51/51
気晴らし
ただ、不安で仕方なかった。圭織は黙ったまま、スマートフォンを握り締める。
「圭織、このまま、映画でも観に行く?」
ぽつりと美紀が言った。
「映画?」
顔を上げる。暗くなった車内、浮かぶ美紀の横顔。
「何の?」
「ミステリ。ずっと前に圭織に貸した小説が映画になるって言ったでしょ?」
「うん。でも、美紀、一人で観たいって言ってたよね?」
「言ったけど……気が変わったの。どう? レイトショー。ポップコーンとホットドッグ、ドリンクでも買って時間になるまでゲームセンターで遊ばない? 久しぶりに圭織が好きな……ほら、ゾンビを殺すゲームをしてみたいの」
美紀は言う。
「行く」
「ありがとう、とても楽しみよ」
美紀は誰よりも優しい声を放つ。
ゆっくりいきますー。




