)」
「本人もわかってないのか。で、これ成功したの?」
「ハハッ!試すわけがないんだよなぁ……」
「だよね。試してたら流石に引くわ。」
と、こんな感じで悪魔召喚は保留になったのであった。
しかし、江戸の戦いはまだまだ続く。
明日が来る限り!きっと続く。
えー、ガチ考察みたいなのでね、すいません。深夜のノリとテンションで方法は考えました。没になったのもありまして、コトリバコを7つ集めるとかは完全に死者がでそうなので、死者がでそうじゃないものを使わせてもらいました。
でも、実際これを本当に信じてやれば幻想とかくらいなら見えると思いますよ?集団でやると集団ヒステリックを起こしやすい不安要素たっぷりな降霊術でした。
最後に、この降霊術割ときそうじゃね?とかこの降霊術やってみましたとかこの降霊術で悪魔が出ましたとかそういうのがありましたら、評価や感想をつけていただけるとありがたいです。
多分この降霊術また考えると思うんです。その時にこういう風にしたほうがいいよとかありましたら、教えてくださるとありがたいです。
ありがとうございました。