冷えていく
暗い雰囲気が続きます。
こんな風に楽しいと思ってもいいのだろうか。冬の風に冷やされ、圭織は次第に冷静になっていく。そもそも、美紀に会うまで圭織はごちゃごちゃ考えていたし、会いたくないとさえ思っていた。
それなのに、今はどうしようもなく楽しくて、帰るのが酷く惜しい。本当に勝手な感情だと思う。自分に向けられる心地よい視線や好意を受け入れるつもりもなく、圭織はただ、利用している。美紀は自分の気持ちを隠そうとしない。苦しいくらい、美紀は圭織を想っている。
それが至極、羨ましくて悲しかった。それほどまでに好きになれる人が存在すること、美紀の気持ちに応えるつもりはない自分。あたしはいつだって怯えている。何気ない恋や愛の話、それこそ、結婚の言葉を。
正直、美紀のことは好きだ。ずっと、馬鹿みたいに一緒に騒ぐことが出来たらいいのにと思う。
でも──
それは恋じゃない。単なる友情だ。あたしは、特別な感情を抱く美紀に耐えることが出来ない。恋愛は得意ではないし、もし、美紀と付き合うことになったとして、あたしはその事実を誰に伝えられるのだろう。結婚も出産も出来ずに気味が悪いと思われながら、生きていけるのだろうか。
息を吐く。貴女のように凛と、そして、強く生きられたらいいのに。
うーん、美紀には頑張ってもらいたいものですね。




