江戸、調べてみる
うむ。納得されなかったようだ。
何がダメだったのかはわからないが、こういう時は調べるが吉。しかし何度も安藤氏を訪れるのは悪いしなぁ。ではまず、どうして自動車事故による転生が多いかを考えてみよう!
「なぜ、自動車なのか?車のどこかにオカルティック的パゥワーが含まれているのだろうか。」
とりあえず、自動車事故や車や車輪に関係する異世界的サムシングを探すことにした。
自動車事故による死者数の減少……って言っても2000人死んでるのに変わりないんだよなぁ。
太陽神ヘリオスのムスコ、パエトン……馬車とか車の名前にされるだなんて名誉なのかぁ?私はなんとも言い難い。
運命の輪、ホイールオブフォーチュン……!
「これだ!」
かたっぱしから車に関係する運命的ななにがしを探していると、タロットカードに行き着いた。運命のカード、正位置に置いて転換点やチャンス到来的な意味を表すカード。番号は10!
「感動のご対面だわぁ、まさに運命まさにチャンスですわ。」
これによって成り立つ論理は車は異世界の魔力的なソレにおいて自動車事故は運命の転換を意味するタロット的なアレだから、異世界転生の多くの発端は自動車にあると見た。
「車ってバックよりも前進するから正位置でしょ(無脳)」
とりあえずこの事実は明日立也氏に教えてあげよう。そんなわけで、他にもないかとサブカル好きの妹に聞いてみよう。
「ねぇ、我が妹。異世界転生ってどんなのがありますの?」
「え、何いきなり?」
「いや、だからね?異世界転生ってどんな感じなのが多いの?やっぱり、車に轢かれてとかなの?」
「んー?じゃない?私の知ってるやつだと、トラクターに轢かれかけて逝ったやつとかあるけど。」
トラクターに轢かれかけて逝くとか意味わからん。
「そうか、それは異世界だな。」
「これが役に立つの?」
「話にならん。」
翌日。立也氏を捕まえると昨日の成果を発表することにした。
「立也氏、私わかってしまいましたよ。何が異世界転生に繋がるか。」
「……ほう。」
「異世界転生はよく自動車事故で起こっていますね?」
「……かもな。」
「そこで私は自動車事故と異世界転生の関係性を調べたのです。」
「……そうか。」
「立也氏はタロットカードをご存知ですか?」
「……三部の話か?」
「そのタロットカードの中に10番の数字を背負ったカードがあります。それこそが運命の輪、車輪!」
「……ふーん。」
「そのタロットカードの意味こそがチャンス到来なんですよ!つまり魔力的なアレになぞらえて考えれば全て合点がいきますね!自動車事故は異世界転生という運命の転換を引き起こすための触媒なのです!」
「そうかそうか……で?」
「……で?とは?」
「それでお前は俺車に轢かれろと言っているのか?」
「立也氏はガチで転生する気なのか?」
「そうに決まってんだろ?それなのに自動車事故は絶対痛いだろ?もっとマシなの用意しろよ。」
異世界転生ガチ勢立也氏かよ。
「えー、でも異世界転生でしょ?必ず死ななきゃダメなんですよ?」
「……じゃあ、異世界転移でもいいよ。」
「前に私、あなたとのやりとりを小説家するって言ったよね?すでに異世界転生って書いちゃったよ!初っ端からタイトルへし折る気なの?!大人しく死んでください!」
「いいじゃないか!第一タイトルなんていくらでも変えられるだろ?!それとも俺が死んだほうがマシかってか!?」
「……死んでくれたほうがありがたいぞなもし〜。」
「お前はぶっ殺す!」
この後ボコボコにされたのは言うまでもなかったのだ。
安堂氏の救いはないのか!?
いやぁ、心の救いは安堂氏だけですわ。
これ本人に見られたら恥ずかしすぎて、逆に冷静になれる。んーまぁ、これからもね安堂氏を頼りに頑張りましょう。
立也氏は……まぁあれだね。
うん、頑張れ。