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新たな旅路の祝福を  作者: 稀一
一章
35/54

02

 辺りを見てみれば邸の裏には林のように草木が生い茂っており、領内の雰囲気とは全く違った様子だ。整備された人工的で整然とした街並みが邸の表側で、こうした草木が裏にあるのか。ならもしかしたら通ってきた大通りの裏にも畑とかがあったのかもしれない。少なくとも民家は表通りから見えないようになっていたようで、恐らく来訪者を意識しているんだろう。それにお店がここ、って決まった場所にあると、商店街のように利用しやすいだろうし合理的だ。

 領によって全然違うんだなあと納得して、林の中進んでいく彼の背中を見てちょっと待ってくれと思ってしまった。このドレスで草の中を進んでいくのは少し抵抗がある。初めて着たし、ということはつまりおにゅーなわけで。


「どうした」


 少し進んでから、私が付いてきていないのに気づいたのか振り向いた。そしてさらに私の後ろを見ると眼光を鋭くし、「お前は向こうに立っていろ!」と怒鳴る。突然のことに驚いて振り向くと、さっきの無愛想なメイドさんが「かしこまりました」と頭を下げ振り向き、邸の方を見て立った。やりとりに呆気にとられていると、ザクザクと草をかき分けながら彼が近づいてくる。


「どうした。着いてこい」


 すぐそばまで来ると険しい顔のまま小さく首を傾げられ、「でも」と自分の格好を見下ろす。彼もそれに続いて「ああ」と頷いた。


「ドレスではまずいか」


 さらに表情を険しくして俯き何かを考えている様子の彼に、どうしても着いてきて欲しいのだと悟り「失礼します」と声をかける。また不思議そうに顔を上げた彼に笑い、スカートをたくしあげた。


「なっ、にをしている!」


 後ずさりながらほんのり赤面した顔で怒鳴られ、笑ってしまいそうになる。こんなに小さな子供だというのに何を恥ずかしがっているんだか。


「こうして進めば、ドレスは無事でしょう?」


 また渾身の笑顔を浮かべながら言えば、奇妙なものでも見るように睨まれた。相変わらず睨まれたままだけど、最初よりは少しましになったような気がする。


「さあ、参りましょう。領主様方のお話もいつ終わるかわかりませんし、急ぎませんと」


 困惑した様子の彼にそう促せば、私の様子を窺いつつ歩きだした。チラチラと見られているのは足がむき出しだからではなく、何かまた奇妙なことをしでかすのではないか、と言った不安の目に感じられて気に入らない。まあ確かに、淑女としてはやるべきではないんだろうけど、どう見たってまだ子供だし許される年齢だと思う。むしろこの年齢で淑女然とした動きは、様になっていなければおませさんにしか見えず面白おかしい。

 内心若干むすっとしながら後を付いていくと、彼が立ち止まった。それに合わせて真後ろまで近づいていく。私が追いついたのを見るともう五歩ほど進み、開けた場所に出た。私も林から出て一息つき、スカートから手を離す。


「ここだ」


 その言葉に顔を上げれば、目に飛び込んできたのは鮮やかな花々だった。


「うわあ……」


 整えられた美しい庭園もいいけど、こうして様々な花が入り混じり、色とりどりの花がいっぱいに咲き誇っているのも十分綺麗だ。こっちの方がなんだかメルヘンな感じがする。

 思わず見とれていると、彼がまた私の手を引く。そのまま花の中に歩いていくのに驚いて今度は片手でスカートをたくし上げた。引かれバランスを崩しそうになりながら花を踏まないよう爪先で歩いて行けば、急に立ち止まる。


「うぇあ」


 対応しきれずそのまま傾きかけると引かれていた手にぎゅっと力を込められ、私も全身に力を込めてなんとか踏ん張った。この花を下敷きにするわけにはいかない。

 ぐぐぐぐ、と彼に押し戻され、なんとか体勢を立て直す。


「これは俺が育てているんだ」


 私の手を離しながらそう言ってしゃがみ込んだ彼を見て、少し驚いてしまった。貴族っていうと、何となく男はとか女はとか言うような世界だと思っていたから、男の人が花を育てているのは意外だ。でも庭師さんが男性なのだから、別におかしいことはない。


 見ればなるほど、彼は酷く優しい表情で花を見つめている。花が好きかという質問はつまりそういうことだったのだろう。

 「そうなんですか」と相槌を打ちながら、私はいくらなんでもしゃがむわけにはいかないな、とちょっと残念な気持ちになった。


「綺麗ですね」


 整頓されていない花たちは本当に彼が種から蒔いて育てたんだろうと思わせる初々しさを感じさせて、つい笑ってしまう。なるほど、奇麗だけど可愛らしさを感じるのはそこだったのか。あんまりにもメルヘンな空間で彼とは似ても似つかない。

 ほら、だってまだ睨んでる。

 じっとこちらを睨み上げるその姿に困ってしまう。何か言いたいことでもあるのか、それとも私が何かを言い足りなかったりでもしているのか、何かしてしまったか。


「エーデリア様に花を贈りたい。どれがいい?」

「え?」


 立ち上がりながらされた突然の質問に呆気にとられていると、エーデリア様の好みだとまた聞いてくる。なんだって?


 なんだ、もしかして、エーデリア様に憧れていて、贈り物をしたいから娘の私を利用しようと、そういうことか。なんてませた子供だ。大人の女性、それも人妻に自分の育てた花を贈るだって。すごい勇気だ。とてもじゃないけどまねできない。まねするような相手もいないけど。


「ごめんなさい、知りません」


 でも申し訳ないことに、そうなんです。

 まだ短い雑談しか交わしたことのない私に、エーデリア様の好みが分かるはずもなかった。それもその少ない雑談だって私から質問をしたことはない。彼は不可解そうに眉間の皺を濃くしながら私を睨み、「なんだって?」と小さく首を傾げた。


「エーデリア様の好みを存じ上げないのです」


 力になってあげたいのは山々だけど、わからないものは分からない。


「娘だ、それぐらい知ってるだろ」


 「隠していないで教えろ」と詰め寄ってくる彼に慌てて首を振る。本当に知らないのだと告げれば、彼は困ったように眉を八の字に引っさげた。初めて見る表情だ。もちろん、睨まれてばかりだから当然と言えば当然なのだけど。


「なんでそんなことも分からないんだ。どうしたもんか……」


 顎に手を当て悩む彼にそんな言い方するか、と不満を抱きつつ、私も一緒に悩んでしまう。申し訳ないという気持ちは本当だ。少年の純粋な気持ちを馬鹿にするつもりはない。

 暫く悩んでいると諦めたように息を吐き、腰に手をあてた。


「何か一つでいい、エーデリア様の好きなものを知らないのか?」


 言ってまた私を睨む。そう言われても、と返そうとして、思い出した。一つだけ知ってる。エーデリア様本人から聞いたわけではないけど、覚えてる。


「トリルがお好きだと聞いたわ」


 うさぎの形が可愛らしくてふれあい広場のようなものに憧れてしまったのだ。忘れるはずもない。


「生き物を言われても困る」


 若干迷惑そうに言われ、質問してきたのはそっちなのに、とも思うけど、それもそうだ。プレゼントに生き物はちょっと。でも他に好きなものなんて知らない。

 視線を落とし考え込んでいると、溜息をつかれてしまった。すいませんね使える情報持ってなくて!


「母親の好きなものも知らないのか。お前は今まで一体何をして来たんだ」

「……」


 苛立ったように爪先で地面をタンタンと叩く彼に反論は出来なかった。でも責められるのはむかつく。図星だけど、でもむかつく。もし知ってたとしてもそれはあなたのためじゃないし!

 思わず睨むように見れば、一瞬目を丸くした後鼻で笑われた。


「俺は母様や父様、兄様の好みだって知ってるぞ」


 あんまりな反応に内心をざわつかせていると、自慢でもするように言ってあれがそうだ、あれがそうだと指を差していく。その態度にムカつきはするものの、それだけではないものを感じてしまって、自分でも驚いてしまった。

 まさか、こんな風に思うとは。


「父様や母様は当然だが、兄様は一番尊敬する人だ。そんな人の好みなら知っていて当然だろう」


 自分の言葉に納得しているのか頻りに頷きながら言う姿が何だか眩しくて、ほんの少しだけ目を細めた。簡単なことだ。私はこの感情の名前を知っている。それでも自分で驚いてしまうくらい、意外なものだった。


 嫉妬。

 今まで培ってきた醜い心が、彼の純粋さに嫉妬している。素直に両親を、兄弟を尊敬していると言えるその心が、嫉ましかった。


「大好きなのね」


 呟けば、彼は大きく頷いた後私を見て、何故か一瞬目を見開くと眉間に皺を寄せた。顔を逸らすとふん、と鼻を鳴らし、「当然だ!」と腕を組む。


「兄様はまだお若いのに学生の頃にその腕を買われ、今は王太子殿下の護衛をなさってるんだ! これがどんなにすごいことか分かるか?」


 おうたいし殿下、という方のことはわからなかったが、とりあえず頷いておいた。目をキラキラと輝かせ自分の事のように嬉しそうに話す彼からは、本当にお兄さんのことが好きなのだと伝わってきて微笑ましい。すると急に唇を引き結びむっつりとしだした彼を見て、首を傾げる。


「そ、れに、婚約者もいる。美しく優しい、お前と違って笑顔も綺麗な人だ」


 突然顔を逸らし不機嫌そうにそう言いだして、もしかしてその人のことがあまり好きではないのだろうかと思うものの、私を引き合いに出してくるあたりよくわからない。そりゃ、私よりは誰だって笑顔は綺麗なんじゃないだろうか。わざわざ私と比べてまで褒める。不思議な話だ。どういう気持ちからそうするに至ったのかまったくわからないけど、「そうなんですか」とまた渾身の笑みで頷いた。


(あ、)


 なのになぜ、さらに不機嫌になるのか。

 不可解な彼の様子に困ってしまう。彼は黙りこみ、私も黙っているもので、居心地の悪い静かな空気がどんよりと流れていた。


(さて、どうしたものか)

 好みなんて探らなくても、贈り物がお花なら女性はそれだけで喜びそうなものだけど、それでは物足りないのか。ああ、でも花といえば。


「そうだ。花冠にしてはいかがでしょうか? お花はたくさん使ってしまうことになりますけど……」


 子どもと大人と花、といえば定番。ドラマでよく見た、河原でシロツメクサの花冠を頭に乗せる姿。あれなら子供からもらって、素直に嬉しいお花だろう。

 一人納得しながら彼を見れば、眉を顰めてこちらを見ていた。思わず首を傾げれば、彼も小さく首を傾げる。


「はなかんむり、とはなんだ」

(えっ)


 質問の意図が分からず目を瞬かせれば、彼が眉を寄せる。一体どういうものだと聞かれ、花冠というもの自体が分からないのだと気付いた。作り方が分からないのではなく、もの自体がわからないようだった。

 こっちにはないんだ、花冠。花束はあるのになあと思いながら、別物か、と心の中で突っ込み。


「言葉の通り、お花で冠を作るんです」


 まだ分からないという様子で顔を顰める彼に、ああ、いい加減名前が分からないのは不便だ。挨拶の時は聞き流してしまったし、そもそも彼と私はお互いに挨拶をしていない。


「ごめんなさい、遅れましたが、挨拶させていただいてもよろしいでしょうか?」


 唐突な自覚はあるけど、彼は眉を小さく動かすだけで頷いた。


「トア・シアメル・シルラグルと申します。どうぞシアとお呼びください。以後お見知りおきを」


 スカートをつまみ小さくお辞儀すれば、彼はふんと鼻を鳴らし腰に手を置いた。


「トア・シオル・ユーオリアだ。覚えておけ」


 この場合ユーオリア様と呼べばいいんだろうか。それともシオル様? 指定してくれないとちょっと困るなあ。爵位は同じなわけだから、そこまでかしこまる必要はないのかもしれない。相応がどれほどなのかわからなくて私に対して名前の最初の威嚇が意味をなしていない。

 あれ、そういえばシオル様はずっとタメ口だ。


「それで、花冠ですが、一緒に作ってみましょうか。結構な量使ってしまうので、二つというわけにはいきませんが」


 私も作って渡せば、喜んでもらえるだろうか。

 僅かな下心も芽生えるが、ここは飲み込むべきだ。同じものを送るのも微妙だし、ここの花は確かに沢山あるけど、彼が愛情込めて育ててきたわけだから私が好き勝手使うわけにもいかない。


「残念ながらエーデリア様の好みは分からないけれど、あの綺麗な髪に合う色の花で作っていきましょう」

「待て、その花冠というものを作るにはどういう花が向いているんだ?」


 さっそく指導を始めようかと思うと、シオル様が待ったをかけた。花を見ながら真剣に聞いてくる姿がなんだか可愛く感じられて、「そうですね」と頷きながら隣にしゃがむ。ドレスは諦めて膝に折り込んだ。シワがつきそうで帰った後がちょっと怖いけど。


「茎は太くても細くてもいいんですが、柔らかいものがいいです。柔軟性のあるもの。硬いと折れてしまうので。この花はいいと思います」


 オレンジの小さなダリヤのような花。茎は太めだけど柔らかくて、触って見た感じだと曲げても耐えてくれそうだ。


「わかった、それだな」


 シオル様は神妙に頷くと一つ摘み、ここからどうすればいいんだ、と先を促すような眼を向けてきた。ふふ、と漏れそうになる笑いを噛み殺し、作り方を教えて行く。

 暫く付きっきりで不器用に仕上げられていく花冠を見ていた。作っているシオル様の横顔は真剣そのもので、少しだけ羨ましい。自分の中に湧き上がる感情にほんのちょっと困惑する。


 まさかここまでお二人を、素直に父母と呼べていないことを気にしているとは思っていなかった。自分で自覚する以上に、いっそ罪悪感とよんでもいいような感情になっていたらしい。情けない。だからといって、こんなに純粋な子供に嫉妬するなんて。

 内心気落ちしながら、ここはどうなるだの仕上げはどうすればだのと聞いてくるシオル様に教えて暫く。


「出来た、な」


 意外にも、まあ知らないのだから当然といえば当然だけど、私の指示に従って大人しく花冠を作り上げたシオル様。薄らと口元に笑みを浮かべ出来上がったそれを見つめると、ふと私を見た。「なにか?」と首を傾げれば、ふん、と鼻を鳴らす。


「お前がいなければできなかった。感謝する」


 顔を逸らし口をへの字に曲げまたふん、と鼻を鳴らして言われた言葉に思わず笑いそうになる。素直なのか素直じゃないのか、今一わかりにくい人だ。


「エーデリア様、喜んでくださるといいですね」


 言いながら立ち上がると、シオル様も立ちあがる。そろそろ戻ろうという言葉に頷き、また草木の生い茂る中に突撃した。





 邸の前まで戻っては来たものの、まだお二人の話は終わっていないらしくそこには誰もいなかった。


「どうぞお邸の中へ。お茶とお菓子をお出しします」


 途中で合流したオーリさんがそう言って扉を開けたけど、どうもシオル様はオーリさんのことが好きではないらしい。無視するとそのまま通り過ぎていく。オーリさんに頭を下げ、中にも入らずどこへ向かうのかとシオル様の後を追った。彼は先ほど戻ってきた方とは逆へ進み邸の角を曲がっていく。小走りで追いかければ庭と違い、緑のない開けた場所に出た。広い敷地だとは思ったけど、ここは一体なんだろうか。


「俺は剣術を学んでいるんだ」


 声の方へ目を向ければシオル様はいつの間にか木剣を持って佇んでいた。よく見れば邸の壁に木箱が寄せてあり、その中にいくつか入っているようだ。


「そうなんですか」


 私もです、と返すのは違うかなと自重する。シオル様は「ああ」と強く頷くと、持っていてくれと私に花冠を渡した。

 まあ、これを持ったまま剣を振りまわすのはできないよね、そりゃ。


「いつか兄様みたいに強くなって、兄様の役に立ちたい。いくら今は王太子殿下の護衛をなさっているとは言え、領主は長男の兄様がなるだろう。そしたら俺は騎士になってこの領を守る。兄様を守る。家族を守る」


 言いながら素振りをしていく様を見て、自分の未熟さを嫌でも自覚させられる。私は頭では分かっていても、感情では何もわかっていない。私が長女だから、何時か男の子が生まれなかったら私が領主になるのだろう。だけど彼のように私は先のことなんて何も考えていない。今を生きるので精一杯だ。楽しいことばかりに目が行って、それだけで。

 真剣な表情は今日何度も見て来たけど、少しだけ見方が変わったような気がした。もちろんファデル様に教えてもらっている身としては目が肥えてしまっているので剣術の未熟さは目につく。けど努力をしていることは分かった。


 しかし不思議なのだけど、それを私に言ってわざわざ見せたのは何故だろうか。私はどういう反応をすればいいんだろう。間違ったら傷つけちゃうかな。でも自分でも、何を言えばいいのか、どんな表情をすればいいのかわからなかった。

 気が付けば素振りを止め私をじっと見ている。私は咄嗟に視線を落とし、彼の眼から逃げた。近づいてきたのか下を向いた視界に彼の足が映る。


 私は何も言えない。何も言えないのだ。そんな志に同意できるほどの覚悟はない。称賛できるほどの信念も決意もない。

 口を噤み顔を上げる。彼はどうしてか悲しげに眉を下げ私を見ていて、自覚しているからこそ、その目が自分のことしか考えていない私を憐れむように見えた。


 胸の奥に、苦い感情がじわりと滲む。


「……え、おい」


 彼の手に花冠を返し、踵を返す。一拍置いた彼の声に反応せず放置して邸の前まで戻ると、エーデリア様たちも戻っていらした。慌てて駆け寄れば、エーデリア様に頭を撫でられる。


「シオル様とは仲良く出来たかしら」


 柔らかい笑顔に迷うことなく笑顔を返し、「はい」と答えた。


「シオル、早く来なさい」


 おじさまの声に振り向けば、シオル様は憮然とした表情でこちらに歩いてきている。手に持っているのは花冠のみだ。当然だけど。


「あら、それは?」


 眼を丸くし首を傾げたエーデリア様に、シオル様は慌てた様子で花冠を両手に持ち直す。崩れていないか確認するように見て、差し出した。


「花冠というそうです。シア様に教えていただきながら作りました。どうか受け取ってください」


 目を瞬かせるエーデリア様にシオル様は半ば押しつけるように手渡した。その渡し方の乱暴さ驚くけど、それより私に教えてもらったなんて素直に言ったことに驚いた。


 目を丸くするエーデリア様の隣で瞬きをひとつ。シオル様は最初のように私を睨んで、不機嫌そうに顔を逸らした。それに思わず笑って、「ごめんなさい」と一言謝る。無視してしまってごめんなさい。

 シオル様は一瞬目を丸くすると、さらに不機嫌そうに眉を寄せ、ふん、と鼻を鳴らした。

読んでくださりありがとうございます。

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