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遠い
悲しみ。書いてたのに消えてしまった。
吐き出した息は炎を吹いた後の怪獣のようだった。あれから、強引なやり取りの末、美紀は圭織の自宅までついてきてしまった。暗闇を染める細かな雪が外灯に照らされる。アルコールで温まった身体は悲しいほどに冷え、孤独が滲んでいく。圭織は黙っている。何度も自宅に泊まるように圭織は言ったが、美紀はタクシーで帰ると言う。
「じゃあね、おやすみなさい。帰宅したら連絡するわ」
美紀は笑い、「ちゃんとお風呂に入ってね?」と手を振った。
圭織は美紀の背中を見つめ、貰ったプレゼントの袋をぎゅっと抱き締める。
「……」
行かないでと言うことは出来た。
でも、美紀を引き留めてあたしはいったい、なにがしたいのだろう。
暗い。コメディ、何処に行ったのかな……くっつくまで暗かったり明るかったりするよね、人間だもん。
そして、今、毎日少ない文字数でも書くようにしております。




