表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
始まるわけにはいかない!  作者: あおと
43/51

ショータイム

 急いで美紀は残りのチュロスを食べ終え、コーヒーを飲む。

 圭織はひたすら、スマートフォンのシャッターを切る。左手には一口も食べていない抹茶のチュロスが握られている。飼育員の軽快な掛け声とともにアシカが真っ白な台に飛び乗り、ポーズを決める。わっと聞こえる観客の声。

「ねぇ、あれ、敬礼?」

 圭織が美紀の肩に触れる。

「ええ、可愛いわね」

 美紀はちらりと圭織のチュロスに手を伸ばし、「終わるまで私が持つわ」と微笑む。

「ありがとう! わっ!? 今度はイルカが飛んだ!」

 圭織は叫び、自由になった手でレンズをステージに向け、何度も写真を撮る。イルカが水面に落ちる瞬間、ステージに近い観客席から悲鳴に似た驚きが聞こえる。水飛沫。遅れて歓声と拍手が聞こえる。イルカが口を開け、飼育員が素早く、魚を口に入れる。

 アジかな? 圭織は推測する。ただ、それ以外の魚をぱっと思い浮かべられない。圭織は楽しそうにショーを見つめる美紀に

「わー、あんなに飛ぶんだね。だから、カッパを着てるわけね」

 声を掛け、観客席を見つめ笑う。服は濡れないが顔は濡れてしまいそうだ。


 イルカショーには、イルカだけではなく、ステージからワシが飛び、観客席を飛び回る。

「腕でもあげたらもっていかれそうね」

 美紀はくすくすと笑い、「ちょっと! 危ないことは止めてね!」と圭織に注意を受ける。

 その間にイルカが大きくジャンプをし、水面を散らす。大歓声だ。皆、笑顔でショーを見つめ、驚いたり笑ったりする。

「……水族館もいいものね」

 美紀がぼそりと言う。ショーはあっという間にフィナーレを迎え、プールに飼育員が飛び込む。

「ね、あたしもそう思ってた」

  圭織は言い、目を輝かせた。イルカが鼻先で飼育員を押し、プールをくるりと泳いでいる。飼育員は観客席に手を降っている。

 そして、飼育員はプールから上がり、近寄ってきたアシカと手を振っている。

「可愛いね」

「そうね」

 美紀と圭織は手を叩き、イルカショーに浸りながら、抹茶のチュロスを半分ずつ食べ、温くなった缶コーヒーを胃の腑に流し込んだ。

「はー! 次はしょっぱいものが食べたくなるね」

 圭織はにっと笑い、ゆっくりと立ち上がった。まだまだ、見るところがあるのだ。

 追記しましたー!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ